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記事一覧
【随想】小説『俺ではない炎上』浅倉秋成
いやー読んでよかった。中盤ちょっとページを繰る手が止まってしまったが、後半にかけて一気にアクセル全開で面白くなっていった。あまり聞いたことのない出版社(双葉文庫)から出ていて、本屋でも平積みされていなかったので、探し出すのに一苦労だった。最近文庫化されたばかりだから、しかも人気作家だし、平積みされてるだろうとたかを括って探していたのが悪かった。前作が角川から出ていたから、また大手出版社だろうと思い
もっとみる【随想】展覧会『空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン』
フォロン展を観に行きました。
面白かったです。
じっくり見たので、1時間半くらいかかりました。
@東京ステーションギャラリー。
フォロンの絵は、ポスターや画集などで見たことはありましたが、
本物の絵を見たことはありませんでした。
全体的な感想としては、
とてもピュアでわかりやすい人だなと思いました。
もちろんいい意味です。
コンセプチュアルで難解なアートではない。
でも、かといってジャンクな粗悪品
【随想】ドラマ『笑うマトリョーシカ』早見和真(原作)
ハヌッセンは誰なのかというサスペンスで物語をラストまで引っ張ったのにも関わらず
ハヌッセンなんていませんでしたという壮大な梯子外し
それまでの過程が、謎解き(取材)が、回想エピソードは、いったいなんだったんだ
鈴木も
浩子も
佐々木も
諸橋も
富樫も
美和子も
羽生首相も
こいつ怪しいと思わせるだけに登場したのか
いや彼らは清家がどういう人間なのかを伝えるために存在していたのだ
「空っぽな部屋の真
【随想】映画『ラストマイル』塚原あゆ子
うーん。どうだろうか。あんまりよく理解できなかったのか。爆弾の数あってる?そんなことはいい。散りばめられた情報は結構あった。犯人探しが主題の娯楽作品ではない。わりかしちゃんと社会問題を扱った映画。いかんせん社会の一構成員として、客観視することができず、自分には何ができるだろうと、見てる間に辛くなった。様々な問題が解決せぬまま、凝縮されていて、その歪みが事件として顕在化して、ようやく人は目を覚ます。
もっとみる【随想】小説『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈
そう言えば感想を書いてなかった。だいぶ前に読んだ。文字数が少ないのであっという間に読めた。相当話題になっていたのと、作者が爆笑問題のファンということで、太田光もラジオで絶賛していたので、読まずにはいられなかった。本屋大賞や数々の賞も受賞していて、話題としては近年稀に見る、盛り上がり方だった。そんなこともあって、だいぶ期待値が上がっていたのだが、読んでみてどうだったかというと、満足はしたけれども、上
もっとみる【随想】小説『店長がバカすぎて』早見和真
読みました。もっと駄文認めないと駄目ですね。読んだことすら忘れてしまう。吉祥寺にある架空の本屋が舞台。そこで契約社員として働く主人公から見た店長やその本屋に関わる悲喜こもごもが描かれる。テイストとしては伊坂幸太郎の『チルドレン』、最近のだと宮島未奈の『成瀬は天下を取りにいく』が読み心地として近い。『チルドレン』であれば、陣内というトリックスターを、『成瀬は天下を取りにいく』は成瀬という風雲児を、周
もっとみる映画は心地よい洗脳だ
映画館で何百人が静かに大スクリーンに向かってじっと目を向け続ける、こんな異常な状況、よくよく考えたらおかしい。いやだから、映画館に行くのだ。心地よい洗脳を受けたくて。感動したり、泣いたり、映画は自分の感情をコントロールしてくる。洗脳されて、興奮して、おもしろかったなどと感想を書き連ねようものなら、そりゃあ監督はうれしいだろう。自分の作品でうまく洗脳できたのだから。
世界をより良く認識するために
日々の忙しさに流されて生きていると、ふと自分が何を理解して何を理解できていないのか不安になる瞬間がある。そうならないために、きちんと理解できたことを言語化しておこう。いや、言語化できることが理解したことになるのか。世界を言語で理解することが、正しく世界を認識しているかどうかは怪しいが、やはり人間のコミュニケーションにおいて、言語の占める割合はいまだに大きい。ビジュアルを共有するコミュニケーションも
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