プロフェッショナルとは?のケーススタディー(「取材・執筆・推敲」) | きのう、なに読んだ?

古賀史健さんの「取材・執筆・推敲」を読んだ。これね、すごい本ですよ。(このnote は facebook 初出内容を再掲したものです)

古賀さんはベストセラーにしてロングセラーの「嫌われる勇気」の著者であり、瀧本哲史さん「ミライの授業」の構成・ライティング担当。他にもたくさんの本を手がけてきたかた。その古賀さんが「ライターの教科書」というコンセプトで書いたのが本書です。

ですが、本書はライターや編集者に独占させてはなりません。

ビジネスパーソンにも、ぜひぜひぜひぜひ読んで欲しい。

なぜなら「プロフェッショナルとは何か」を内面から、生き生きと、克明に描いたケーススタディーとして素晴らしいから、です。

「出し手(生産者)としては、想像を超えるほど緻密に広く深くやる」
「受け手(消費者)に関する理解が広く深く、自分自身が消費者として自分の仕事を厳しくフェアにジャッジできる」

一流のプロフェッショナルとは、どの分野でもそういうものなのでしょう。

各分野にプロフェッショナルは様々いらっしゃいます。たとえば将棋の名人の仕事ぶりについて書いた本があるとしましょう。しかし、将棋を指さない私は、その本を読んでも、その方のプロフェッショナルとしての凄みは良く理解できません。

しかし、古賀さんはライターです。私たちはみんな、小学生の頃から現在に至るまで、必ず日常的に何かを書き、本を読んでいます。ですから、記事や本を書くプロフェッショナルである古賀さんが具体的に何をどう考えてどう作っているかを読むと、誰でも「す、すごい…」と思えるところが必ずあります。

そして、プロフェッショナルとして素晴らしい方は各分野にいらっしゃいますが、自分の仕事の仕方を、独りよがりにならずに克明に自分取材して、再現可能なようにつとめた本は、他には思いあたりません。

また技術面でも、ビジネスパーソンとして仕事に使える指針が大量にありました。考えてみれば、メールから稟議書まで、文章を書くことはビジネス上不可欠です。これまでのビジネス文書は「自分がルールを重じていることを示す」か「相手を説得する」ために書くものが多かった気がするんですよね。でも本当は、「相手が納得し、喜んでやりたくなる」ことをゴールにした文章も必要なはずです。本書は、そういう文章を書く構えを教えてくれるんです。

****

さて、古賀さんは、前職のほぼ日の関係でよくお話しさせていただいてました。リアルにお会いすると、ニコニコしていて物静かなかたで、腰が低い印象があります。そして、自分が何ができてないかに冷徹で、周りの人の素敵なところを見つけては目をキラキラさせて話してくれる、めちゃ信頼度高い方です。

当時、古賀さんが本を書く様子をちらちら見聞きすることがありました。すると、いったん最後まで書いた書籍原稿から半分くらい丸ごとバッサリ切ってみたり、書きながら「この本、最高におもしろいですよ!!」と言い切ってみたり…びっくりすることが実は多かったです。お会いしたときの印象からはちょっと想像できない思い切りの良さと自信が、頼もしくもあり不思議でもありました。

この本を読んで、リアルで会うときの古賀さんと書いているときの古賀さん、それぞれのもとになっている考えや指針が整合性もって伝わってきました。ちょっと種明かしを教えてもらったような、驚きと納得と快感があります。

****

そして今回、たいへん光栄なことに、出版にあたって「推薦のことば」を寄せる機会をいただきました。

他の推薦者は、糸井重里さんをはじめ、文筆業にたずさわる方々ばかりです。

ですので私は「ビジネス畑の、読んだり書いたりに関心を持っているひと」として、自分と同じような人にこの本を紹介できたらうれしいなと思って、書かせていただきました。

本の静謐なデザインとはうってかわって、Amazonページに掲載された「推薦の言葉」の画像はギッラギラ!

画像1

****

なお、本書は、紙の書籍の方がおすすめです。実践ワークの教材カードがついてるから。桃太郎が題材なんですけどね、これもめちゃ勉強になりました。

今日は、以上です。ごきげんよう。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?