小林範之

人材関係の仕事をしています。最近、「サーキュラー・エコノミー」や「リジェネラティヴ」、…

小林範之

人材関係の仕事をしています。最近、「サーキュラー・エコノミー」や「リジェネラティヴ」、「ネガティブケイパビリティ」などの言葉が気になっているアラフィフ男性です。たまに哲学とか歴史とか、気になったことを記事にしています。

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  • 共感コミュニティ通貨eumo

    • 91本

    共感資本社会を目指すeumoに関する記事を載せています。共同で作成しているマガジンです。

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    ■全体目次 https://note.com/enflow/n/n51b86f9d3e39 ■「ティール組織」の著者であるFrederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEY( https://thejourney.reinventingorganizations.com/ ) の日本語訳を公開しています。 ■支援する方はこちらから 全てギフトエコノミーで成り立っているので、この取り組みに共感される方はぜひ以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

記事一覧

固定された記事

組織進化とキャリア自律について~ティール組織とプロティアン・キャリアとの出会い~

はじめに ある出来事がきっかけになって、組織進化のことについて少し書いてみたいと思いました。「ティール組織」は、原始的な組織から先進的な組織へ進化のことを言っ…

小林範之
2か月前
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「労働時間の再分配」についてChatGPTに聞いてみた

ルトガー・ブレグマンの『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』という本を読んでいるときに、「20世紀には富の再分配が進んだ。今世紀は、労…

小林範之
3日前
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ティール組織は、必ずしも自律分散組織というわけではない

何気なく、「ティール組織」は、自律的な働き方をする個人で構成され、自律分散した組織を指すと思われがちですが、実際には、そうした形態は非常にまれです。 「ティー…

小林範之
10日前
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怠けることと監視願望 ~日本人の労働観~

コロナが始まった頃、ほぼ強制的に、リモートワークが拡がりました。多くの人が自宅での勤務という慣れない事態になんとか対応しようとしたと思います。 そんな時、ある…

小林範之
10日前
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勤勉さと非開放性 ~日本を「働き方後進国」にしているもの~

おとといの夜、令三社さんのイベント、「【著者登壇!】『コーポレート・レベルズ』出版記念ウェビナー」に参加しました。 最後の質疑応答コーナーで、マネジメントのやり…

小林範之
1か月前
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奈良と福岡は相似形 ~地形地図から邪馬台国を探す~

新しい都を作るとき、その都が栄えるように、過去に栄えた都の構造を模して、相似形で作られることが多いようです。江戸が作られた時も京都がモデルとなりました。鬼門方向…

小林範之
3か月前
14

浮遊感とメタ認知 ~『盗まれた神話 記・紀の秘密』を読んで~

例えば宝探しをするとき、私たちはあらかじめ場所を絞り込んで、そこに集中して探索をします。しかし、最初の絞り込みが間違っていたら、永遠に宝にたどり着くことはできま…

小林範之
3か月前
3

意識の誕生と争いのはじまり ~縄文から弥生への意識の変遷~

いま私の周りでは、戦争や格差のない時代であったことを理由に、大勢の人が、縄文時代回帰への関心を高めています。私はそれが単に共同幻想となってしまわないように、知り…

小林範之
3か月前
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賃金を上げたら自殺者が増えるんですか? ~「NHKスペシャル 2024私たちの選択 -AI×専門家による“6つの未来”-」を視ての感…

・賃金を上げたら自殺者が増えるんですか? ・テレワークを推奨して、育休取得率も上げて、労働時間が減った先には、「幸福」を手放さないといけないのですか? この番組…

小林範之
4か月前
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「環境破壊」「格差」「戦争」は弥生時代に始まったというのは本当か?そして、日本人のルーツとは?遺伝子情報から見る「天孫降…

最近、「縄文時代への回帰」が一部でブームになっているようです。簡単にいうと、現在の三悪と言われている「環境破壊」「格差」「戦争」、これらはすべて弥生時代に始まっ…

小林範之
4か月前
7

ティール組織の「Evolutionary purpose」はなぜ「存在目的」なのかを勝手に考察してみた

ティール組織の3つのブレイクスルーと呼ばれる、ホールネス・セルフマネジメント・エボリューショナリー・パーパスは、それぞれ、全体性・自主経営・存在目的と訳されます…

小林範之
6か月前
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実は、私は、コミュニティ・イベントがものすごく苦手であることが分かった件

先日、ある食に関するコミュニティ・イベントに参加してきました。主催者の方のブログを読んで、これは一度いただいてみたいと心底思ったからです。 店に着いて、店自体が…

小林範之
7か月前
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氷川神社、久伊豆神社、香取神社の分布からわかる“国”の成り立ち

私は、関西出身で、もうかれこれ20年近く関東に住んでいます。関西になくて関東にあるものの一つが氷川神社です。私は長い間、氷川神社は、関東一円に、特に河川の流域を中…

小林範之
8か月前
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トランスパーソナル心理学の25年周期説

現在は、トランスパーソナル心理学や成人発達理論のブームの時期なのだと思います。それらがタイトルについた数多くの本が出版されています。しかし、心理学の分野で新しい…

