酔っ払い

一日が千秋であれば、既に千五百の秋が去っていったことになる。
常々、酔っ払うの”ぱらう”とは何だろうと思っている。何であれこのぱらうというのは酔っ払いの口を楽しませる。よっ、と来て、ぱらってる、と行く時には、なにやら舌が弾むようである。
この頃は秋の来るのも十や百で、すっかり安心しきっていたものを。
ロキソニンやらアセトアミノフェンが優しい。バファリンは財布に優しくない。胃か大腸か知らないが、優しさが沁み渡るようである。頭痛も吐き気も、凡そそのような酒の楽しくない部分を消し去ってくれる。
前にはちょうど千五百の秋を経て返ってきたこともあった。
酔った、否、酔っ払った次の日には、だからアセトアミノフェンを飲んでいる時が多い。もう一つ、そんな日にはラーメンが食べたくなる。何故だか知らない。私の推測では、アルコールの消化に塩と油が必要となることが、少なからず関係しているものとみている。だから豚骨とか鳥豚骨とかの類いのドロっとしたラーメンがいい。
ついに何千秋も返ってこなかった時などは、ひどい。
本当のところ、ウイスキーを飲むとつらい。
でも千秋と言えども忘れるには短い。
あの危険な危険な液体は、非常に体調を悪くするのだ。何せ甘くて香ばしくて美味い。バーなどで飲むならば良い。しかし家で飲み始めた日にはなにせ何らの制約もないものだから。大抵後が、ひどい。
嫌なことは、薄いウイスキーで全部忘れられるらしいという歌を半ば本気にしている節もあるから、ひどい。
そうしてこうして秋もいぬめり。袖を絞って酒を飲む。
私のブレーキが壊れているのか、それが魅力というやつなのか。
またしても朝、後悔と共に起き抜けるのである。

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