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読書記録_本

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読書(漫画以外)の記録。 名前が覚えられないため、外国の本があまり読めない。まほろ市出身。 Instagramにも載せています。 https://www.instagram.co… もっと読む
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2019年8月の記事一覧

『パリの国連で夢を食う。』川内有緒

『パリの国連で夢を食う。』川内有緒

「国連で働きたい」と思ったことがある人も多いのでは。世界の平和、みんなが幸せになるために、私が何かできないか、なんて。私もその考えが頭によぎったことがある。

この本は2000倍の難関を通り抜けて、パリの国連で働いた川内有緒さんの体験記。私は彼女がノンフィクション作家で、恵比寿でギャラリーを営んでいるということをWebのインタビューで目にした。蔡國強と福島のすごいおっちゃんが美術館を作るらしい『空

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『運命の恋をかなえるスタンダール』 水野敬也

『運命の恋をかなえるスタンダール』 水野敬也

机から猫型ロボットが、ランプから妖精が、本からスタンダールが出てきて色んなことをしてくれる。

ひょんなことから水野敬也さんのブログを読んだら、ひっじょーに面白かった。そこでこの本が出てきたので読んでみた。ほら、タイトル通りに運命の恋がかなったら嬉しいし。

主人公は図書館で働く冴えない女子、聡子。ある日図書館にフランス文学を探しにやってくるイケメン(通称「マリウス」)に恋をする。部屋にあった『恋

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『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』 藤井保文・尾原和啓

『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』 藤井保文・尾原和啓

私が3年考えても、というかもっと考えても、残念だけどこの本に出てくるアイデアを思い浮かばない。でも、中国やエストニアといった外国でこのアイデアは実現されて普通の人たちが使っている。「やっば~遅れてる、私やばい、日本やばい」と恐怖心が沸き上がるも、読み進めるうちに「まあそういう流れになるよな」とフラットな気持ちになり、「中国すごいなあ、アリババすごいなあ、頭のいい人たちがいるもんだなあ」と尊敬の念と

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『マンガ家再入門』1-2巻 中川いさみ

『マンガ家再入門』1-2巻 中川いさみ

ゲストがすごい。大友克洋、松本大洋、ちばてつや、弘兼憲史、諸星大二郎、東村アキコという漫画家から、演劇の松尾スズキ、鴻上尚史、日本画家の山口晃などなど。借りた1巻で止めようと思ったら、続きが読みたくて電子書籍で2巻を購入。

私は『スピリッツ』で読んでいたギャグマンガ家の中川いさみさんがデビューから30年を経て、新たにストーリー漫画を描こうとする。さしあたっては先輩方に描き方を習おう、というインタ

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『細野不二彦短編集』2,3 細野不二彦

『細野不二彦短編集』2,3 細野不二彦

お盆に実家に帰ったら「読む?」と母から言われたのでありがたく読む。彼女は『ギャラリーフェイク』が好きなのだ。私も好きだけど。1巻がなかったらしいので、2巻と3巻。

『ギャラリーフェイク』の細野不二彦さんによる短編集。私は一時期、骨董屋に勤めていてその時に勉強を兼ねて読んだのが『へうげもの』と『ギャラリーフェイク』。(私は何か新しい知識を入れようとするときはまず漫画を探す。発酵、医療、日本/ローマ

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『孤宿の人』 宮部みゆき

『孤宿の人』 宮部みゆき

「こんな長い本を読めるのか、自分?」と読み始めて思う。『初ものがたり』を勧めてくれた友人が、「宮部みゆきの歴史モノが気に入ったなら、これを読むといいよ。」と教えてくれたから面白いはず、と読み進めたらいつの間にかちゃんと入り込めた。壮大な話なので、じっくり色々な伏線が貼られていくのを待つ必要がある。反物を織るには丁寧な縦糸の準備が必要。準備に手間がかかる分だけ、目の詰まった綺麗な反物が織り上がる。

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『町田くんの世界』 安藤ゆき

『町田くんの世界』 安藤ゆき

あぁ、恋に落ちるってこういうことだ。世界に私と彼しかいなくなって、その間に存在するものがない。だから無防備な自分になる。えっ、不安・・・でも、何だろう、戸惑いだけでなくて高揚感もあって・・・と最初のエピソードでがっつり町田くんに恋をしたのは、彼が私好みのメガネ男子だっただけではない。

町田くんがどういう人かを知らない人に説明しよう。大家族の長男の高校生だ。勉強もできないし運動もできない。料理もで

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『野の医者は笑う: 心の治療とは何か?』東畑開人

『野の医者は笑う: 心の治療とは何か?』東畑開人

私は約10年間、結構なスピリチュアル・健康・自己啓発ジプシーをしていた。2年くらい前に「こんなに一生懸命実践しているのに、なんで全然モテないしお金持ちにもならないのだろう?アホくさいからやめよう。」とストイックな生活に見切りをつけて、現実世界で享楽的に生きるようになったら人生が楽しくなった、という状況である。あの愛と光と成長、そして一時の高揚に満ちた蠱惑的な世界と、ヨレヨレで藁にもすがりたい自分っ

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『はぐちさん 5』 くらっぺ

『はぐちさん 5』 くらっぺ

一人暮らしの同居者として最適なのは、猫でも犬でもなく、「はぐちさん」だと思う。卵のような、餅のような、小さな白い生き物、はぐちさん。会社に行っている間に洗濯などの家事をしてくれるし、温かい晩ご飯を作って家で待っていてくれる。時には駅まで迎えに来てくれる。週末はお出かけをせがんでくるから一緒にお出かけする。でも何よりかわいい。一見ブサイクというかキモく見えるはぐちさんがどれだけかわいいかは、マンガを

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『へろへろ ー雑誌「ヨレヨレ」と「宅老所よりあい」の人々』  鹿子裕文

『へろへろ ー雑誌「ヨレヨレ」と「宅老所よりあい」の人々』 鹿子裕文

この本は有名コンサル会社とか投資銀行出身といった百戦錬磨のビジネスパーソンによるスタートアップの話ではない。ユニークなアイデアをSNSで拡散して「いいね!」と資金を集めて実現したクラウドファンディングのお話でもない。お金も権力もない福岡の老人介護施設「よりあい」の人々(普通のおばちゃんとか)が、森を見つけ、その土地を獲得し特別養護老人ホームを作るまでのお話。この『へろへろ』を私はニヤニヤ、おろおろ

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