小林範之

人材関係の仕事をしています。たまに哲学や歴史、キャリアのことなど、こんなの発見しました…

小林範之

人材関係の仕事をしています。たまに哲学や歴史、キャリアのことなど、こんなの発見しましたというノリで、気になったことを記事にしています。

マガジン

  • 共感コミュニティ通貨eumo

    • 93本

    共感資本社会を目指すeumoに関する記事を載せています。共同で作成しているマガジンです。

  • 【翻訳メモ】INSIGHTS FOR THE JOURNEY

    • 141本

    ■全体目次 https://note.com/enflow/n/n51b86f9d3e39 ■「ティール組織」の著者であるFrederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEY( https://thejourney.reinventingorganizations.com/ ) の日本語訳を公開しています。 ■支援する方はこちらから 全てギフトエコノミーで成り立っているので、この取り組みに共感される方はぜひ以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

最近の記事

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こういう「キャリア自律」もあるのだろうか

「キャリア自律」とは、「キャリア・オーナーシップ」とも言われる。キャリア形成は会社任せにせず、自分自身で主体的にやっていくという意味だ。ということは自分でコントロールできるものがあるなら、それが一番良いようにも思う。 上で、「会社任せにせず」と言った、その「会社」という枠組みがキーとなる。枠があり、その中で優劣を競い、ランクアップができるものなら、そこでは「ゲーム」が成立する。キャリアが「昇進」を扱う一種のゲームだとしたら、そこには、ルールの監督者であるゲームマスターが存

    • 私は、根っからの「レジスタンス」であると気付いた件

      これは自己紹介的な文章になります。 近年、といってもかれこれ、ここ5~6年ですが、ずっと啓蒙的な側面から「ティール組織」を広げる活動をやってきて、自分もつくづく「レジスタンス」だなぁと感じる時があります。ティールといえば、自然主義的で生命論的な側面があると同時に、反ヒエラルキー、反権威主義、反封建的体制に裏打ちされた人間性の解放というフィロソフィーがその根底に強く流れています。それをご存知の方は、私の言う「レジスタンス」という意味がよくご理解いただけると思います。 『

      • 「関係性重視」の傾向は良いのだけれども

        ジェイン・ジェイコブズ(Jane Jacobs)は、著書『市場の倫理 統治の倫理』の中で、社会の中で相互に作用する二つの異なる倫理体系を提唱しています。この二つの倫理は、「商業の倫理」と「統治の倫理」と呼ばれ、基本的に混ざり合うことはないとされています。以下に、それぞれの倫理体系の概要を説明します。 平たくいうと、【商業の倫理】とは「お金」が媒介となる原理です。対立が解消されない場合はお金で解決しましょう、違約金、解約金、罰金・・・、でも納得いかなかったら最後は闘争ですよね

        • 失敗に不寛容な組織のリーダーは、リーダーに必要な経験を積めていないのではないか

          いま組織開発の友人たちと、『失敗の本質』の読書会をやっています。ちょうどいまは、ミッドウェーの海戦を何回かに分けて読んでいるところです。組織開発らしく、前回は、米軍の「成功の本質」は計画性偶発論で説明できるのではないかという話題で盛り上がりました。 それと、「ミッドウェーの戦い」について感じるのは、それはドキュメンタリー以外にも小説や映画にもなっていて、必ず、『忠臣蔵』や『水戸黄門』のようなお決まりパターンのナラティブで語られるということです。どの作品にも、南雲忠一司令長

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        こういう「キャリア自律」もあるのだろうか

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        • 【翻訳メモ】INSIGHTS FOR THE JOURNEY
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        記事

          トランプ前大統領襲撃は自作自演を想像してしまった

          私は、あの完璧な、星条旗をバックに右手でガッツポーズを作り、健在をアピールした「奇跡の一枚」を見た瞬間、直感的に自作自演を疑いました。 ジャーナリズムの中には、自作自演だと聞くと、人が亡くなっているのですよ!そんな不謹慎なことを!などという人がいるようですが、個人のナイーブな常識がそのまま言論になってしまう、その現象に私は強く違和感を覚えました。昔、旧日本軍は「共同謀議」をよく行いました。敵から先制攻撃を受けたように見せかけて、都合よく戦火を拡大していったのです。そうやっ

