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妄想のカケラたち

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書く習慣アプリのお題 シロクマ文芸部のお題 ....などから妄想したもの
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#シロクマ文芸部

りんごのつぶやき(シロクマ文芸部)【ショートショート】

りんごのつぶやき(シロクマ文芸部)【ショートショート】

今回はこちらのスピンオフ作品になります↓

りんご箱から鈍色の空を見上げて僕はみゃぁ~と鳴き、まだ柔らかい爪でカリカリと箱底をひっかきました。
箱が深くて小さな僕は外に出られないのです。

何度かこちらを覗く人の顔がちらりと見えたけど僕と目が合うと困った顔をして去っていきました。

ぽつりぽつりと冷たいものが顔を濡らし始めたころ、ある人が僕を拾いあげました。

「寒かったね、大丈夫かい」

彼はし

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最強オカンと繊細な僕【シロクマ文芸部】

最強オカンと繊細な僕【シロクマ文芸部】

月めくり用の指サックをなくしてしまい
めくれない9月をどうしたものかとセンチメンタルの沼に浸っていると

なんやー
まぁだ9月にしとるんかー?

ドヤドヤッと部屋に押し入ってきたオカンは、ペロッと指先をひと舐めすると何のためらいもなく月をひとめくり

ビリッと一気に9月を切り取った

そして、

はよおいで
ごはんにしよ

と言うと
めくった9月をくしゃくしゃに丸め、どすどすと音を立てながら慌ただ

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秋の読む時間【詩】

秋の読む時間【詩】

読む時間に浸る朝の心地よいこと
開け放たれた窓から
ほのかに漂う
金木犀の香りに誘われて
もっと、深く、深く
物語の世界へ_
#シロクマ文芸部 参加作品です。
ご覧いただきありがとうございます。
また、部長の小牧さん
今週もありがとうございます。

金木犀の香りはまだですが
やっと涼しくなってほっとしています。vv*

前回の参加作品はこちら↓

以前、「書く時間」から始まる…というお題で書いた

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【短編】マイムマイムが募らせる私のブルー (シロクマ文芸部)

【短編】マイムマイムが募らせる私のブルー (シロクマ文芸部)

文化祭が終わりグラウンドでは恒例の後夜祭が始まった。

後夜祭ではフォークダンスを生徒全員で踊ることになっているのだけど、私は誰かに言われて機械のように踊るフォークダンス(特にオクラホマミキサー)が楽しいと思えなくて嫌いだった。

でも、後夜祭はひと通り踊るとあとは自由解散なのがいい。

大半の生徒はそのままグラウンドに残り時間ギリギリまでそれぞれ文化祭の余韻を楽しんだり、恋の花の種まきをする子も

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【短編】幸せな彼女が愛するヒマワリ畑の秘密(シロクマ文芸部)

【短編】幸せな彼女が愛するヒマワリ畑の秘密(シロクマ文芸部)

ヒマワリへ朝一番に水をやり
手入れをするのが、この夏の彼女の大切な日課です。

都会から少し離れているけれどそんなに不便ではない、緑の多い住宅地で彼女は暮らしています。
子供には恵まれませんでしたが、夫と2人で穏やかな幸せを紡いでいるようです。

この家の庭には、彼女が15年かけて育てたささやかなイングリッシュガーデンがあり、一見ランダムに見えるけれど、考えて植えられている夏の宿根草たちが咲き繁り

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【SS】フユコの歩く理由はフユコにもわからない(シロクマ文芸部)

【SS】フユコの歩く理由はフユコにもわからない(シロクマ文芸部)

ただ歩く、
ただただ、ひたすらに、歩いています。

歩く理由はあったような気がするけれど、忘れてしまいました。

思い出そうと考えるのもなんだかちょっとねぇ...

ただ、立ち止まってはいけないような気だけはして、夕日に急かされながら、ただただ歩いています。

「フユコおばあちゃん!
 どこ行くの?
 みんな探してるよ!」
息を切らせて走ってきたセーラー服のかわいいお嬢さんから声をかけられました。

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【短歌】綴ってばかりの恋 (シロクマ文芸部)

【短歌】綴ってばかりの恋 (シロクマ文芸部)

文芸部の
窓から見える
片想い
声に出せずに
綴ってばかり
#シロクマ文芸部  参加作品です。
ご覧頂きありがとうございます。
また、部長の小牧さん
今週もありがとうございます

