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ドイツに移り住むまでの道のりと、これから

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記事一覧

これから⑱ワーストケースhaベストケース

これから⑱ワーストケースhaベストケース

2020年11月

事業を始めるとき、わたしが想定したワーストケース

それが本当に起こってしまった 

感染者数の増加に伴う、2度目のロックダウン

不安と先の読めない未来を前に

わたしは友達に電話をかけた
押しつぶされそうな胸をなんとか抱え、
声が震え、涙が滲んだ

仕事を失ったわたしを気づかってくれた友人が
毎日30分一緒にヨガをして身体を動かす、という役割を与えてくれる

85歳の高齢で

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スキマ回 ⑰ 身体をつくる

スキマ回 ⑰ 身体をつくる

2018年11月から、わたしは定期的にヨガに通いはじめた

ヨガをするきっかけは、ある人がデザインした

“Every day do something that will inch you closer to a better tomorrow.”

と描かれたバッグを買ったから

4月9日のことだったようだ

毎日10分でもいいから、少しずつ身体を動かそうと決める

仕事で使う、右腕

手のひ

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これから ⑯ 独立への道

これから ⑯ 独立への道

2020年 7月

コロナでの一度目のロックダウンに背中を押され

何があっても大丈夫、という意思を支えに
わたしは独立することを決意する

好きで通っていたヨガスタジオのオーナーに話をして、
空いた時間に、スタジオのヨガルームの一部を間借りしてマッサージの施術ができることになった

まずは、お客さんを集めなければいけない

チラシを作って印刷し、近所の美容室やカフェ、オフィスに配り歩く

はじめ

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これから⑮ 大木のハグ

これから⑮ 大木のハグ

2020年4月
#stayhomeのハッシュタグが流行った2020年の春

わたしは日当たりの良いキッチンで、おいしく栄養のある料理を食べることに幸福を見出していた

メディアが発信する様々な情報に不安を仰がれながらも
冷蔵庫にある新鮮でカラフルな野菜や、
ソーシャルメディアを通じて知る人の暖かさ、窓の外に向かって歌いだす人々の動画や音楽を見て、
わたしはなんとか心の平穏を保っていた

日常と自

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これから⑭ いつかの孤独と向き合う

これから⑭ いつかの孤独と向き合う

2020年2月

わたしは、今まで感じることを避けてきた孤独に直面しはじめている

転職した新しい職場のスパは、ワイン畑に囲まれた地域のとても綺麗なホテルで、サービスもお客さんの質もすごく良い
忙しくないときは、本を読んだりYouTubeで勉強したりできるくらい自由だ

だけど、いままでのように心を許して話ができる同僚がいない環境は、思った以上に辛かった

暇な時間に、思考が頭のなかに沸いてくる

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ドイツに移り住むまでの道のりと、これから⑬ 絶望がくれた勇気

ドイツに移り住むまでの道のりと、これから⑬ 絶望がくれた勇気

2019年12月

わたしが2013年12月から6年間、働いていたスパのオーナーは、ドイツで生まれ育ったトルコのひとだった

行動力と、有無をも言わせないようなつよさがあり、
意思のチカラでものごとを進めていく
でもあたまの中がカオスなようで、何度も話したり聞いたりしないと忘れられてしまうこともある

