燦々と青

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海岸線は無風

2023年 自選100首 【お詫び】この人生は映画ではなくて、当人はやはり凡人でした in the 銀河heaven 泣かないでジョバンニ 君は悪くない きれいなものだけみたかったよ…

燦々と青
1か月前
9

私のくるぶしは、入水のかおりを知っている

好きな人が好きだった人になっても、仕事を辞めても、好きなアーティストのライブに行っても、突然理由もなく死にたいとしか考えられなくなっても、生活は続く。 久々に会…

燦々と青
2か月前
6

生きているのではなく耐えている

生きているのではなく耐えていると思うことが増えた。耐えている。耐えながら寝て起きて働いて家事をしている。生活をしている。 悲しみはいつも波があって、案外その瞬間…

燦々と青
3か月前
5

全部が好きだと言えていたら

失恋しました。 最後まで私の好きになった人は本当に素敵だった。抱きしめられた時の思ったより強い力も、最後に手を繋いでもらったときの感触も、数日間コートに残ってい…

燦々と青
4か月前
35

喜怒哀楽とか全部だるい

サイコロを転がして全部決めたい 今日のご飯も進む道も仕事の方向も結婚する人も私の死に方も 喜怒哀楽とか全部だるいし足のネイルはパンプスに隠れてるし上司はうざいし…

燦々と青
10か月前
11

防波堤として

何年か前の笹井宏之賞に応募したものです。このまま眠らせておくのはあまりに私と歌が可哀想だったのでここに置かせてください。 村すらも滅ぼせないのね魔王さま ふたり…

燦々と青
10か月前
8

代わりに持ってくれたらいい

外は寒くて家にいるはずなのに家もなんだかさむい。四角い部屋の隅から手が伸びて私の首をしめてくれたらいい。寝てる間に魂が間違って抜けちゃって、そのまま漂ってくれた…

燦々と青
1年前
3

季節の終わりに過敏になるのやめな

生きている皆さんこんにちは。 思うことがあればいいなと思い詩集を開いたけどそんな道具みたいに使われるためだけにこの人は言葉を綴っているのではないと思い閉じた。季…

燦々と青
1年前
7

冷蔵庫にはいつも牛乳があった

言葉が出ない。比喩じゃなく、言葉が出てこないことが増えた。今これを書きながらも筆が(この場合指?)思うように動かずに休み休みでいる。生きている気も死んでいる気も…

燦々と青
1年前
4

飛び込めなかったものはたくさんあります

大好きな人の弾き語りに行って生きてきたことを実感しました。好きなアーティストの新曲に泣かないでって言われてぼたぼた涙が出ました。iPhoneを新しく買い換えました。画…

燦々と青
2年前
6

大人ってこうじゃなかったって、たぶんあのころの大人も思ってた

もう二度と好きな曲を他人に教えないし公共交通機関の中でお喋りもしない。 沈んでしまうと起き上がれなくなること、身をもって知ってしまっているから自分の中にある燻り…

燦々と青
2年前
8

無責任な大丈夫なら私はいくらでも言えた

朝晩は冷え込むようになり、晩夏と呼ぶには相応しい気候になってきたね。 前進も不幸も目論見もすべてを抱えています。足があるうちは歩かなきゃ行けないのだから。 今月…

燦々と青
2年前
5

降り注ぐ爆弾を避けるための傘を作ろう

もう全部いいんだよって言ってやさしくわらって、アルコールなんていらないしタバコもいらない、もうすっかり夏だから炭酸が飲みたいねってサイダー買って、エアコンが効い…

燦々と青
3年前
5

春の木漏れ日が跳ね返る地面が海底だったらよかったのに

何も悪くないと言って。私は何も悪くないと言ってよ。 自分のことを正当化するのも、本当は弱いくせに気丈に振る舞うことも、悲しいと思っていても辛いと思っていてもそれ…

燦々と青
3年前
6

Prose

前回の短歌を見つけた際に一緒に見つけたものです。18歳から19歳までのもの。供養したいので。 ただうるさいだけのテレビをぼうっと眺める程度には不幸。丸い月がクジラの…

燦々と青
3年前
7

tanka

高校生から去年までのもの。たまっていたのを見つけたのでここに供養します。 夢をみた 湖畔に佇む人間を見つめて沈む魚のせぼね 差し込んだ光の束で目を覚ます 世界は私…

