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きのう、なに読んだ?

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日々読んだ本や長文記事などの、読んだ部分について紹介と感想をメモします。
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#本

「FLAMIN' HOT」:用務員からグローバルブランドの役員へ | きのう、なに読んだ?

「FLAMIN' HOT」:用務員からグローバルブランドの役員へ | きのう、なに読んだ?

「FLAMIN' HOT 逆境に打ち勝つ「弱き者」の成功法則」は、小学校6年生以降はロクに学校にも行ってなかったメキシコ系移民の著者が、ドリトスとか作っているフリトレー社の用務員から重役にまで上り詰めた経験と、そこから学んだことを伝えてくれる本だ。

編集を担当された朝海さんをご紹介いただいて、英語版と日本語版の初稿を読み、推薦させていただくことになった。

底辺サラリーマン(というより、時給で働

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プロフェッショナルとは?のケーススタディー(「取材・執筆・推敲」) | きのう、なに読んだ?

古賀史健さんの「取材・執筆・推敲」を読んだ。これね、すごい本ですよ。(このnote は facebook 初出内容を再掲したものです)

古賀さんはベストセラーにしてロングセラーの「嫌われる勇気」の著者であり、瀧本哲史さん「ミライの授業」の構成・ライティング担当。他にもたくさんの本を手がけてきたかた。その古賀さんが「ライターの教科書」というコンセプトで書いたのが本書です。

ですが、本書はライター

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ビジネス用語のクオリア(「未来をつくる言葉」) | きのう、なに読んだ?

ビジネス用語のクオリア(「未来をつくる言葉」) | きのう、なに読んだ?

ドミニク・チェンさんの「未来をつくる言葉」を読んでいる。

ドミニクさんとは、一時期、数人の仲間と共に集まっては雑談会をしていた。本書も、出版前からご案内をいただいていた。ドミニクさんの著書で、しかも副題が「わかりあえなさをつなぐために」と来たら、私が好きな内容に決まってる。大切に読み進めていたところ、3月21日の日経新聞のランキングで見事1位になっているのみつけた。ほら、やっぱりいい本よね!と、

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「科学的に正しい」と「不安を解消」のはざま (「知ろうとすること」) | きのう、なに読んだ?

「科学的に正しい」と「不安を解消」のはざま (「知ろうとすること」) | きのう、なに読んだ?

「知ろうとすること」という本がある。福島第一原発の事故の発生直後から、ツイッターでデータを発信し続けた早野龍五さん(当時、東大の物理学教授)と糸井重里さんの対談だ。早野さんは、福島で放射線の影響を測定し続け、発表した。高校生を指導して、所属してたスイスのCERNで発表する機会も作った。

早野さんのプロジェクトのひとつに「ベビースキャン」がある。赤ちゃんの内部被曝を測定する機械を世界で初めて開発し

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『変身』、絶望、テロリスト | きのう、なに読んだ?

『変身』、絶望、テロリスト | きのう、なに読んだ?

子どもの入試が一段落して、小説を読みたい気分になった。

子の入試にあたり、私が具体的に何かした訳ではないけれど、終わってみて、そちらにマインドと心を持っていかれていたことを実感する。小説を読みたい気分ということは、心にゆとりができたというサインだ。20歳代後半で大学院に行った頃から、ストレスがかかると音楽や小説などのクリエイティブな情報量の多いものを受け付けなくなった。ストレスが軽くなると、また

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言葉と思考、言葉と感覚(「言語学の教室」) | きのう、なに読んだ?

言葉と思考、言葉と感覚(「言語学の教室」) | きのう、なに読んだ?

「認知言語学とか、どう?」

数ヶ月前の同窓会で会った先輩に、言われた。私が仕事を辞めて数ヶ月、もうしばらくぶらぶらしようと思っていた時期だ。「大学院とか行かないの?」と先輩にきかれ、いやー、特に追求したいテーマもないので、と答えたら、「認知言語学とか、どう?」と言われたのだ。

なんすか、それ?
「人間の感じ方と言語の関係とかを研究するんだよ。シノダさん、そういうの好きでしょ。」

はい、好きで

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お母さんとしてだけではない、その人の持っているものを(「みんなに必要な新しい仕事) | きのう、なに読んだ?

お母さんとしてだけではない、その人の持っているものを(「みんなに必要な新しい仕事) | きのう、なに読んだ?

4年前、2015年にFBに投稿した「みんなに必要な新しい仕事」の感想を、きのう読み直した。すごく良かった。本が良かったことは覚えているけど、具体的な部分は忘れていた。また思い出せるように、まるっとこちらに写しておきます。

産後のボディーケアとセルフケアの教室を展開するNPO「マドレボニータ」。創業者の吉岡マコさんの著書を、GE(当時)の安渕聖司さんに頂きました。激しく共感したので、お勧めします。

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生きづらさは人間らしさ(「生きづらさはどこから来るか」) | きのう、なに読んだ?

