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ドイツに移り住むまでの道のりと、これから⑬ 絶望がくれた勇気

2019年12月


わたしが2013年12月から6年間、働いていたスパのオーナーは、ドイツで生まれ育ったトルコのひとだった

行動力と、有無をも言わせないようなつよさがあり、
意思のチカラでものごとを進めていく
でもあたまの中がカオスなようで、何度も話したり聞いたりしないと忘れられてしまうこともある

日本に一時帰国したり、旅行や勉強のために休暇の申請をしたいときわたしはいつも気を揉んだ


同僚たちは、いいひとばかりだ

やさしいヘンガミは、いつも手作りのイラン料理を持ってきてくれて、自分は少しだけ食べてみんなにわけてくれる
面倒見のいいポーランド人のシルビアは、家族の誕生日やクリスマスに、家族のいないわたしを招待してくれる
ブラジル人のリザは、年齢がまったく信じられないくらい中身と外見が美しくて、一緒にいるみんなが楽しくなる
後から入ったハンガリー人のドーラとわたしはすぐに仲良くなって、年下のドーラにたくさん支えられたりはげまされたりした

マッサージが上手なひとたちは、心が優しいひとたちだとわたしは思う

すきな仕事で、優しい同僚たち

だけどわたしは
新しいことを経験する機会がないところ、時間と経済的な自由が限られているところなどに不満を感じはじめていた

ちょうどドイツで5年以上働いて税金も納めていたので
無期限滞在許可証という、自由度の高いビザを手に入れられたタイミングだった


出会ったその友達は自分のお店をもっていて、
朝も夜も休みなく忙しく働いていて、
だけど楽しそうに自信をもって未来を語るのが素敵だった


どんな人にも怯むことなく、巻き舌混じりに自分の意思や想いを伝え、
好きと嫌いがはっきりしている
わたしから見たら、信じられないくらい堂々としていた

「あなたにもできるよ」
ときらきらした目で話をしてもらうのが、わたしは好きだった


そんな彼に振られたことをきっかけに、
わたしは転職しようと決意する

その意思を、当時働いていたスパのオーナーにどきどきしながらも伝えると、必死に引き留められた

クリスマス前の繁忙期で、人が必要だったのだ

わたしは躊躇しながらも、ゆくゆくは独立してみたいのだと話す

それは、簡単なことではないと言われた
もうそんな年齢ではない、というようなことも言われた

わたしは、31歳になっていた

このまま、変化しないで時間を過ごすのは嫌だと思った

あなたはあなたらしく、わたしはわたしらしく。