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ルソー『社会契約論』を読む

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過去に執筆した記事のうち、『社会契約論』の紹介をした記事がまとめてあります。
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#倫理

ルソー『社会契約論』を読む(最終回)

ルソー『社会契約論』を読む(最終回)

 これまで、本編を14回、号外を2回と、計16回もの間にわたって『社会契約論』を読んできました。いよいよ今回が最終回です。さっそく内容を読みましょう。

本題に入る前に この「市民宗教について」と題された章は、事実上、『社会契約論』の最終章といって良い位置づけになっています。厳密に言えば、「結論」と題された章がこの次に続きますから、最終章ではないのですが、そうした形式的な意味ではなく、この章の内容

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ルソー『社会契約論』を読む(14)

ルソー『社会契約論』を読む(14)

 さて、今回からは第四篇。『社会契約論』もいよいよラストスパートです。さっそく読んでいきましょう。

一般意志は破壊できない ここで言われる意志、それは「一般意志」です。この点はもう大丈夫でしょう。ここまでルソーを読んできた人なら、わかるはずです。

 一般意志だけが支配する国家。そこでは、国家のあらゆる原動力は活気に満ちて単純で、国家の格率は明快であり、光り輝いています。そこに利害の対立や矛盾は

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ルソー『社会契約論』を読む(号外)
ルソーにおける「執行権」の概念とその所在

ルソー『社会契約論』を読む(号外) ルソーにおける「執行権」の概念とその所在

以前書いた記事の中で、とあるコメントをいただきました。そのコメントは、「ルソーにおいて「執行権」という概念はあるのか?」という内容。

 こうして私の書いた記事にコメントを頂けるだなんて・・・と嬉しく思っています。と同時に、いただいたコメントが上記のような「質問」でしたので、今回はその質問に対して、私の知りうる限りでお答えする、という回にしたいと思います。

 いつも記事を読んでくださっている方々

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ルソー『社会契約論』を読む(9)

ルソー『社会契約論』を読む(9)

 好評の企画、第九弾。今回からは第三篇を読んでいきます。ルソーは、こんな風に第三篇をはじめます。

読者へ 現代の社会は、「分かりやすい」ことが「良い」とされる時代です。もちろん、そのような時代だからこそ、このnoteのような「分かりやすい」解説記事の存在意義があります。本屋さんを見ても、『○○時間で分かる!』とか『初心者のための○○講座』とか『○○必勝法!』とか、『○○週間でできる』とか、そんな

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ルソー『社会契約論』を読む(4)

ルソー『社会契約論』を読む(4)

 今回からは第二篇です。さっそくどんどん読んでいきます。

 今回は、民主主義の提唱者ルソーの思想の核心に迫る、まさに「神回」です(自分で言うんかい)。

第一篇のおさらい まず、第一篇で語られた「社会契約」について、いま一度確認しておきましょう。

主権は「譲渡できない」 さて、これまでの議論から導き出されることを、ルソーは次のように語ります。

国家はそもそも、公共の福祉を目指して設立されたも

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ルソー『社会契約論』を読む(3)

ルソー『社会契約論』を読む(3)

 大好評(?)の読解企画。『社会契約論』の第三弾です。

 今日はとても重要な箇所で、実は、以前別の記事で該当箇所を紹介したことがあります。良かったらそちらの記事もご覧ください。

これまでのおさらい 統治の正当性の解明を目指した『社会契約論』は、本論に入る前に、第二章で「父権」を、第三章で「最強者の権利」を、第四章で「奴隷権」を、それぞれ批判したのでした。

社会契約とは何か 上の「これまでのお

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