          トランプ前大統領襲撃は自作自演を想像してしまった

          自分たちのルーツと向き合うこと~『日本軍の治安戦──日中戦争の実相』を読んで~

          とっても重いことを書きます。 いま、友人たちと『失敗の本質』の読書会をやっています。過去の組織の「失敗」を今の組織にあてはめて考えようという趣旨のものです。 私はこのイベントに絡めて、家族のヒストリーを振り返れないかと思いました。戦争中、祖父や祖母がどこで何をしていたか、過ごした時間や土地のことを、文献をあたるなどして、調べる良い機会だと思ったのです。 祖父と祖母は、終戦時、広島県呉市にいました。祖父が海軍工廠の軍属となっていたからです。呉では激しい空襲に遭ったとい

          自分たちのルーツと向き合うこと~『日本軍の治安戦──日中戦争の実相』を読んで~

          エンプロイアビリティとキャリア・サバイバル

          先日、『エイジングと公共性』という本を読んでいたら気になるレポートに出くわしました。1999年に日経連が出した『エンプロイアビリティの確立をめざして : 「従業員自律・企業支援型」の人材育成を』というレポートがそれです。現在の労働市場や企業の人材戦略の現場では、「リスキリング」、「キャリア自律」、「(個人の)市場価値」という言葉は一般名詞化し、そして、企業はそれらの実現を目指して、様々な施策を打っています。それらの言葉の示す基本概念は、1999年のこのレポートにすべて内包さ

          エンプロイアビリティとキャリア・サバイバル

          悪用厳禁!相手に告らせるワザ、「被動態」

          國分功一郎による再発見によって、「中動態」は多くの人に知られるようになりました。今回は、「中動態」と同じように、古くて新しい「被動態」について考察してみます。感覚的には、能動でも受動でもないのが「中動態」だとしたら、能動でもあり受動でもあるのが「被動態」だといえます。 言葉のルーツは明治時代にさかのぼり、時の外務大臣、陸奥宗光による造語だとされています。日清戦争の開戦前夜、陸奥の手記にこの言葉が出てきます。 1894年(明治27年)、李氏朝鮮政府の重税に苦しむ朝鮮民衆が

          悪用厳禁!相手に告らせるワザ、「被動態」

          「縄文時代は争いがなかった」といわれるのは食糧事情が原因か!?~ヒトの本能と外部環境と~

          1.縄文時代の人口は8万人!? 縄文時代は、1万4000年くらい前から、約1万年続いた時代とされます。その次に長い弥生時代が、600年から1000年と言われますから、その圧倒的な長さに驚きます。意外と知られていないのがその間の人口推移です。考古学者の鬼頭宏氏は、最大時でも人口は26万人程度で、寒冷化が進んだ時期は、8万人にまで減ったという説を唱えています。鬼頭説は数ある学説の中でも最も人口を低く見積もったものですが、私たちの感覚値からいったら、圧倒的に少ないと思います。一

          「縄文時代は争いがなかった」といわれるのは食糧事情が原因か!?~ヒトの本能と外部環境と~

          鷲田清一『しんがりの思想』を読んで

          友人に感想を聞かせて欲しいと言われて、鷲田清一の『しんがりの思想』を読んでみました。今回はその感想を書いてみました。 著者はこの本の中で2つのことを言っています。「しんがり」の務めと「押し返し」のアクションです。それらに自ら「責任」を引き受けようと言っています。 大きく言うと、経済の右肩下がりとともに、なんでもかんでも「自己責任」というネオリベラリズムの方向に進む日本に向かって、庶民レベルで抵抗しようという主張に聞こえました。 「成長」が前提にあった「右肩上がり」

