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Hint(まどろみ文庫)

140
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2020年4月の記事一覧

【随想】Zoomしてみる未来

江戸時代の人たちから見て

Zoomを使って
自宅からコミュニケーションを
はかる図は
異様な光景にうつるだろう
誰が
150年後の
パソコンやインターネットのある未来を
想像できたであろうか
逆に
私たちも
150年後の未来を
想像することは
きっとできない
まだ
電気もガスもない当時
平賀源内の
エレキテルの発見(修理)は
画期的であった
そこから
東京の夜景は生まれ
世界中はリアルタイムで

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【随想】文体について

三島由紀夫は文字が宝石のように硬い
理知的でカチカチである
人工物に対する美意識
谷崎潤一郎の場合
人間の自然美への執着
直情的な文章で大変流麗ではあるが艶かしくはない
美でいえば
よほど坂口安吾の方が妖しく艶かしい
夏目漱石は観念と道徳
一文は短く、一切の無駄がない
厳選された文字の連なりが格式高い
江戸川乱歩も研ぎ澄まされた
無駄のない文章
しかしおどろおどろしい、毒々しい内容をも
淡々と描く

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【随想】ジュディット・ホテル(2018)

繰り広げられる意味深な会話
色彩とウィットに富んだカットの連続

赤、青、黄
カラフルな積み木が
シーンを追うごとに
積み上がっていく、そんな感じ

しかし
その積み木は徐々にバランスを失い
何者かによる倒壊の危険性を
孕んでいく

夢とうつつの境目は
現実と妄想の境目は
真実と虚構の境目は

もしかしたら
積み木みたいに分かりやすくは
ないのかもしれない

だから
達磨落としのように
きれいに頭

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【随想】色即是空

LINEも
Facebookも
Instagramも
Twitterも
色即是空

ニコニコも
TikTokも
YouTubeも
Netflixも
色即是空

____

ゆく河の流れは絶えずして
しかももとの水にあらず

____

息の長いメディアは
ゆく河の流れのようなものであるが
誕生してから早いもので15〜6年
よほど人間の生態系にマッチしたとみえる

各メディアに
集まる
烏合の意思は

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【随想】恐怖心って何?

小さい頃
暗闇が怖くて怖くて
夜眠れないという
ことが
誰しもあったのじゃないかと思う

お化けがいるんじゃないか
寝てる間に何者かに襲われるんじゃないか

恐怖心が、恐ろしいことを
想像し、眠らせまいとした

大人になって
あの時の恐怖心はどこにいったのだろうと
考えてみると

暗闇の先に何事もおきなかった
寝ても無事に次の朝起きられた
といった
習慣が持続することで
「ここは安全である」
と徐

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【随想】想像力って何?

今日もまた
長い小説を
少し読み進めた

少しずつ
登場人物たちが
頭の中で
像を結ぶようになってきた

しかし
文字は抽象的な
記号だから
作者が見ている像と
私が見ている像は、きっと違う

それなのに
その体験したこともない
時代も異なる
見ず知らずの他人の
物語を
わかった気になるのは
抽象化された記号を
知識や経験と照らし合わせながら
新たな自分自身の物語として
再構築しているからに他なら

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【随想】終末のフール

昨日の爆笑問題カーボーイは
太田さんの小説
『終末のコメディ』の話
人類の滅亡の危機
災害か戦争かウイルスか
何かが原因で、人類は滅亡しかかっている
ウイルスに感染すると
眼球が飛び出て
瞼が閉じられなくなってゆく
瞼を閉じられないとは、
現実から目をそらせない
ということ
アパートの一室
ウイルスに感染した夫婦は
眼球が飛び出し
目を見開き
テレビに釘付けになっている
そこには
世界の様子を報じ

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【随想】暗黒大陸

流れていって
うつろい
消えゆくテキスト
どこにいくのか
地球上の7割を占める
海はその95%が未知という
人間が処理できない
認知の外側を
闇と呼ぶのではないか
際限なく増え続けるテキストのデータベースは
あっという間に自然になってしまった
自分たちで作り上げた
人跡未踏の大地に
踏み入れるのは
勇敢な冒険者たちか
それとも
人知を超えたAIたちか

【随想】ゆっくり読書

社会人になると
なかなか長い小説を読むことができなくなる
日々に押し流されて
あっという間に過ぎ去った時間に
ふと栞を開いても、はていったいどんな物語であったろうか
思い出すことができない
だから
毎日少しずつ読み進めるというのがいい
無理せず楽しめるゆっくり読書
サスペンスやミステリーのような
ページをめくる手が止まらなくなるような
そういうものではなく
10p読んでも特に大きな出来事があるわけ

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【随想】仏前

熊谷守一の
卵の絵がほしい
コロコロ転がってしまう
卵が4つ
かろうじて
お盆の上で
とまっている
今はお盆の上の方により固まっているが、
明日はもしかしたら
下の方に集まってるかもしれない
いや
結構ばらけて
転がっているかもしれない
危なっかしい
子供のような好奇心が
勝手にどこかに転がっていって
割れてしまわないように
お盆の柔らかい線が
包んでいる

【随想】slice of life

ミニシアター
響きがいい。
コンパクトな映画館。
持ち運びできそうな
組み立て式の映画館。
自転車の後ろにガラガラ乗せて、
寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
今から見てもらうのは
100日後に死ぬワニの物語だよ。
99日まで、ワニのこと、
知らなかったよ。
99日まで、世界線が違ったのかな。
99日目に知っても、
そういう有名なワニが
いるんだくらいで
町ですれ違う人くらいに
気にも止めてなかった

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【随想】さて。今夜私が頂くのは?

さて。今夜私が頂くのは?
がなかなかどうして気持ちが悪い。
何かをやりながらのカメラ目線。
記号的で作り物めいた喋り方。
そもそも、「さて、今夜私が頂くのは◯◯です」
って前後の文脈からも
その映し出されている空間からも隔絶している。
さらに、異界から運び込まれるウーバーイーツ。
わざわざこれから食べるものを視聴者にアピールした直後であるにもかかわらず、届いたときのリアクションは薄い。
さて、って

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【随想】チェイサー

最近、チェイサーって言葉をよく聞く。
追撃者って意味らしい。
最初には、ナホンジンの映画の過去作をたどっていったら出会って
なんだか、響き的にカーチェイス的な映画かなと思って食わず嫌いしそうになったのだけど
ナホンジンの才能を信じてみたらやっぱり面白かった。
物語を映像言語で語れる人はすごい。
そのあと、会社の同僚が貸してくれたチェイサーゲーム。
また、チェイサーだ、はてこの言葉流行っているのか?

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【随想】顔でかいからや

今日はスーパームーン。
月に代わってお仕置きよってことは、
普段月は誰かをお仕置きしているのか。
いつもより月が大きく見える。
じーっと見はられている気分。
月はずっと同じ顔を向けているから、
たまに目をそらしたり、
後ろを向いたりしてくれない。
だから、じーっと監視されているようで。
しかも、スーパームーンは
ぐーっと顔を前につき出しているような感じ。
webカメラを覗き込むテレワーカーの月感。

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