葬式仏教の研究

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記事

15 目蓮の物語/葬式仏教の世界観②

このお盆であるが、仏教的には、盂蘭盆経というお経がもとになって始められたと考えられている。そこで語られているのは、お釈迦さまの弟子である目蓮を主人公とした物語である。

 目蓮は、神通第一と呼ばれていて、弟子の中でも、神通力に優れているお坊さんである。

 ある時、目蓮は、亡くなった母親のことを思い出し、今どこにいるのか、安らかに過ごせているのかと気になり始めた。そこで得意の神通力で母親がどこにい

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14 お盆の原風景/葬式仏教の世界観①

葬式仏教には、いわゆる仏教の世界観とは異なる宗教世界がある。

 仏教の教義的な宗教世界は、実に壮大な世界である。お経ごとに様々な物語や世界観が広がり、複雑かつ緻密なことも特徴だ。

 それに対して葬式仏教の宗教世界は、素朴で、感性的な世界である。日本の風土から生まれた宗教世界と言ってもいい。

 この葬式仏教の宗教世界をもっともよく表しているものに、お盆がある。お盆の期間、家庭で行われる営みは、

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13 葬式仏教は堕落した仏教なのか?/葬式仏教という宗教④

ひろさちや氏の批判

 ここで、このような「なんとなくの仏教徒」に支えられた仏教は本当に仏教と言えるのだろうか、教えをあまり説かず、先祖供養に支えられた葬式仏教はほんとうに仏教と言えるのだろうかという疑問が出てくる。

 前述の通り、「日本の仏教は葬式仏教で、堕落した仏教に過ぎず、本来の仏教ではない」という考え方をする人は少なくない。むしろ、仏教に詳しい人ほど、こうした考え方を持ちやすい。釈迦の仏

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12 なんとなくの仏教徒が多い理由/葬式仏教という宗教③

おおらかな日本人の信仰

 日本には、こうした「なんとなくの仏教徒」が多いのであるが、そもそも仏教徒というのは、どのくらいいるのだろうか?

 文化庁の『宗教年鑑』令和元年度版によると、8433万人が仏教系宗教団体の信者ということになっている。日本の人口は、1億2615万人だから、人口の67パーセントが仏教徒だということになる。

 ちなみに神道系宗教団体の信者は、8721万人の信者があり、この二

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11 葬式仏教は本来の仏教じゃない?/葬式仏教という宗教②

言うまでも無いが、仏教は、紀元前五世紀頃にインドで生まれたお釈迦さまが、人生をよりよく生きるための教えを説いたことに始まり、アジア全域に広がっていった世界宗教である。

 ところが現代日本の仏教は、このお釈迦さまが説いた時代の仏教とは、かなり様相が異なっている。その最大の特徴は、人が生きるための活動より、葬儀など人の死に関わる活動に大きな比重があることである。そうした現状を象徴する言葉がある。それ

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10 ある一周忌のエピソード(山田太郎の場合)/葬式仏教という宗教①

山田太郎は、ごく普通の会社員である。

 一年前、静岡の実家に住んでいた母親が亡くなって葬式を行った。父親は十年前に亡くなっていたので、喪主は太郎だった。

 そして今回、一周忌を行うことになった。やはり施主は太郎である。場所は、お墓のある静岡のお寺、お経はそこの住職さんに読んでもらうことになった。

 その日の朝、新幹線で東京から静岡に向かう。太郎と太郎の妻、大学生の娘の三人である。子どもは他に

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9 戒名をめぐる仏教と社会のズレ/イオンとアマゾンをめぐるお布施論争⑧

実は全日本仏教会では、このイオンとの間に騒動があった約十年前にも、似たような問題が起きている。

  それは平成九年六月二十一日の朝日新聞の朝刊に、浄土宗宗務総長で作家の寺内大吉氏(ペンネーム/本名は成田有恒)と宗教学者の山折哲雄氏の対談が掲載されたことがきっかけだった。

  対談のタイトルは「戒名はいる? いらない?」である。

  対談では、それぞれの立場から、戒名の意義や歴史などについて淡

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8 僧侶を派遣するというビジネスが生まれた理由/イオンとアマゾンをめぐるお布施論争⑦

イオンとアマゾンが仏教界と対立した問題で、この両者が異なることがもう一つある。

 イオンの場合は、イオンのお葬式が僧侶を派遣していることは、あまり表に出していなかった(実際は行っている)。ところが、アマゾンの場合は、僧侶を派遣することそのものが商品として提示されたということだ。

 もちろんアマゾンが直接に派遣しているわけではない。前述の通り、株式会社よりそうという会社がその業務を行い、アマゾン

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7 全日仏は何と戦っていたのか?/「イオンとアマゾンをめぐるお布施論争⑥

お布施をめぐって、イオンとの問題が二十二年に起き、五年後の二十七年、アマゾンとの問題が起きた。同様の問題は、それ以前もその間にもあったのだが、やはりイオン、アマゾンという巨大企業がここに関わることで、仏教界は大きな不安を感じたのは間違いないだろう。

  この二つの問題は、共通する要素が多いものの、中身を見ると、若干の相違点も見えてくる。

  まずイオンで問題になったのは葬儀であるが、アマゾンの

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6 アマゾンでお坊さんを呼べる時代/イオンとアマゾンをめぐるお布施論争⑤

仏教界がイオンと対立した五年後、今度は、仏教界とインターネット通販サイトのアマゾン・ジャパンとの間で騒動が起きている。

 平成二十七年十二月八日、アマゾンに、法事(年回法要)を行う僧侶を手配できるという「お坊さん便」というサービスが出品された。最初はアマゾンとお坊さんという組み合わせが新奇なこともあって、ネットニュースで取り上げられ、SNSなどで話題になっていたという程度であった。

 ところが

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