          鷲田清一『しんがりの思想』を読んで

          「労働時間の再分配」について、引用文献をChatGPTに聞いてみた

          ルトガー・ブレグマンの『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』という本を読んでいるときに、「20世紀には富の再分配が進んだ。今世紀は、労働時間の再分配が行われるだろう」という一文が目に止まりました。索引を見ると、ジェームズ・W・ヴァウペルという人口統計学者の言葉の引用ということが分かります。同氏は、「近い将来、人々は、自身の収入のために、また、自身の健康のために、80歳まで働くようになる。そして、若い世代との間で、労働時間を分け合うことになる」とい

          「労働時間の再分配」について、引用文献をChatGPTに聞いてみた

          ティール組織は、必ずしも自律分散というわけではない

          何気なく、「ティール組織」は、自律的な働き方をする個人で構成され、自律分散した組織を指すと思われがちですが、実際には、そうした形態は非常にまれです。 「ティール組織」の著者であるフレデリック・ラルーも、個人について「自律分散した働き方」という表現を使ったことはないと思います。むしろ、彼が述べるのは、個人ではなくチーム全体が「自律分散チーム」として機能することです。ビュートゾルフ、京セラ、ハイアールなどが、その代表的な例として挙げられます。 日本人が陥りがちな誤解の一つ

          ティール組織は、必ずしも自律分散というわけではない

          怠けることと監視願望 ~日本人の労働観~

          コロナが始まった頃、ほぼ強制的に、リモートワークが拡がりました。多くの人が自宅での勤務という慣れない事態になんとか対応しようとしたと思います。 そんな時、ある経営者の方からこんなお話を聞きました。なんでも、その会社のあるスタッフの方から、カメラONで24時間ZOOMをつなぎっぱなしにしておいて欲しいという要望を受けて困っているということでした。そのスタッフの方にしてみれば、「家にいる=仕事をしていない」と捉えられるのは真っ平だということなのだそうです。働いている姿がカメラ

          怠けることと監視願望 ~日本人の労働観~

          勤勉さと非開放性 ~日本を「働き方後進国」にしているもの~

          おとといの夜、令三社さんのイベント、「【著者登壇!】『コーポレート・レベルズ』出版記念ウェビナー」に参加しました。 最後の質疑応答コーナーで、マネジメントのやり方や働き方の国際比較といった質問が出ていました。著者であり登壇者のモーア氏からは、マネジメントのスタイルに大差はないとした上で、日本は組織変化に取り組めてない企業が圧倒的に多いという指摘がありました。さらに、意思決定が遅く、変化対応に弱いというのが日本企業の特徴と言及がありました。 この国際比較はまさに図星なのでは

          勤勉さと非開放性 ~日本を「働き方後進国」にしているもの~

          組織進化とキャリア自律について~ティール組織とプロティアン・キャリアとの出会い~

          はじめに ある出来事がきっかけになって、組織進化のことについて少し書いてみたいと思いました。「ティール組織」は、原始的な組織から先進的な組織へ進化のことを言っていますが、進化する主体が何なのか、うまく説明できた文章に出会うことはほとんどありません。一つは、そこの解像度を上げて書いてみたいと思いました。もう一つはグリーン化する組織に辞める社員といった現象に対して、それをキャリア自律の観点から捉えなおすことはできないかと思った次第です。 きっかけとなったのは、先日オブザーブ

          組織進化とキャリア自律について~ティール組織とプロティアン・キャリアとの出会い~

          奈良と福岡は相似形 ~地形地図から邪馬台国を探す~

          新しい都を作るとき、その都が栄えるように、過去に栄えた都の構造を模して、相似形で作られることが多いようです。江戸が作られた時も京都がモデルとなりました。鬼門方向にある上野山が比叡山に見立てられ、延暦寺に模して寛永寺が立てられました。不忍の池は琵琶湖。真ん中には竹生島を模して弁財天が安置されました。 福岡県の地図を見ていると、その形が、左右反転はしますが、大阪湾と奈良盆地の構造に酷似していることに気付きました。もっとも、筑紫の野に邪馬台国があったとして、大和政権の最初の都と言

          奈良と福岡は相似形 ~地形地図から邪馬台国を探す~