小林範之
8か月前
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ことばから知る、縄文人・弥生人の感覚

日本人はどこから来たのか、そのルーツはどこにあるのかという問いは、DNAのハプロタイプによってほぼ解明されました。しかし、日本語のルーツは、依然、謎のままなのです…

小林範之
9か月前
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「結晶性知能」とシニア向けビジネス

最近、「流動性知能、結晶性知能」という言葉をよく聞きます。なんでも、「流動性知能」とは、情報を獲得し、それをスピーディーに処理・加工・操作する知能のことで、暗記…

小林範之
10か月前
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組織進化とキャリア自律について~ティール組織とプロティアン・キャリアとの出会い~


はじめに

ある出来事がきっかけになって、組織進化のことについて少し書いてみたいと思いました。「ティール組織」は、原始的な組織から先進的な組織へ進化のことを言っていますが、進化する主体が何なのか、うまく説明できた文章に出会うことはほとんどありません。一つは、そこの解像度を上げて書いてみたいと思いました。もう一つはグリーン化する組織に辞める社員といった現象に対して、それをキャリア自律の観点から捉え

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「労働時間の再分配」についてChatGPTに聞いてみた

ルトガー・ブレグマンの『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』という本を読んでいるときに、「20世紀には富の再分配が進んだ。今世紀は、労働時間の再分配が行われるだろう」という一文が目に止まりました。ジェームズ・W・ヴァウペルという人口統計学者の言葉です。近い将来、人々は、自身の収入のために、また、自身の健康のために、80歳まで働くようになる。そして、若い世代との間で、労

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ティール組織は、必ずしも自律分散組織というわけではない

何気なく、「ティール組織」は、自律的な働き方をする個人で構成され、自律分散した組織を指すと思われがちですが、実際には、そうした形態は非常にまれです。

「ティール組織」の著者であるフレデリック・ラルーも、個人について「自律分散した働き方」という表現を使ったことはないと思います。むしろ、彼が述べるのは、個人ではなくチーム全体が「自律分散チーム」として機能することです。ビュートゾルフ、京セラ、ハイア

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怠けることと監視願望 ~日本人の労働観~

怠けることと監視願望 ~日本人の労働観~

コロナが始まった頃、ほぼ強制的に、リモートワークが拡がりました。多くの人が自宅での勤務という慣れない事態になんとか対応しようとしたと思います。

そんな時、ある経営者の方からこんなお話を聞きました。なんでも、その会社のあるスタッフの方から、カメラONで24時間ZOOMをつなぎっぱなしにしておいて欲しいという要望を受けて困っているということでした。そのスタッフの方にしてみれば、「家にいる=仕事をし

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勤勉さと非開放性 ~日本を「働き方後進国」にしているもの~

勤勉さと非開放性 ~日本を「働き方後進国」にしているもの~

おとといの夜、令三社さんのイベント、「【著者登壇!】『コーポレート・レベルズ』出版記念ウェビナー」に参加しました。

最後の質疑応答コーナーで、マネジメントのやり方や働き方の国際比較といった質問が出ていました。著者であり登壇者のモーア氏からは、マネジメントのスタイルに大差はないとした上で、日本は組織変化に取り組めてない企業が圧倒的に多いという指摘がありました。さらに、意思決定が遅く、変化対応に弱い

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奈良と福岡は相似形 ~地形地図から邪馬台国を探す~

奈良と福岡は相似形 ~地形地図から邪馬台国を探す~

新しい都を作るとき、その都が栄えるように、過去に栄えた都の構造を模して、相似形で作られることが多いようです。江戸が作られた時も京都がモデルとなりました。鬼門方向にある上野山が比叡山に見立てられ、延暦寺に模して寛永寺が立てられました。不忍の池は琵琶湖。真ん中には竹生島を模して弁財天が安置されました。

福岡県の地図を見ていると、その形が、左右反転はしますが、大阪湾と奈良盆地の構造に酷似していることに

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浮遊感とメタ認知 ~『盗まれた神話 記・紀の秘密』を読んで~

浮遊感とメタ認知 ~『盗まれた神話 記・紀の秘密』を読んで~

例えば宝探しをするとき、私たちはあらかじめ場所を絞り込んで、そこに集中して探索をします。しかし、最初の絞り込みが間違っていたら、永遠に宝にたどり着くことはできません。

会社などでもそうでしょう。事象をカテゴライズして、目星をつけたら誰もそこにしか注力しない。思い込みからよく吟味もせず、最初に宝を捨てているといったことは、頻繁に起こっているのではないでしょうか。

その点、著者の古田武彦の研究方法

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意識の誕生と争いのはじまり ~縄文から弥生への意識の変遷~

意識の誕生と争いのはじまり ~縄文から弥生への意識の変遷~

いま私の周りでは、戦争や格差のない時代であったことを理由に、大勢の人が、縄文時代回帰への関心を高めています。私はそれが単に共同幻想となってしまわないように、知りうる限りの力を使って、多角的に整理したいと思っています。共同幻想の怖いところは、それが特定の人たちの意志によってコントロールできてしまうところにあります。なので、憧れに対するメリット、デメリットを知った上で、自らの判断で共同幻想に参加したい

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賃金を上げたら自殺者が増えるんですか? ~「NHKスペシャル 2024私たちの選択 -AI×専門家による“6つの未来”-」を視ての感想~

賃金を上げたら自殺者が増えるんですか? ~「NHKスペシャル 2024私たちの選択 -AI×専門家による“6つの未来”-」を視ての感想~

・賃金を上げたら自殺者が増えるんですか?
・テレワークを推奨して、育休取得率も上げて、労働時間が減った先には、「幸福」を手放さないといけないのですか?

