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学校生活の日記と本とかまち歩きの感想を載せると思われます。思われました。 兵庫出身京都…

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学校生活の日記と本とかまち歩きの感想を載せると思われます。思われました。 兵庫出身京都在住。

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続マクド

以前某所でマクドについて書いた。またこのnoteでもマクドについて書いたことがある。 したがって、タイトルに「続」が付いている。続が着くと駄作になるという向きもあるかも知れないが。 私を知る人は既にご存じかも知れないが、私はマクドが好きだ。まずはこれを表明しておく。 今回マクドについてまた書くのは、マクドのあるCMを見たからだ。 「マックは、ホームシックにすこし効く。」 という言葉を添えて、慣れない都会にやってきた女性が見慣れた看板のマクドに入り、家族で来たことを思い出しつ

    • 夏、遠雷、小籠包

      遠く雷が鳴る季節である。 この、遠くから迫るような音を聞けば、思い出すのはゴジラの冒頭。その後は大抵ひどい土砂降りになるから、ゴジラのモチーフからは案外遠くもなかったりするかも知れない。そんなとき、ちょっと気分が上がるのは、ゴジラが好きなのと、遠雷にまつわる素敵な歌々と、それから躁的防衛というやつらしい。躁的防衛というのを習ったのは母校の国語の先生の授業である。基本的に面白くなかった授業の中で記憶に残る二、三の先生の一人だった。 ともあれ、ゴジラはゴジラ、雨は雨、そして夏は夏

      • 街の上で 感想

        このタイトルで察しがついた人もありましょうか。今回は映画の感想です。 そして察しがついた人は何を今頃と思うでしょうが、しかし何を隠そう再上映されてたので先程観てきた次第です。 そもそもこの映画を知ったのは一年半前に下北沢のカフェでした。チラシが置いてあったのです。A4裏表のやつでした。見ればしかも主題歌がラッキーオールドサン。ある種の悲劇です。もう既にこの映画は上映期間を終えていたのにも関わらず、チラシを手に取った時からどうしようもなくこの映画を観たくなってしまったのですか

        • 新10000円札

          新10000円札とは、すぐにお別れしてしまった。 それというのもどこで使えないか分からないので、旅先でもあるから崩してしまわざるを得なかったのです。 新しい顔は渋沢さんで、私は彼がそこそこ好きです。ついては叶うことならずっと一緒にいたかったんですが。瀬を早みとは言わずとも、どうにも運命というのはままなりません。 ところでこれを崩したのは天下のセブンイレブンです。自動精算機で使えるか逡巡していると店員さんに使えますと自信みなぎる後押しを得て、果たして渋沢は英世達と一葉女史に姿を

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        続マクド

          『自分の中に毒を持て』感想

          太郎氏が全身全霊をかけたドロップキックを喜色満面で繰り出しているそんな時、私のはせいぜいが右ストレート(それも体重を残して左手を顔の横にした形で)とかだろう。 雑なまとめ方をお許しいただきたいが、本書は「自分として純粋に生きること」、「無条件に生命をつき出し爆発する」ことのススメである。 彼の本、『自分の中に毒を持て』を読み始めた時、その姿がチャールズ・ストリングランドと重なった。モームの『月と六ペンス』の登場人物である。彼は画家で、絵の為なら何であれ犠牲にするし、それは「

          『自分の中に毒を持て』感想

          ネタバレ『神に愛されていた』感想

          2時間で読んで、30分余韻に浸って、今、これを書いています。 素敵な素敵な小説でした。 光と影という表現があります。 本作の二人の主人公は、ほんの一時だけの重なって、正にその光陰を繰り返します。 光が当たる天音の影に落とされた冴理。天音は初めて読んだ小説、冴理の小説を聖書として、冴理は天音の小説に受難し、十字架を背負いながらすれ違いや回り道を繰り返して坂を登り、最後には互いに感情を束ねたブーケを投げ返すのです。赦すとか赦さないとかではなく、最初から神に赦されていたし愛されて

          ネタバレ『神に愛されていた』感想

          『夢の中』と『アステロイドシティ』を一緒くたにするけったいなレビュー

          これは現実か、はたまた幻にすぎないのかみたいな歌詞から始まる歌があった様に思います。『夢の中』はそういう映画でした。 映画はある男女の会話や仕草ややり取りを通じて展開します。終始不思議な、正に夢現な雰囲気の中で、ストーリーらしきものが何となく見出され、ラストシーンでは像を結ぶようにはっきりと物語が前に進みます。 本作はコミュニケーションをテーマにしたそうですが、主役二人が話す会話の食い違いは夢の中の会話を思わせながら、また現実でも往々にしてそんなもんかもなとも思わせます。

          『夢の中』と『アステロイドシティ』を一緒くたにするけったいなレビュー

          カントリーロード

          JASRACが怖いので、本稿は引用を避けて、頑張って書いてみる。 ので、読者諸賢も頑張って読んで欲しい。 カントリーロードについてである。 カントリーロードという曲が大好きである。 もちろん『耳をすませば』で知ったクチである。これもまた名作で、それも相俟ってこの曲が益々意味を増して輝きを増している。 拙稿『続マクド』で書いたが、耳をすませばで描かれる風景は私の地元によく似ている。郊外住宅地というやつである。そしてこのカントリーロードという曲はこの土地を故郷として歌っている。

