【BL二次小説(R18)】 卒業旅行⑫
新「ところで尽八」
新開がベーコンサラダを食べている東堂に話し掛ける。
新「アメリカは部屋のチップって1人1$で良かったっけ?」
東「うむ。1人というよりは1ベッド1$と覚えた方が良いな。ツインならば1$札を2枚サイドテーブルに置いておけば良い」
福「チップはなかなか理に適った制度だとオレは思う」
荒「オレも。日本は元々サービスがイイから必要ねェけど外国じゃサービス向上のために合理的なシステムだよな」
チップ制度に肯定的な面々。
東「チップを面倒がる者もいるが、ちょっと工夫するだけで楽しくなるものだぞ」
新「楽しくなる?」
東堂は紙ナフキンを手にヒラヒラとさせながら説明を始める。
東「例えば、チップの下にメモ用紙を敷いておく。そこに“Thank You”と書いておく」
福「ほう。すると?」
東「すると部屋に戻って来た時、メモ用紙に返事が書いてあったりする」
荒「マジで?」
東「アメニティがいつもより多めに置いてあったり、タオル人形が添えてあったりもする」
新「ホントかい?素敵じゃないか!」
3人は驚き顔を見合せ笑顔になる。
東「普通ベッドメイクの人とは顔を合わすことはないが、こうしてコミュニケーションを取ることが出来る。悪くないだろう?」
荒「なるほどなァ。早速部屋に戻ってメモ置いてこようゼ」
新「夕方帰るのが楽しみだな」
はしゃぐ荒北と新開を、東堂は目を細め微笑ましく眺めるのであった。
昨日とは違うテーマパークへ向かう一行。
その広大な敷地内には、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリアなど世界各国のパビリオンがズラリと建ち並んでいた。
それぞれの国の名産販売や工業製品のプレゼン、レストラン等。
建屋前では民族舞芸を披露している。
荒「へェ~!スゲーじゃねーか!」
福「つまりここでは年がら年中万博が開催されている、と」
新「考えたなぁ。普通、どの国でも万博やるってだけで大騒ぎなのに」
見渡して感心している3人。
東「面白いのがな……」
東堂はニヤニヤしながら言った。
東「日本館だ」
荒「あんのか!日本館!」
福「それは興味深い」
新「行こう行こう!是非行こう!」
みんな興味津々だ。
一行は早速日本館へ向かった。
東海道のような松林。
池の中に浮かぶ富士山の頂上に赤い鳥居。
金閣寺の上にそびえ建つ五重の塔。
大阪城と名古屋城を合体させた派手な建造物。
建屋前では忍者と力士が戦うショーを開催していた。
福「こ、これは……!」
荒「なんだこりゃア!」
新「ひでぇ!」
日本館の惨状を見て愕然とする3人。
その様子を眺め笑いをこらえている東堂。
荒「いつの時代だヨ!」
福「時代錯誤というより、色々おかしい」
新「こっちではいまだにフジヤマゲイシャのイメージなのかい?」
3人は頭を抱えている。
東「まあとにかく中に入ってみようか」
東堂は3人を建屋内に促した。
建屋内では、日本の様々な工芸品やおもちゃが売られていた。
福「……ブ、ブリキ?」
新「昭和初期のおもちゃじゃないか!」
荒「なんかさァ!違うだろ!日本はもっと最先端のさァ!」
3人はイライラしている。
荒「アーッ!」
荒北が悲鳴をあげた。
見ると、外国人の幼女が嬉しそうに博多人形をレジで購入している。
荒「違ーウ!日本の人形だったらもっとこう……ポリキュアとか!ハローギティとか!ペカチュウとか!」
発狂して頭をガリガリ掻きむしる荒北。
東「落ち着け。外へ出よう」
日本館に入ったばかりだというのに、みんなすぐにギブアップしてしまった。
2023-08-21
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