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みみ
2023年4月9日 18:03
何の変哲もない緑の葉っぱ。人間の高さから見れば、ひとつひとつは石ころみたいな大きさで、それが密集している。時刻は暮れ方。気づけば冬なんて通り過ぎてしまったみたいで、まだこの時間帯でも太陽は元気があり余っているようだ。仲間みたいにかたまる葉っぱたちを、陽が照らしている。すると、たちまち黄色に変わる。そこには眩しいくらいの輝きもあって、元々の姿からは想像がつかない。見つめてみる。そこ
2022年10月10日 23:54
霧は凄い。360度どこから見ても、静止物みたいにじっとしている。まるで3D映像を現実で見ているみたいだ。高速道路から見ていたら、あと少し頑張ればもう手に届いてしまいそうだと思ってしまう。「雲に触れてみたい」という子供のような希望が、呆気なく叶ってしまいそうだ。氷のつぶだから、触れたら冷たいだろうか。つぶということだし、固いだろうか。けれどやっぱり、あのフワフワとした見た目か
2022年4月28日 21:33
パラパラパラ、変わることはない。落ちるしかやることもなく、ひたすら落ちつづける。落ちつづけたら、何がある?ひとつぶの砂が言った。もうひとつぶの砂も言う。けれどあるひとつぶは、いや、やってみようさ、と言った。真面目こと言うなよな、と反論の声が聞こえてくる。それでも砂の動きはとまらない。パラパラパラ。あと少し、そんなところで瓶にへばりつく砂がいる。ぼくらは決して落ち
2022年3月6日 20:10
優しく、弦を弾く音がした。もしかしたら、誰かが小さく飛んだ。その動作に効果音をつけるなら、きっとこの音が似合ってる。でも一体、どこから?そう思って見渡すと、その音に合わせて動く人たちがいた。まさかこの楽器から。高貴なあの楽器から、こんな素直な音も聞こえるんだ。うん、聞いてる私の前にも、だんだん緑が生えてきてる。この音を聴いてか、ふわふわ何かも飛んできた。自信をもったブルーの、蝶々が
2022年3月3日 23:54
ぼくの後ろに隠れる僕はいつも僕の行動を見ているぼくとおんなじ背格好をしているけど僕は帽子を被って少し日焼けた肌をしてるよこんなこと打ち明けるのも、そろそろ僕のこと分かっててほしいからどんなに頑張っても知らんふりして寝てしまうぼくに、そろそろ僕も息詰まってるんだ。あるとき僕は君の心を叩いている君の心臓はドキドキしてるこうして僕は後押しするのだぼく、これやってみたほうが良
2021年12月11日 21:25
コートを着て リュックをしょったおじさんなんだかサマになっている横顔マスクの上部の凹み筋が通っているふさふさ白髪混じりのその眉毛その形はななめ直線だあと少しで目に届きそうな眉頭そのシェイプが、若さをつくっている一足先に電車を出ていったあ、そのコート私が持ってる色とおんなじだ果たして どこに行くのだろうまた列車が出発して乱暴に体が右に傾く思い出し
2021年12月11日 21:16
舞台ってなんだ濃い化粧をしてハリのある声を響かせる俳優たちが大ホールに立ち私たち観客が それを見ているそれが舞台というもの?見たこともないから分からない今日 電車に乗った初めて ゆく場所いつも右側に進むけど今日は左に向かうその帰りこっち方面は 人が少ないみたい一人一人の間に五シートくらいの隔たりがあるわたしは先頭列車 にいるある女の人は 運
2021年12月7日 20:27
心に重いものが のしかかって必死に持ち上げようとする足りない筋肉ではぜんぶ退けられないなくなったかと思えばまた石が ころがってくるときどき 耐えられなくなって持ち上げるのですらやめてしまうこんどは別のもので 重みに耐えようとするその痛みを忘れるためにスイーツを食べてみたりするどこか出掛けてみたりする でも その甘さは罪悪感の味話し
2021年11月17日 20:30
バスの中炭酸の音が 響かぬように少しずつ キャップを回して体がプルプル震えていたプシィ と、かよわい音そうやって 油断していたら私の口から プシュッと笑いが漏れそうだ周りを気遣う その優しさとわたしの心も 震えてるかよわいシュッ、を鼻から 小さくこぼした通り過ぎた 自転車横目で見えた 会社帰りらしい風貌見ると リュックのチャックから長ネギだけが つきだして
2021年11月15日 21:38
チヤホヤされてる時が全てじゃないの謙虚な色だからって そうやって生きてるわけじゃないのよ輝けるのは一瞬だけなのひらひらひら「綺麗だねー」部活で休憩中の女の子が言うブチっ「だねぇ、ほらほら」あらっ…なんということ。一生懸命頑張ってたのに。あたしの意思で落ちたかったわ。線香花火でジジっとなるとこまでしかいれなかった、あたし…ひらり ひらり
2021年11月12日 23:31
服はスウェットだし 肌の調子だって大して良くないけれど行きたい 読みたい本があるチョコレートをひとつつまみ スタートダッシュへ図書館まで自転車を漕ぐわたし海のまち この町は風が強いときおり 横殴りの風に負けそうになる体重が ここ最近増えたのにねまだ気にする必要ないのかな私 (白い)線 線 線 線 車窓から見えた運転手は、ディーラーのお姉さんに似てた譲ってくれてありがとう
2021年10月21日 22:09
あなたの夢はなんですか?高校受験のため、私はこの質問に対する回答を用意せねばならなかった正直、夢なんてまだない。こんな時、逃げ口として「こんなん中学生なら夢がない人もいるんだってば!!」と思いたくなる。「将来薬剤師になりたいです。」「看護師に…」クラスの皆は淡々と夢を述べているけど、果たしてそれは本心なのか?こんなことを言うのも気が引けるが、それホント?といちいち疑いなが
2021年11月4日 20:26
毎日一緒にいる。時々、一緒にいすぎて離れたくなるときもある。でも、時々、どうしようもなく愛しくなるときがある。電車に乗ってる時、授業中、ふと「いまごろ日なたぼっこして寝てるのかな」と考える。そんな愛しい、私の愛犬について話そう。私が自分の部屋に行くと、みるちゃんもついてくる。作業中、ふと横を見ると、背中を見せて、しっぽを下げてふせをしている。「かまってほしいなぁ」上