#355 「ビジネス頭の体操」 7月5日、6日のケーススタディ
はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。
→部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。
7月5日(月) 警備会社は1万社もある!?
日本で初めての警備保障会社として1962年(昭和37年)に創業し、日本に「安全産業」を創出したセコム株式会社が、創立50周年の記念の年の2012年(平成24年)に制定した「セコムの日」です。
日付は社名のセコムにちなみ、7月5日、6日を「セ(7)コ(5)ム(6)」と読む語呂合わせから。
セコム。
「セコムしてますか?」というコピーで一般住宅の警備を普及させたパイオニア、でしょう。
そこで、警備業界について調べてみました。
まず、市場規模ですが、
警察庁「令和元年における警備業の概況」によると、一般社団法人全国警備業協会が集計した売上高は3兆5,534億円(令和元年)でした。
驚くのは警備業者の数でして、令和元年12月末現在で9,908もの事業者が存在し、かつ増加しているのです。
そして、警備業界で働く警備員の数は同じく令和元年12月末現在で、57万人を超えています。
警備保障タイムズの「2020年度警備業売上高ランキング」によると、TOP5は以下の通り。
1位 セコム 3,989億円
2位 綜合警備保障 2,432億円
3位 セントラル警備保障 556億円
4位 アサヒセキュリティ 472億円
5位 全日警 409億円
セコムと綜合警備保障が2強です。
同じ業界に属する両社ですが、売上構成比をみるとかなり異なることが、両社の2021年3月期の決算を見てみるとよくわかります。
まずセコム。
次に綜合警備保障。
警備事業の占める割合は、セコムが54%、綜合警備保障が77%。
それに加えて、セコムは
☑️ 防災事業(13%)
☑️ BPO・ICT(10%)
☑️ メディカルサービス(6%)
☑️ 地理空間情報サービス(5%)
☑️ 保険(4%)
と多彩な事業も行なっており、一方の綜合警備保障は
☑️ 防災事業(15%)
☑️ 介護事業(6%)
がある、という構成です。
最後になってしまいましたが、一言で警備事業といいますが、先ほどの警備事業法で警備業務の種類は4つに分けられています。
☑️ 1号業務:施設警備
☑️ 2号業務:雑踏・交通誘導警備
☑️ 3号業務:運搬警備
☑️ 4号業務:身辺警備
さらに国家資格も6つあって、それぞれ2級と1級があります。
☑️ 施設警備業務
☑️ 交通誘導警備業務
☑️ 雑踏警備業務
☑️ 貴重品運搬警備業務
☑️ 核燃料物質等危険物運搬警備業務
☑️ 空港保安警備業務
→警備業界。圧倒的な大手2社があるものの、合わせたシェアは2割に満たない。なぜ多くの中小事業者が存在でき、かつ増えているのだろうか?
7月6日(火) 国産ピアノは100%○○県で作られている!?
1823年(文政6年)のこの日、オランダ商館医となるドイツの医師シーボルト(Siebold、1796~1866年)が日本に初めてピアノを持ち込んだとされることに因んだ「ピアノの日」です。
ピアノ。
調べてみました。
まず、ピアノのグローバルでのシェアはヤマハ、カワイの2社が1位、2位だそうです。正確な統計が見つからなかったのですが、ヤマハのHPでは以下のようなグラフがあります。ピアノでは3割ほどのシェアを持っていることが分かります。
そしてこのピアノ、国内生産は全て静岡県で行われています(静岡県HP)。
出荷台数は3.5万台前後で推移していいますが、出荷額は、平成23年の316億円から減少し、近年では180億円台となっていることが分かります。
昔は子供の習い事の定番の1つであったピアノも、少子化の影響で縮小傾向なのでしょう。
と、思いきや、カシオ計算機が行なった「1年以内に楽器を始めた人への意識調査」(2020年8月公表)によると、感染症による外出自粛を契機に楽器を始める、または、再開した人が一定数いることが分かります。
中でも人気が高いのが、電子ピアノです。
ピアノはアップライトピアノが5番目に入っています。
年齢別では、男女共40代の割合が高く、女性では30代、男性では50代も多くなっています。
しかも、9割は今後も続けたい、と回答していますので、より良い楽器を、という動きで市場が活性化する可能性もあるかもしれません。
ちょっと脱線ですが、同じ調査で、楽器の演奏をする代わりに減った時間はテレビ、ネットサーフィン、という答えが多く、反省を込めてですが、こういった、なんとなく過ごしている時間を整理すれば有意義(人によりますが)な時間を過ごせるんだなぁ、と思ってしまいました…
では、最後に、ピアノメーカーの2TOP、ヤマハとカワイの2021年3月期の決算を見てみましょう。
ちなみに、ヤマハの創業以来の累計生産台数は約640万台、カワイは約280万台だそうです。すごい数ですね。それまで手作りで少量生産品、高価だったピアノを機械生産も取り入れて均質で安価に大量に提供することで成長してきたのが日本のメーカーなのです。
まず、ヤマハ。
ピアノ以外も含む楽器事業の売上高が2,390億円。
うち、ピアノが519億円。
次に、カワイ。
楽器という事業ではなく、「楽器教育」というカテゴリになっているのが特徴で、551億円です。
同社は「鍵盤楽器」という、ピアノとデジタルピアノを合算した業績のみ公表しているのですが、合計で342億円となっています。差分の209億円は音楽教室等の「教育」事業と考えられます。ちょっと驚きました。
また、カワイの決算では、デジタルピアノ(電子ピアノ)が世界的に売上が増えていること、特に日本では140%近い伸びであることが分かり、先ほどのカシオ計算機の調査とも合致します。
また、地域別では中国のピアノ市場の大きさも目立ちます。
最後に、コロナ禍での「音楽の力」という東洋経済の記事をご紹介します。
→ ニューノーマル、ではこれまでにない商品やサービスが出てくる、という方向もあるが、楽器のように、復活マーケット、見直しマーケット、というのも大きいかもしれない。他にどのようなマーケットが考えられるだろうか?
最後までお読みいただきありがとうございます。
1つでも皆様の頭の体操になるものがあれば嬉しいです。
昨年7月からこうした投稿を続けてきました。以下のマガジンにまとめています。だいぶ溜まりました。ご興味がありましたら覗いてみてください。