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アメリカの現実

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日々突き付けられるアメリカの現実を、自分なりに考えてまとめています
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記事一覧

アメリカの現実⑯「過去のデータから未来を予想するAIには、バイアスが存在する」

アメリカの現実⑯「過去のデータから未来を予想するAIには、バイアスが存在する」

Alphabetに勤務していたAI研究の第1人者の解雇問題は、私に将来の社会への不安をもたらした2020年12月、Alphabetに勤務していた「倫理的な人工知能(AI)研究の第1人者」のTimnit Gebru 博士が、退職した(彼女は解雇されたと明言している)。

By TechCrunch - https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=

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アメリカの現実⑮「森発言に関する一考察:ステレオタイプな考えは、いつの間にか偏見や差別へと変容する」

アメリカの現実⑮「森発言に関する一考察:ステレオタイプな考えは、いつの間にか偏見や差別へと変容する」

JOCの森喜朗元会長の発言・辞任といった一連の動きと論議は、実に日本的な流れで、相変わらず「不思議な国ニッポン」が存在していることを、世界に示した。私はこの騒動に関して、当初から女性蔑視という事よりも、森元会長の「一般論ですが」という言葉に、非常にひっかかりを覚えた。なぜひっかかったかを書いておきたい。

「常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」Albert Einstei

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アメリカの現実⑭「多様性への模索ーBiden政権が内務長官に初めて先住民族(Indigenous people)の女性を選んだことの意味」

アメリカの現実⑭「多様性への模索ーBiden政権が内務長官に初めて先住民族(Indigenous people)の女性を選んだことの意味」

12月17日、Biden政権は、Interior Secretary(内務長官)に、初めて先住民族(Indigenous peoples)の女性、Deb Haaland(60歳)を指名した。この選択は、内務省の長官という職務を考えると、実に理にかなったものである。内務省は、職員7万人以上を擁する大規模な機関で、連邦政府が承認した578の先住民族の土地を監督している。

上院で承認されれば、彼女は先

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アメリカの現実⑬「Diversity of experience:チーム構築において本当に重要なことは経験における多様性」

アメリカの現実⑬「Diversity of experience:チーム構築において本当に重要なことは経験における多様性」

Biden政権の様々なスタッフや閣僚候補が発表されるたびに、現政権との違いに驚く。言わずもがなで、現政権の重要閣僚やメンバーは白人男性で多く占められており、両チームは視覚化するだけで、その差異は歴然としている。ここで、はたと気がついたことは、「Diversity & Inclusivity」を語る時、通常、多くの人達は、人種、性別、年齢、性的指向性(LGBTQ+)という多様性を言及するが、それらを

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アメリカの現実⑫「無意識下のステレオタイプな考えをなくすには?」

アメリカの現実⑫「無意識下のステレオタイプな考えをなくすには?」

私はNational Geographicの記事が好きで、よく読むが最近読んだ記事の中で2つの興味深いものがあった。それは考古学上の発見ですら、科学者の無意識下のステレオタイプな考えによって、事実誤認、或いは事実を無視してしまうという事が起きるという点である。

9000年前の女性ハンターの発見2018年カリフォルニア大学デービス校の考古学の研究チームは、アンデス山脈で発掘された約9000年前の墓

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アメリカの現実⑪「21世紀の風ー女性を取り巻くダブルスタンダードが徐々に消えてゆく」

アメリカの現実⑪「21世紀の風ー女性を取り巻くダブルスタンダードが徐々に消えてゆく」

白のパンツスーツで登場したKamalaのメッセージまだ米国は大統領選挙の開票の最中で、最終的な数字が把握できていないが、投票の有効数と代理人の投票により、アメリカ人は、Joe Biden &Kamalaを次期大統領及び副大統領に選んだ。Bidenは7,567万票以上、Trumpは7,126万票以上の投票を獲得した。これは、言わずもがなで、アメリカ人の大統領への意見は大きく2つに分かれていることを示

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アメリカの現実⑩「サステイナブル&エシカルっていう観点から卵を考える」

アメリカの現実⑩「サステイナブル&エシカルっていう観点から卵を考える」

『Cool Hand Luke』のように卵50個は無理だけど、1日3個は食べている私私は卵が大好きで、毎朝4個の卵をゆでて、朝食兼昼食にお味噌汁とゆで卵を2個食べる。後の2個のうち1個は夫が、もう1個は私の夕食までのつなぎで、すぐに栄養補給する必要に迫られた時のためのもの。卵といえばPaul Newman主演の1967年映画『Cool Hand Luke』で、刑務所の中でLukeはゆで卵50個を