          カントリーロード

          そばの悪口 -駅そばについてのイントロとして-

          駅そばについて書きたい。書きたいが、実のところ蕎麦はそんなに好きじゃない。 という話で書きすぎてしまった。唇寒しである。 私的麺類ランキングの中でもほとんど最下位を占めるのが蕎麦である。別に嫌いというわけでもなくて、ただ他の麺類に及ばないだけで万年下位の不遇な麺である。 例えばラーメンは、味が濃くて種類もあって美味い。出汁に脂はもうほとんど鬼に金棒に近い。二日酔いの時など絶好である。 そしてうどん。うどんは麺にコシがある。啜った時の口の具合が、そして更には喉越しが、食っても

          そばの悪口 -駅そばについてのイントロとして-

          年末のこと

          この年末は碌なもんではありませんでした。返す返すも碌でもない。ほとんど良いことが無かったと言っても過言ではないでしょう。 まあ半分ほどは身から出た錆とは言え、それにしても碌でもない。 碌でもない碌でもないとは失恋のこと。失恋のこととは思いが叶わなかったこと。世も末ながら、愛故に人は苦しまねばならんのでしょうか。私の年末は悔いばかり、恥ばかり。恥の多い人生とは言いながら、彼はモテモテだったじゃあないかと餅を焼くばかり。それならばグッドバイとでも泣き喚きながら京都の街を走り去りた

          年末のこと

          卒業

          湿っぽい、何も上手くない文章を書きました。 今じゃないと書けないと思ったので書きました。 関係者以外はぜひ読まないでください。 関係者の方は、読んでも、すぐ忘れてください。 なぜ、政策学研究科に入ったのかと聞かれれば、専門性を深めるためと答えます。 政策学研究科に入って何が良かったのかと聞かれれば、この素晴らしい先輩方と会えたことだと答えます。 大学院に入ってからと言うもの、尊敬できない先輩はいませんでした。 どの先輩も、自分の考えを確固として持っていて、それぞれの生き方

          おみくじ惨敗

          普段占いなどは信じないという態度でいるが、引いたら引いたでその結果を引きずるたちなのである。 だから私は自分からおみくじを引かない。 ある夏の日、数人で伏見稲荷大社にお参りした日のこと。そう、引いてしまったのである。おみくじを。致し方ないことであった。一定の社交性を持つ人であれば、皆で一緒におみくじを引こうという時に自分だけ引かないということなどできはしないのだから。 さて、ところで引いたおみくじは、凶後吉であった。何も良いことが書いていない。 それが夏の夜だった。かれこれ

          おみくじ惨敗

          森見登美彦『夜行』感想

          『夜行』、夜を行く。YOASOBIは駆けていたが、森見氏はどうももう少しゆっくりと夜を楽しむらしい。『夜は短し歩けよ乙女』というタイトルも同氏のものである。 ところで以下はネタバレを含むから、読む人は気をつけて欲しい。 物語はある画家の「夜行」という連作を中心に展開する。「夜行」は「永遠に続く夜」をテーマとする連作であり、それぞれ「尾道」であったり「奥飛騨」であったりの場所と、一人の女性がモチーフである。同時に、主人公らはある日行方不明になった長谷川さんの影を追い、連作の絵

          森見登美彦『夜行』感想

          ハノイ・タクシー

          初めてのベトナムに、降り立ったばかりの私を熱烈に出迎えてくれたのはタクシーの客引きであった。 偏西風に逆らう長時間飛行を終えたばかりである。であるのに、ターミナル間の移動が必要だった。到着口から客引きの群れが見えたが、無視してシャトルバスの乗り場へ向かう。 三宮でも難波でも、客引きにコストをかけるようなのはロクでもない。定めしハノイでもさもあらん。これはもはや世界の一般法則と言っても過言ではないだろう。 スーツケースを引っ張ってとりあえず空港シャトルバス乗り場に辿り着いた。

          ハノイ・タクシー

          ネタバレ: 君たちはどう生きるかの感想

          そもそもネタバレは不道徳な行為ですが、本作は徹底的な情報の秘匿の下で公開される性質上、さらに輪をかけて秘中の秘として扱わねばならんでしょう。よってこのように丁寧に序文を連ねております。 改めて、以下の文章にはネタバレを含みますのでくれぐれもご注意ください。 私からもネタバレなしで本作を観ることをおすすめします。 では。 最も印象に残るのは積み木です。 一つだけ持って帰った積み木が、それもおおおじさんが厳選したものではなくて塔が立つ机の、その足場となる丘からとってきたもので

          ネタバレ: 君たちはどう生きるかの感想

          2号館中身見えてた

          どんなものであれ大体、断面はワクワクします。アリの巣観察キットとか切り分けたケーキとか。 建物がその断面をあらわにするというのは稀です。それは残念なことに、大体解体のときです。 今まさに2号館の壁がショベルカーに砕かれて、その中身が見えています。解体して新しく建て替わることも、覆いがつけられ解体がいよいよ始まることも、分かっていたのですが、断面の訴求力というもの並ぶものもなく。 やたらな日差しの中でじっくり見るのも嫌でしたが、歯形のように開いた2号館に、ふと階段教室が見えま

          2号館中身見えてた