言っちゃえばいいのにさー.....と
下世話に思いつつ詠みましたww

冒頭に「文芸部」が来る事が条件だったので、そのために、出来あがった歌は他の部に置き換えられないよう下の句を考えるのが自分なりのちょっと頑張った点です

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続けるために問い続けるのだ! (シロクマ文芸部)

続けるために問い続けるのだ! (シロクマ文芸部)

平和とは__
今日も空に問いかける

空気と水と安全と
そして、ファーストフード店員の笑顔さえも、
当然のようにタダの国で大人になったけれど
実はこの世界はずっと不安定で
後ろ手に皆がピストルを隠し持つ世界なのだ。

その気になればいつでも撃ち合いを始められる。

だから、始めないために問いかけ続ける
平和とは

この夏一番の炎天の下で
溶けてゆくアイスクリームにさえ
なす術持たぬちっぽけな自分だ

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物語の育み方 #シロクマ文芸部

物語の育み方 #シロクマ文芸部

書く時間という「香」に火をつけると煙が立ちのぼりなんとも柔らかい香りが立ち始めました。

机に座り頬杖をついて
あれこれと妄想を膨らませながら
片っ端から思いつきをノートに書き始めます。

書いて書いて書いていると
言葉たちがノートから浮き上がり
空中を漂い始める時が来ます。

言葉が漂い始めたら
私はノートに書くのをやめて
漂う言葉をよく観察して
その中からきらりとひかるものを見つけては
そっと

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『食べる夜』買えました!(シロクマ文芸部)

『食べる夜』買えました!(シロクマ文芸部)

食べる夜 100g 1200円(税別)
やっと買えました〜!!!\( ˆoˆ )/

カルディ5軒はしごしてやっと見つけました💦
調味料コーナーの食べるラー油の隣にありましたよ。最後の1個でしたけど...( ´△`)

瓶の外観はあの「ご○んですよ!」
...っぽい?ww

でも、蓋がしっぶ〜〜い銀色です

夜をイメージしたラベルに描かれた月が素敵!
私の大好きなイラストレーターさんの作品なんで

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私の日常に紛れる幸せの美しさについての研究 #シロクマ文芸部

私の日常に紛れる幸せの美しさについての研究 #シロクマ文芸部

私の日常を溶かした液体を蒸留すると綺麗に澄んだ液体と濁った液体に別れた。

澄んだ液体をさらに濾過すると幾らかの粒子が取り出せる。
この小さな粒たちが一般に「幸せ」というものなのかもしれない...と思いながら標本瓶に入れしっかりと蓋をして棚に保管する。

棚にはたくさんの同じような瓶が並んでいて
陽にかざすとキラキラと美しく輝く
でも、その輝きには個体差があって
意外にも、ささやかでより小さな粒ほ

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空を泳ぐクジラの歌が聴ける街 #シロクマ文芸部

空を泳ぐクジラの歌が聴ける街 #シロクマ文芸部

街クジラの歌が今日も聴こえてきました。

夕方の支度の手を止めて外に出ると、
オレンジと金色で染めた夕焼け空をゆったりと泳ぐクジラがいました。

どこから来るのか?
なぜここに来るようになったのか?
誰にもわかりませんが、夕暮れになると空に姿を現すクジラはこの街の日常です。
そして、街にやってくるので「街クジラ」と
いつの間にか皆でそう呼ぶようになりました。

今日も歌いに来てくれてありがとう。

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甘く甘く、浸り続けていたい #シロクマ文芸部

甘く甘く、浸り続けていたい #シロクマ文芸部

海砂糖で作った金平糖をひとつぶくちにいれると
懐かしいあの海の思い出が蘇った

私はまだ小さくて
家族みんなが揃っていた
あの夏の海の思い出だ

やさしく物静かな母がパラソルの下からこちらを見守っている
私に泳ぎ方を教えてやると張り切る兄と
小さい子に無理はいけないと娘に過保護な父の笑顔

金平糖が溶けてなくなってしまうと
父も母も兄も消えてしまうので
次々と金平糖を頬張った
でも、あっという間に

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ガラスの手(シロクマ文芸部)

ガラスの手(シロクマ文芸部)

ガラスの手に負った傷を金で繕う

手に走っていたひび割れは
流れる星の軌跡のような
美しいタトゥーになった

でも、もう、これ以上
傷ついてほしくない

大切な大切な
僕だけのガラスの手

もう居ない
君から生まれたガラスの手
#シロクマ文芸部
今回は詩で参加しました。
部長の小牧さん、今週もステキなお題をありがとうございます。

ガラスの手ということで
昭和の子供だった私は銀河鉄道999の食堂

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