夏、遠雷、小籠包

遠く雷が鳴る季節である。
この、遠くから迫るような音を聞けば、思い出すのはゴジラの冒頭。その後は大抵ひどい土砂降りになるから、ゴジラのモチーフからは案外遠くもなかったりするかも知れない。そんなとき、ちょっと気分が上がるのは、ゴジラが好きなのと、遠雷にまつわる素敵な歌々と、それから躁的防衛というやつらしい。躁的防衛というのを習ったのは母校の国語の先生の授業である。基本的に面白くなかった授業の中で記憶に残る二、三の先生の一人だった。
ともあれ、ゴジラはゴジラ、雨は雨、そして夏は夏である。暑いという字に酷いを被せるようなのを見るようになったのはいつ頃からだったろうか。学校まで自転車で15分も漕げば、それだけで汗だくである。日が照った後に雨が降った日などは、それがアスファルトに沸かされて昇るものだからどうにも蒸籠の中の気分だ。
そういえば、小籠包とか肉まんとかが最近食べたい。匙に掬って、液体をひたして、熱々を食べたい。夏に対して一矢報いた気になるだろうか。ならんだろうか。
せっかく食べるなら元町が良い。お盆にもなるから。
お盆といっても、うちには別に先祖代々の墓をお参りする習慣はない。ただ周りが帰省だ帰省だと言うからそういう気になる。
今年はとはいえ、ピークを避けて、お盆はしばらく京都にいるつもりである。暑い暑い京都に。

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