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ドイツに移り住むまでの道のり⑪新しい風

2015 / 7

腰をあげて、自分の意志で新しいシェアハウスを探す

部屋を探すという投稿に反応してくれた友達が、同じくルームメイトを探している知りあいとわたしを繋いでくれた

それが、約3年半続くケビンとのルームシェアのはじまり

出会いって、たいていこんな風に石にぶつかるように始まる

重いガラスの歴史的な扉の玄関と石の外装、木の板を敷き詰めた床、高い天井と真っ赤なソファー、黄色い壁

ノリのいいケビンはすぐに同じ階の隣人たちと友達になっていて、なんだかとてもワクワクする素敵な家だった

コックとして働くケビンは朝5:30に家をでる

午後は、ヒップホップのミュージックを爆音で流しながら、重いダンベルを持ち上げて筋トレをする

バスケットボールで鍛えられた1,95mある身体で、整った顔をして頻繁に違う彼女を家に連れてきた

性格は繊細なところもあって温暖で、わたしと性格も違ったので、ぶつかることなく、干渉せず、いい距離感で暮らすことができた

わたしの方がたぶん多く掃除をしたが、高いところの蜘蛛の巣をとるとき、ケビンはいつも助けてくれた

同じフロアの隣人たちは、

ベトナム人で気の強いリン、ロン毛ミュージシャンのライフ、シリア人の学生ブディ、ガーナとドイツのハーフのアリシア、知的で優等生なフェリシア、甘いマスクのミヒャエル、ブラジル出身のラモン、など

個性的なひとたちが、わたしがこの家に住んでいた3年半に
入れ替わり住んでいた

年に一度ほど、同じ階の住人合同で行われるパーティーがある

家を誕生日会のようにキラキラ飾って、冷蔵庫をビールで埋めて、時にはバスタブに氷を詰めて、冷蔵庫にする

友達や友達の友達など、知らない人も50-100人くらい来る

住みはじめてすぐのパーティーで緊張していたわたしは、ミヒャエルの部屋の窓から吐いてしまい

あとで笑い話にしてくれた

誰かと一緒にご飯を作ったり、誰かが誰かに恋をしたり、喧嘩したり、別れがあり、出会いがあり、
そんな日常のようで非日常な日々


3年目のパーティーで、

キラキラのスパンコールのついたドレスを着ていたわたしに、
友達のビクターが、ビールを持ちながら強い目力で語る

「もし俺たちがうまくいってもいかなくても、俺はどこにも逃げないよ。」

自分に自信がなかったわたしに

新しい風が吹いた

それが、2019年3月のこと。




あなたはあなたらしく、わたしはわたしらしく。