燦々と青
3年前
5
海岸線は無風

海岸線は無風

2023年 自選100首

【お詫び】この人生は映画ではなくて、当人はやはり凡人でした

in the 銀河heaven
泣かないでジョバンニ 君は悪くない きれいなものだけみたかったよね

ぼくだって死にたくなんかなかったと泣いてるカンパネルラの隣

買ってきた仏花が枯れるまでそこで合掌なさい 隣家のザネリ

牛乳を持ってジョバンニが駆けている。一方、そのころうすあかりの国

「よだかさえ悪口言

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私のくるぶしは、入水のかおりを知っている

私のくるぶしは、入水のかおりを知っている

好きな人が好きだった人になっても、仕事を辞めても、好きなアーティストのライブに行っても、突然理由もなく死にたいとしか考えられなくなっても、生活は続く。

久々に会った友人に、「悲劇のヒロインって正直1番簡単なんだよ」って言われて、納得してしまった。何事も、何かに原因をこじつけて自分の現状を悲観することで、諦めることを簡単にするし、むずかしい思考を停止させることが出来るようになる。私はいつから悲劇の

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生きているのではなく耐えている

生きているのではなく耐えている

生きているのではなく耐えていると思うことが増えた。耐えている。耐えながら寝て起きて働いて家事をしている。生活をしている。

悲しみはいつも波があって、案外その瞬間は辛くなくても段々と鋭さを増して刺してくる時がある。

「眠ればたまに会える代わりに顎の痛みに目が覚めてしまう」(春一番/yonige)

忘れてもいつか思い出すためならいいよなんて寛大な心はなく、本当はずっと私の事忘れないでどこかで考え

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全部が好きだと言えていたら

全部が好きだと言えていたら

失恋しました。

最後まで私の好きになった人は本当に素敵だった。抱きしめられた時の思ったより強い力も、最後に手を繋いでもらったときの感触も、数日間コートに残っていた香りも、全部もう上手く思い出せないけれど、泣いてしまった私を泣きそうな顔で見つめる彼の目だけは絶対に忘れないと思う。
当日待ち合わせ場所で目が合った瞬間から「今日フラれるんだろうな」と確信したこと、実際最後まで何も言われなくてそれに甘ん

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喜怒哀楽とか全部だるい

喜怒哀楽とか全部だるい

サイコロを転がして全部決めたい 今日のご飯も進む道も仕事の方向も結婚する人も私の死に方も

喜怒哀楽とか全部だるいし足のネイルはパンプスに隠れてるし上司はうざいし私は情けない もう、気がついているのかもしれない。どこにも行けないこと、何にもなれないこと、このまま時間が経っていくことを受け止めるしかないこと。

この1ヶ月後、メンタル悪化して事実上の休職になりました。
私は、私はこんなことのために生

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防波堤として

防波堤として

何年か前の笹井宏之賞に応募したものです。このまま眠らせておくのはあまりに私と歌が可哀想だったのでここに置かせてください。

村すらも滅ぼせないのね魔王さま ふたりでしようよ世界征服

人を殺すのはつらいね魔王さま ふたりでしようよ投身自殺

あの花の名前を教えて魔王さま ふたりでいこうよ川の向こうへ

傷ついてばかりだったね魔王さま きっと今度は大丈夫だよ

足元でバタバタうるさい余所の子を蹴飛ば

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代わりに持ってくれたらいい

代わりに持ってくれたらいい

外は寒くて家にいるはずなのに家もなんだかさむい。四角い部屋の隅から手が伸びて私の首をしめてくれたらいい。寝てる間に魂が間違って抜けちゃって、そのまま漂ってくれたらいい。私がやること全部許してくれたらいい。許してくれなくても、認めてくれたらいい。涙を流して布団にくるまっていることしか出来ない時、何を聞かずにどうでもいいままで背中から抱きしめてくれたらいい。乾燥した唇の割れそうな部分を舌でこじ開けてく

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季節の終わりに過敏になるのやめな

季節の終わりに過敏になるのやめな

生きている皆さんこんにちは。
思うことがあればいいなと思い詩集を開いたけどそんな道具みたいに使われるためだけにこの人は言葉を綴っているのではないと思い閉じた。季節の終わりに過敏になるのやめな。来るってわかってるものをあたかも意外でしたみたいな顔で見るのやめな。閉じた詩集の頭から覗くよくわからない個展で貰ったインスタIDが書いてある名刺。あなたの資源は私の栞として役に立っています。どうか安心していて