生きづらさは人間らしさ(「生きづらさはどこから来るか」) | きのう、なに読んだ?

ネット記事などで「生きづらさ」という言葉を見かける。私がお会いする20−30代の方たちからも「生きづらさ」という言葉を聞くようになった。私に会ってくれる皆さんは、前向きに持ち場で頑張っていて、年上の私とつき合おうという人間力もある。いろんな意味で「よく出来る」人たちだ。そういう方がたにも「生きづらさ」の感覚があるらしい。

「生きづらさ」という言葉は、私が若い頃はあまり聞かなかったように思う。気に

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わたし個人とダイバーシティー(「良い質問をする技術」) | きのう、なに読んだ?

わたし個人とダイバーシティー(「良い質問をする技術」) | きのう、なに読んだ?

多様性(ダイバーシティー)。ここ数年、よく耳にするキーワードです。たとえば、内閣府の「男女共同参画関係用語」(平成24年8月)には次のとおり定義されています。

ダイバーシティ :「多様性」のことです。性別や国籍、年齢などに関わりなく、多様な個性が力を発揮し、共存できる社会のことをダイバーシティ社会といいます。

また、経団連も 2017年に「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて

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周りのハッピーや不機嫌は、私の責任?(「主婦の誕生」) | きのう、なに読んだ?

周りのハッピーや不機嫌は、私の責任?(「主婦の誕生」) | きのう、なに読んだ?

先日、ある向上心あふれる若手女性の集まりがあった。アジア系アメリカ人のキャリア女性がゲストスピーカーだったのだけれど、素敵なお話をしてくださった。うろ覚えだけど、こんな内容だった。

「わがまま」という言葉には、良くないイメージがあります。
でも、今日は皆さんに「今より少しだけ、わがままになって」とお伝えしたい。

私たち女性、中でもアジア系の女性たちは、周りの人に尽くすこと、周りを優先することを

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「最軽量のマネジメント」は、お花畑のユートピアじゃないのよ | きのう、なに読んだ?

「最軽量のマネジメント」は、お花畑のユートピアじゃないのよ | きのう、なに読んだ?

『最軽量のマネジメント』を読んだ。著者は、サイボウズ副社長の山田理さん。サイボウズはグループウェアを開発・提供する会社で、2019年「Asia's Best Workplacesベストカンパニー」に選出された。その組織や制度を作ってきたのが、山田さんだ。

山田さんとはこれまで何度かおしゃべりする機会を頂いてきた。例えばこちら。

他にも「長時間労働の原因は、日本独特の「助け合いの職場文化」にある

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マティス前国防長官の若い頃 (“Call Sign Chaos”) | きのう、なに読んだ?

マティス前国防長官の若い頃 (“Call Sign Chaos”) | きのう、なに読んだ?

ジェームス・マティスは元海兵隊大将にして、トランプ政権のもとで2年間国防長官を務めた人物だ。海兵隊屈指の読書家、知識人として知られ、歴戦不敗なことから Mad Dog(直訳は狂犬だけど、ニュアンスとしては「勇猛果敢」が近いかな)と呼ばれることもあった。マティス長官は、常にカオスな感じのトランプ政権の中で、私には唯一の「まともな人」に見えていた。ボブ・ウッドワードがトランプ政権内部を描いた “Fea

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「教える」「教わる」が絶対的な関係にならないように(「ザ・メンタルモデル」) | きのう、なに読んだ?

「教える」「教わる」が絶対的な関係にならないように(「ザ・メンタルモデル」) | きのう、なに読んだ?

「ザ・メンタルモデル」を読んだ。

「ティール組織」に関心を持った人たちがSNSで紹介していて、へええ、と思って見ていた。その後、身近な人が「今読んでいて、面白い」と教えてくれて、その人たちとこの本の話ができたらいいなと思って、着手した。

著者のひとりである由佐美加子さんは、「U理論」の訳者だそうだ。自己理解を深めることとか、自分への理解が深化・変化すると周りに対する見方や周りとの関係性が変わる

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日本社会には「江戸時代」の仕組みが残ってる(『中国化する日本』) | きのう、なに読んだ?

日本社会には「江戸時代」の仕組みが残ってる(『中国化する日本』) | きのう、なに読んだ?

近代とは何か。日英Wikipediaを見ると、ざっくりこんな感じ。
⚫︎中世と現代(1945年〜)のあいだ
⚫︎初期近代 (early modern) と近代がある。初期近代は近世とも呼ばれる
⚫︎日本では、応仁の乱〜江戸時代を初期近代/近世、明治維新〜太平洋戦争終結を近代としている
⚫︎欧州では、東ローマ帝国滅亡〜産業革命〜フランス革命を初期近代/近世、フランス革命〜第二次世界大戦終結を近代とし

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