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アメリカの現実⑨有力な女性政治家が出てくると必ず出てくる「Nasty Woman Blues」

アメリカの現実⑨有力な女性政治家が出てくると必ず出てくる「Nasty Woman Blues」

Kamala HarrisがJoe BidenのVP running mateとなった瞬間から始まる米国のSexismのうたい文句「Nasty Woman」

アメリカの現大統領の女性への蔑視は今更驚くべきものではないが、彼が有力な女性政治家達に発する“Nasty”という言葉には、彼の女性に対するSexismが常に投影されている。彼が"Nasty Woman"とコメントした女性達は、2016年の民

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アメリカの現実⑧「パンデミックや公聴会に関係なく巨大化するGAFAMの5社」

アメリカの現実⑧「パンデミックや公聴会に関係なく巨大化するGAFAMの5社」

7月31日Appleは株式時価総額が、国営石油会社Saudi Aramcoを抜き、世界最大に返り咲く金曜日、Appleは終値ベースで1兆8422億ドルと過去最高額に達して、Saudi Aramcoの1兆7595億ドルを上回って、再び上場企業で最大の時価総額を持つ企業に返り咲いた。Q3のレベニューは597億ドルで、対前年比11%増となる。パンデミックで多くの企業や消費者生活が打撃を受ける中で、GAF

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アメリカの現実⑦「広告主は本気でヘイトスピーチや虚偽情報を載せるソーシャルメディアに怒っている」

アメリカの現実⑦「広告主は本気でヘイトスピーチや虚偽情報を載せるソーシャルメディアに怒っている」

大企業の広告ボイコット運動によって、7月以降プラットフォーマーは本当に変わっていくのか?Unileverは昨年Facebookに4,230万ドルの広告出稿をしているが、6月26日、ヘイトスピーチや米国の分断を煽るような虚偽のコンテンツを放置するFacebookに関して、年末まで広告出稿を中止すると発表した。この出稿停止の対象メディアは、Facebook、Instagram、Twitterである。ま

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アメリカの現実⑥「変化を求められる広告エージェンシーの企業文化」

アメリカの現実⑥「変化を求められる広告エージェンシーの企業文化」

日本では理解し難いエージェンシー内の白人中心文化今朝目にしたDigiDayの記事 「エージェンシーの「白人文化」に、黒人社員が変革を求める:「プレッシャーは効いている」」を読んで、すっかり忘れていたが、自分も24年前、米国の広告代理店San Francisco McCann Ericksonで勤務していたことを思い出した。1996年私は、デューティフリー製品を販売するDFS Group担当のAcc

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アメリカの現実⑤「今企業は真剣にBlack Lives Matterへの対応を迫られている。今回は逃げられない」

アメリカの現実⑤「今企業は真剣にBlack Lives Matterへの対応を迫られている。今回は逃げられない」

米国の「Gray rhino(灰色のサイ)」と呼べる「人種差別問題」はついに暴れだした

米国企業は、コロナ禍によるパンデミックの次に、ついに暴れだした「Gray lino(灰色のサイ)」ともいうべき人種差別問題への対応を迫られている。金融業界では、「Black swan(黒い白鳥)」と「Gray rhino(灰色のサイ)」という2つの言葉が良く使われる。「Black Swan」は、1697年にオ

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アメリカの現実④「人種差別を考えるためには、まずは155年前の歴史に遡って考える必要がある」

アメリカの現実④「人種差別を考えるためには、まずは155年前の歴史に遡って考える必要がある」

なぜ今南部連合を象徴するものが撤去されているのか?過去数日のうちで、アメリカではThe American Civil War (米国南北戦争)時のアメリカ連合国(CSA: Confederate States of America-南部連合)の記念碑や象徴する銅像が何十体も撤去された。これに付随するかのように、スポーツ、エンタテイメントの業界でも、警察や人種差別、南部連合を象徴するようなモノやコト

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アメリカの現実③「米国に起きた警察の軍事化とは?」

アメリカの現実③「米国に起きた警察の軍事化とは?」

「なぜ米国の警官は軍隊のように武装しているのか?」日本に住んでいる人は、米国のGeorge Floyd事件によって広がった全米規模で拡大する市民の抗議行動と、それに対峙する警官との異様な構図に首を傾げる人も多いと思う。警官の武装の物々しさと、軍事行動とも思えるほどの態度、さらに平和的な抗議行動をとる市民達への催涙ガスやゴム弾による威嚇など、通常の日本の警察の常識から考えたら、あり得ないほどの過激さ

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