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旅エッセイ

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#コラム

スマホもカメラも持たずに街へ出た

スマホもカメラも持たずに街へ出た

残り2%。この部屋のコンセントはなぜかベットの頭側でなく、足元側に設置されている。さすると元来怠惰で、また地元の謎のじいさんに勧められたウォッカを昨晩口にした私である。そんな私が夜の内に体を180度回転させてスマホに充電コードを差し込むなんてするはずがなかった。

ウズベキスタンのヒヴァは日本人の私からすれば嘘みたいな街だ。ヒヴァ・ハン国の首都だったというこの街は周囲を城壁に囲まれ、そこに迷路のよ

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インドのグッドシャワーおばちゃん

インドのグッドシャワーおばちゃん

2月末、コルカタはもう十分に暑かった。最高気温28度、前日まで滞在したブッタガヤの朝晩は少し肌寒いくらいだっただけに余計に堪える。

コルカタではインド旅行のラスト3日間を過ごした。すでに旅も25日目。「コルカタには何もないよ」と出会った多くのインド人が口を揃えたが、インドでは珍しく区画整理が整然と行われ、どこか安心感を覚えた。

コルカタの安宿街はサダルストリートという街の中心に位置する。しかし

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私欲で始めるボランティア ~インドのフリースクールでの出会い~

私欲で始めるボランティア ~インドのフリースクールでの出会い~

昨年から地元の小学生が集まる施設でボランティアをしている。
そもそもはとある不登校の中学生との出会いだった。その子と話しているときに、その子含め何かしらの形で子どもの力になれればと思った。またシンプルに昔から子どもといる時間が好きだ。実際大学時代も児童を対象としたボランティア団体に顔を出していた。だから、私欲ではあるがそんな時間も欲しかった。

その施設に初めて伺ったとき、スタッフの一人から「なぜ

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インドで人生変わらなかった

インドで人生変わらなかった

今日も布団から出るのに15分かかった。
夕方に流れるニュースでは、面長で珍しい苗字のお兄さんが今日もにこやかに笑っている。

インドに行く前も、そうだった。

28日間のインドから戻ると「人生変わりました?」と質問してくる人が沢山現れた。無論、彼らも冗談半分なのだろうが、あまりに依然と代わり映えのない毎日を送っていることにどこか申し訳無さすら覚える。

何も変わらないので、またハウスジャワカレーで

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新しいものを探す目

新しいものを探す目

ボスニアの博物館で英語のキャプションを読めると気づいたとき、一所懸命に英語を勉強して本当によかったと思った。そのとき私は20歳だった。
昨年、27歳の私はウズベキスタンの博物館で「俺が一所懸命読むより、画像翻訳のほうが早くて正確じゃないか?」と思っていた。

そのとき、なんとなく海外旅行の価値が下がった。

私は割と海外旅行に出るほうだと思う。
ただ年々海外旅行で何を見たいだの、食べたいだのといっ

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