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冷蔵庫にはいつも牛乳があった

言葉が出ない。比喩じゃなく、言葉が出てこないことが増えた。今これを書きながらも筆が(この場合指?)思うように動かずに休み休みでいる。生きている気も死んでいる気もせず自分のアイデンティティを疑い他人の視線を嫌悪し敏感な聴覚を呪った。牛乳は嫌い。だからうちには牛乳常備なんてされてない。おかあさんがまだ家事をしていて、父親がまだ家に帰ってきて、妹がまだいくつもの人格を持っていなかったころ、冷蔵庫にはいつ

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飛び込めなかったものはたくさんあります

大好きな人の弾き語りに行って生きてきたことを実感しました。好きなアーティストの新曲に泣かないでって言われてぼたぼた涙が出ました。iPhoneを新しく買い換えました。画面が綺麗です。お互い頑張ろうって何度でも言います。

大切な子が辛い時に連絡してくれる相手が私でよかったと思います。あなたが辛い時全てを肯定してあげたいと思っているし、それが伝わっていたような気がしています。

飛び込めなかったものは

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大人ってこうじゃなかったって、たぶんあのころの大人も思ってた

大人ってこうじゃなかったって、たぶんあのころの大人も思ってた

もう二度と好きな曲を他人に教えないし公共交通機関の中でお喋りもしない。

沈んでしまうと起き上がれなくなること、身をもって知ってしまっているから自分の中にある燻りをずっと無かったことにしている。

私はまだつまらないことで大袈裟に笑うし人の恋愛話に興味があるフリもする。乗り換えに間に合うように走ったり、他人のことなんて知らないというふうに街を歩いたりもする。好きなアーティストのライブに当選してまだ

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無責任な大丈夫なら私はいくらでも言えた

無責任な大丈夫なら私はいくらでも言えた

朝晩は冷え込むようになり、晩夏と呼ぶには相応しい気候になってきたね。

前進も不幸も目論見もすべてを抱えています。足があるうちは歩かなきゃ行けないのだから。
今月初めにみた海のさざ波を抱きしめて乗り越えた1ヶ月でした。いろんな生命の器であるそれに飛び込めば死ねるという安心感。海が好きです。わたしは海になりたい。投げるつもりがない身を落とさないように踏みしめた足はかすかに震えていたし、振り返る友人は

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降り注ぐ爆弾を避けるための傘を作ろう

降り注ぐ爆弾を避けるための傘を作ろう

もう全部いいんだよって言ってやさしくわらって、アルコールなんていらないしタバコもいらない、もうすっかり夏だから炭酸が飲みたいねってサイダー買って、エアコンが効いた部屋でまどろんで、ゆめうつつな頭を撫でて、こんな世界が見えぬよう目と耳をふさいでほしい。

みんなに好かれなくてもいいよ。数字が全てなんかじゃないのよ。嬉しかったことは嬉しいと言っていい、悲しかったことは悲しいと言っていいのよ。偏見も差別

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春の木漏れ日が跳ね返る地面が海底だったらよかったのに

春の木漏れ日が跳ね返る地面が海底だったらよかったのに

何も悪くないと言って。私は何も悪くないと言ってよ。

自分のことを正当化するのも、本当は弱いくせに気丈に振る舞うことも、悲しいと思っていても辛いと思っていてもそれを隠して笑うことにも疲れてしまった。

もしかして、まだわたしは生きなければいけないのかな

人間としての体を背負うのは私にとって酷く重責であった。大丈夫と思った次の瞬間に沈んでいる。あの主治医が言ったことが忘れられなくて腹立たしくて悲し

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Prose

前回の短歌を見つけた際に一緒に見つけたものです。18歳から19歳までのもの。供養したいので。

ただうるさいだけのテレビをぼうっと眺める程度には不幸。丸い月がクジラの目玉みたいで、排気ガスで濁った夜空にぼかされた目の縁がこちらを睨んでるようで、私は縮こまってしまった。

言い訳きついよ君

チョークが音を立てて割れる音

先生、私、変わっちゃったのかな

鋭い犬歯が君の唇を傷つけぬよう優しく口付け

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tanka

高校生から去年までのもの。たまっていたのを見つけたのでここに供養します。

夢をみた 湖畔に佇む人間を見つめて沈む魚のせぼね

差し込んだ光の束で目を覚ます 世界は私のことを知らない

あたたかな風が前髪を撫でてってとても惨めな私だけ春

あの魚溺れて死んだよ かなしいね 人間も息が出来ないとしぬのよ

喉元を熱いコーヒーが過ぎていく 熱を思い出せお前は無傷

温めたカレーライスを頬張って転がって

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