日本に一時帰国したり、旅行や勉強のために休暇の申請をしたいときわたしはいつも気を揉んだ

同僚た

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すきま回⑫家族のこと

すきま回⑫家族のこと

わたしは、ドイツに来てまだ日が浅いころ、

わたしのことをわかってくれない家族に対して、怒りや不満を抱えていた

わたしがドイツでどれだけ努力しながら頑張っているかも
わたしの意思や経験の価値も

なにもわかってくれないし、応援もしてくれない

わたしがたまに連絡しても、帰ってこいって言うばかりだし、向こうから積極的に連絡をくれることもない

そんなある日、わたしはイライラが積み重なって
家族との

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ドイツに移り住むまでの道のり⑪新しい風

ドイツに移り住むまでの道のり⑪新しい風

2015 / 7

腰をあげて、自分の意志で新しいシェアハウスを探す

部屋を探すという投稿に反応してくれた友達が、同じくルームメイトを探している知りあいとわたしを繋いでくれた

それが、約3年半続くケビンとのルームシェアのはじまり

出会いって、たいていこんな風に石にぶつかるように始まる

重いガラスの歴史的な扉の玄関と石の外装、木の板を敷き詰めた床、高い天井と真っ赤なソファー、黄色い壁

ノリ

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これから➉ すきま回

これから➉ すきま回

ときを超えて、2022年の4月にきている

このシリーズで止まっていた時点からは、8年ものすきまができた

そのあいだ、わたしは感情のもつちからと、それを表現するために時間をつかっていたようだ

出会いがあって、体験があって、
感情が流れて、わたしは学んでいく

すべてのことは、導かれるように

声をはっするのを恐れていたのも、声を発する必要があるからにすぎない

辞めていたコーヒーを、昨日久しぶ

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ドイツに移り住むまでの道のり⑨ハグする友達

ドイツに移り住むまでの道のり⑨ハグする友達

2014.03

こっちのひとの挨拶は、ハグとキスだった。

慣れない文化と生活、考え方、言葉がうまく喋れなくても、日々は前に進んでいく。

仕事のあと、同僚が声をかけてくれて一緒にご飯を食べに行く。

面倒見のいいシルビアは、メニューをあれこれ説明してくれる。

何を食べたいかよりも、何が注文できるのかの方が、その当時わたしには重要だった。

オレンジ色の飲み物と、サラダがこんもりとのったピザ。

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ドイツに移り住むまでの道のり⑧光が欲しい

ドイツに移り住むまでの道のり⑧光が欲しい

2014.01

めまぐるしく、日々が過ぎていったように思う。

体も頭も疲れて家に帰り、シャワーを浴びる。なぜか、お湯が出ない日があった。ルームメイトがいつ帰ってくるかもわからない、誰かに、何かを質問することも緊張する。頭はいつも熱を上げている。

毎日、知らない言葉に囲まれて過ごすのは、ストレスだったのかもしれない。ひとりで遠くにいることが、辛かったのかもしれない。自分の中身と外の世界でのコミ

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ドイツに移り住むまでの道のり⑦ドイツ語の耳と溢れる感情

ドイツに移り住むまでの道のり⑦ドイツ語の耳と溢れる感情

2014.02

帰って眠れる自分の部屋もみつかり、あたらしい仕事も始まった。

家から職場までの道のりを開拓したり、ワクワクするほど種類のたくさんあるパン屋さんでパンを買ったり、身振り手振りで同僚とコミュニケーションをとったり、毎日があたらしい冒険の日々。

部屋でインターネットが使えるようになるまで、カフェで必死に携帯電話の契約や銀行口座の開設の仕方、ビザや家探しの情報を集めたりしていた。

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ドイツに移住するまでの道のり⑥家探し

ドイツに移住するまでの道のり⑥家探し

2013.12

住む街と仕事が見つかったので、住む家を見つけなければならない。

私の持ち物は、大きめのバックパック一つ。

難しい契約がなくて、キッチンや家具が付いている家がいい。できればわからないことを聞ける人がいるといいので、ルームシェアの部屋を探そうと思う。

WG Gesuchtという、ルームシェアの部屋やアパート、一戸建てなどが探せるサイトがあることを知る。スパの建物内にある寝泊まり

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ドイツに移り住むまでの道のり⑤お客さんとコミュニケーション

ドイツに移り住むまでの道のり⑤お客さんとコミュニケーション

Gibt es bei Ihnen etwas zu beachten?
「マッサージの施術を始める前に、怪我や不調などなにか気をつけるところはありますか?」

面倒見のいいシルビアに教えてもらい丸暗記した言葉をポケットに忍ばせながら、不慣れなドイツ語の発音でお客さんに質問する。

私の言いたいことがわかってもらえても、返ってくる言葉がマシンガントークにしか聞こえなくて理解できない。得意な笑顔と身

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