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140字の風景

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ツイッター、1ツイートの上限140字で、日常·非日常の様々な出来事を切り取る。 恋愛、感動、ユーモア、イヤミス等々、あらゆるジャンルで皆様に楽しんで欲しい!
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元カノ

元カノ

高層ビルにオフィスがあるので

仕方ないのかもしれないが、

このエレベーターの混雑は

何とかならないものか。

上階まで来ると人も疎らになる。

そして今朝もやはり……。

「時間、ずらせないの?」

『それはお互い様だろ。』

以前は嬉しかったが

関係の終わった今は苦痛だ。

サイコとシスター(ツイッターで連載中!)

サイコとシスター(ツイッターで連載中!)



二度目の再会は直ぐにやってきた。
今度は会社帰りの夕食時。たこ焼き屋の前にあるベンチに女は座っていた。たこ焼きの舟を抱えそれをじっと見詰めている。
声を掛けようか……?いやここは素通りだろう。もう関わらない。
「あ!貴方は?」
思惑は外れ、女から声が掛かった。

『サイコとシスター』ツイッターで連載中!

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女はカウンターの端で、既に提供された牛丼を前に祈りのポーズだ。
何かの信仰か。宗教によっては食べる前に祈るというのは聞いた事がある。勿論俺には到底理解出来ない。
相変わらず女は祈りを止めようとしない。
堪り兼ねた店員が女に問い掛ける。
“お客様、どうされました?”

涙雨

涙雨

ポツポツと始まり

あっという間に一面の

アスファルトはその色を変える。

こうなる事は分かっていた。

でも……僅かな期待は私に

女である事を思い知らせた。

もう、先に行くね。

一段と強くなった雨粒が

愚図る私の心を洗い流す。

貴方しか見えない日々と共に……。

みーちゃん

みーちゃん

道端で倒れ込んでいる女の子。

手足をバタつかせ泣いている。

『どうしたの?大丈夫?』

横目で私を見て、

「みーちゃん、大丈夫!」

外方を向いてしまった。

抱き起こし、

『気をつけて帰るんだよ。』

そう言い歩き出すと、

「おじちゃん!」

差し出されたその掌には飴玉。

埠頭の女

埠頭の女

毎年この季節には

海辺のこの場所にやってくる。

初夏の心地よい風が好きだ。

それともう一つ。

やはり今年も

埠頭の先に彼女は立っている。

白い麦わら帽子とワンピース。

長い髪をなびかせて

振り向いたその笑顔は

この世の者とは思えないほど。

半世紀経た今も変わらない。

『観音様のヒモ』   鈴&ミクタギ (ツイッターで連載中)

『観音様のヒモ』 鈴&ミクタギ (ツイッターで連載中)

11.

美しかった。
夏樹はその裸体に見惚れた。

そして誘われる様に沙織へ近付いていく。

それを合図に彼女は踵を返しシャワールームへと向かう。

その瞬間、夏樹は息を飲んだ。瞬きを繰り返し、何度もその背中を見詰め直す。

そこには一面に煌びやかな観音様が描かれていた。
#140字の連載小説

『通り雨』   鈴&ミクタギ

『通り雨』 鈴&ミクタギ

急に降ってきたので

駐輪場の屋根を借りた。

予報に反していた為、傘はない。

暫く雨宿りだ。

せっかく休講になったのに。

「もう、最悪!」

女の子が1人やってきた。

彼女のブラウスは

雨で透けている。

見とれていると

「嫌らしいな!」

悪戯っぽく笑う。

ヤバい! バレてた 💦
#140字の風景