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ヒトシ
2021年12月21日 11:26
もみの若木に松ぼっくりと小さな赤い実森の枯れ葉の絨毯の上まるで互いに寄り添うように静かに奏でる聖夜曲たとえ小さくてもどんなにささやかでも大地に根ざしたその声はきっとあなたを暖めるどうか ひととき穏やかに 健やかに暖かい時を過ごせますように田舎の片隅の小さな森から心を込めてメリー・メリー・クリスマス
2021年12月15日 15:52
畑周りもすっかり片付けて落ち葉集めも一段落したしさして忙しくもないくせに忙しい気分になっていて可笑しい庭先で冷たい風に当たりながらふと空を見上げたらすっかり葉を落とした木々の間に冬の高い青空が思いのほか広いふうっと深呼吸しながらいい一年を過ごせたなあと独言つ森と畑と鳥と土と緑と赤と春夏秋冬を思い来年もまたいい一年にと願うひととき師走もここまで来れば
2021年12月7日 12:17
西に傾いた弱い日差しの逆光に散り残った紅葉を透かしてみるとそれはステンドグラスのように鮮やかな色彩のハーモニーを奏でた雪虫がちらちらと飛び交いひよどりの甲高い声が響く森を満たす冷たく乾いた空気記憶の片隅を暖かい紅が染めて色のない季節が深くなっていく
2021年11月30日 09:54
書いておこうと思った。たとえば、敷き詰められた落ち葉のほんのりとした暖かさをたとえば、木々の年輪にくっきりと刻まれる厳しい寒さをたとえば、冬枯れの枝に始まる新しい芽吹きをたとえば、沈黙した森に響く陽射しが降り注ぐ音をせめて、言葉を超えたものがあるということを明日も覚えておくために
2021年7月13日 16:11
憂き世のうさは色々あるし 蔓延る病も心配だけどまあまあそんなしけた顔せずに さあさ、一杯やりんしゃい獲れたて茹でたてあつあつ枝豆 さっとひとふり粗塩振ってプチッと弾けりゃ 口中が 濃ゆい甘味に満たされる難しいことはわからんけれど 手間暇かけてちゃんと世話すりゃ畑の野菜は実ってくれる そんな暮らしもよかろうて
2021年7月10日 13:06
収穫直近の枝豆の葉の上 颯爽と構える小さな蟷螂葉陰に隠れた獲物を見据え 鋭い鎌を中段に 気配を消して忍び寄る果てしなく続く除虫戦 頼もしい援軍の登場にしばし作業の手を止めて 最敬礼でエールを送るがんばれ カマキリがんばれ わたし美味しいビールが待っている
2021年6月25日 13:44
適期を迎えたズッキーニ 毎朝黄色い花を咲かす雄花と雌花を交わらせ 受粉できればそのあとはほんの数日待つだけで ボンッと大きく実が育つ仲人役は マルハナバチ 心優しき働きもの花弁の奥に潜り込み 花粉まみれになりながら雄花と雌花を 行ったりきたり人手をかけずに 受粉が完了畑は森の延長線 自然と人の境界地土のちから 虫のちから 太陽のちからいろんなちからを借りながら
2021年6月22日 16:28
森の入り口の小鳥の食堂 常連組の野良スズメ警戒心が意外に強く しばらくは一羽、二羽遠慮がちに来ていたが 三羽、四羽と増えていきついには十羽を超える日も密になれば喧嘩も増える 人も鳥もおんなじ道理餌場のポジション争って ピーチクパーチク騒がしい両翼を目一杯に広げて 尾翼をぐいっともちあげて一人前の威嚇姿勢で 歯向かう相手にくちばしを向ける小さく空を舞いながら 上から一
2021年6月15日 14:38
遅れてやってきた梅雨の入口 畑畑にはしげる夏野菜の葉陰 間を縫う畔道の土手沿いの木 たわわにみのる紫黒の桑太陽をいっぱいに浴びた 野趣あふれる小さなふさ粒は 摘めよ食べよと言いたげに 弾けんばかりの胸を張る よおく熟した子たちを選ってつぶさぬように そうっとそっと 手のひらいっぱい ふと思い浮かぶのは幼い日のふるさと手も口も紫に染めて 夢中で食べた小学校の帰り道都会
2021年6月12日 12:01
木漏れびが遊ぶ森を見下ろすカフェテラス朝食を終えた二人の賢者がしばし語らうとつとつ語るのはこのところの異常気象かそれとも巷に蔓延り続ける流行病のことかはたまたこのほしの未来への憂鬱かまぁ、いずれにせよワシらにはどうにもしようのないことじゃがのせめて、この空と緑と水と風の流れが次の世にも引き継がれてくれればのそれ以上の望みはないわいなさわさわと涼風がわたり
2021年5月21日 14:14
あまりにも早い走り梅雨に降り込められて家の中気になるのは畑の様子 やりかけのあれやこれや植え付けたばかりの苗 適期を迎えた青菜たち窓を叩く横殴りの雨 轟々と鳴る森の樹々強い風を受け流して太い幹までもが右に左に大きくしなる耐えかねたのか枝葉がひとかたまりドサリと落ちてくる恵みの雨も晴耕雨読も程度の問題まだまだ五月だ梅雨には早い今少し皐月の澄んだ青空を我がはらからに
2021年5月18日 13:12
彼は本を借りに来なくなった。気むずかしそうな顔をして詩集や哲学や宗教の分厚い本ばかり毎週借りに来てたのに。ある日、森に向かう道でばったり。来なくなった理由を尋ねたら、彼は答えた。「探していた言葉は、本の中じゃなく、森の中にあったんです」一本の木の苗を大切そうに抱え、満面の笑みで。
2021年5月7日 11:28
新しいクルマのCMソングの軽快なリズム「連れてって どこまでも」とリフレイン強い風が木々をひらりと大きく揺らして緑の葉陰に世界がさらりと見え隠れするわずかな隙間がさあっと広がった瞬間突然現れたくじら雲 ふわりと浮かんで五月の澄み渡った空を悠然と泳いでいく流れる曲が風のように心地よく響いてるどこにいたの どこにいくの連れてって どこまでも
2021年5月1日 11:22
森の入り口に開店した小鳥のレストランは連日たくさんの小鳥たちが訪れて品切れ続出の人気ぶりこの度新しいお客さまが仲間入りされましたスズメ目スズメ亜目ホオジロ科ホオジロ属のクロジくん(多分オス)ですグーグル先生によれば警戒心が大変強く、薄暗い場所にお住まいでなかなか出会うことのない鳥のようですマナーのなってないスズメたちが食い散らかして餌台の周りに落ちている雑穀