この番組を見て、率直に感じたのは上の2つのことでした。

AIが指し示す私たちの30年後の未来は大きく6つのシナリオに分類される。そして、何年までにこれを達成していないといけないといった分岐点が複数存在する。皆さんの望む未来はどこにありますか?と

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「環境破壊」「格差」「戦争」は弥生時代に始まったというのは本当か?そして、日本人のルーツとは?遺伝子情報から見る「天孫降臨」

「環境破壊」「格差」「戦争」は弥生時代に始まったというのは本当か?そして、日本人のルーツとは?遺伝子情報から見る「天孫降臨」

最近、「縄文時代への回帰」が一部でブームになっているようです。簡単にいうと、現在の三悪と言われている「環境破壊」「格差」「戦争」、これらはすべて弥生時代に始まったというものです。目の敵にされている、「所有」という概念や、資本主義の原型がそこにあると言われます。私は正直、数千年前のことが分かるものかと高をくくっています。しかし、それならば、やはり調べてみなければなりません。そこで、次のような問いを立

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ティール組織の「Evolutionary purpose」はなぜ「存在目的」なのかを勝手に考察してみた

ティール組織の3つのブレイクスルーと呼ばれる、ホールネス・セルフマネジメント・エボリューショナリー・パーパスは、それぞれ、全体性・自主経営・存在目的と訳されます。

「存在目的」と聞いて、昭和世代は、「レゾンデートル(存在理由)」のことを想起されるのではないでしょうか。生きている理由というか、何のために存在しているのかという問いに対しての答えです。ただし、「Evolutionary purpose

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実は、私は、コミュニティ・イベントがものすごく苦手であることが分かった件

先日、ある食に関するコミュニティ・イベントに参加してきました。主催者の方のブログを読んで、これは一度いただいてみたいと心底思ったからです。

店に着いて、店自体がイベント用の急づくりでスタッフもみんなボランティアっぽいなと感じ、ただ、それはそういうものかと受け流していました。しかし、奥の大テーブルの片隅を案内されて、しまったというか、店に来たのをものすごく後悔しました。

初対面の人たちがニコニコ

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氷川神社、久伊豆神社、香取神社の分布からわかる“国”の成り立ち

氷川神社、久伊豆神社、香取神社の分布からわかる“国”の成り立ち

私は、関西出身で、もうかれこれ20年近く関東に住んでいます。関西になくて関東にあるものの一つが氷川神社です。私は長い間、氷川神社は、関東一円に、特に河川の流域を中心に分布しているのかと思っていました。昨日、ふと気になって、Google mapで氷川神社の場所を検索して分かったのですが、全く関東全域などではなく、分布の中心は東京と埼玉に偏っていました。それよりも、特に千葉方面にはまったくないことがす

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トランスパーソナル心理学の25年周期説

トランスパーソナル心理学の25年周期説

現在は、トランスパーソナル心理学や成人発達理論のブームの時期なのだと思います。それらがタイトルについた数多くの本が出版されています。しかし、心理学の分野で新しい発見があったとかではなく、ほとんどが過去の焼き直しのような気がしています。私が学生から社会人の最初の時期を過ごした1990年代の後半から2000年頃にかけても、ニューサイエンスの残り香か、複雑系ブームに乗ってか分かりませんが、東洋的なアプロ

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ことばから知る、縄文人・弥生人の感覚

ことばから知る、縄文人・弥生人の感覚

日本人はどこから来たのか、そのルーツはどこにあるのかという問いは、DNAのハプロタイプによってほぼ解明されました。しかし、日本語のルーツは、依然、謎のままなのです。表音文字としての漢字が入ってくる前から、文字のない時代から、縄文~弥生に起源を持つ、「やまとことば」が存在してきました。中国や近隣のアジア地域にも、日本語のような音節言語(イ・ン・グ・リッ・シュと音節ごとに区切って発音する)が見当たらな

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「結晶性知能」とシニア向けビジネス

「結晶性知能」とシニア向けビジネス

最近、「流動性知能、結晶性知能」という言葉をよく聞きます。なんでも、「流動性知能」とは、情報を獲得し、それをスピーディーに処理・加工・操作する知能のことで、暗記力・計算力・直観力などが該当するそうです。そして、それは、10代から20代にピークとなるそうです。一方で、「結晶性知能」とは、経験や学習などから獲得していく知能のことで、言語力に強く依存し、洞察力、理解力、批判や創造の能力といったものが該当

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