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短編小説

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日野あべしの短編小説をまとめたマガジンです。 短編小説を読んでくれた方で、他の短編小説を読んでみたいという方は是非ご活用下さい。
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2021年9月の記事一覧

俺たちゲーマーカップル!

俺たちゲーマーカップル!

休日の昼下がり。空は気持ちが良いほど晴れていて、気温もぽかぽかして気持ちが良くて、風も程よく吹いていて更に気持ちが良い。
外は、だが。
「飲み物持ってきて。」
「今ダンジョン攻略中だから無理。」
その気持ちのいい外とは違い、部屋の中は日差しもなければ風もない。
そう、我々は引きこもっているのである。こんないい天気なのに。
いや、我々にとって天気など関係ない。晴れていようが雨が降っていようが干ばつだ

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惜別

惜別

私の故郷は冬になると雪が沢山積もる。だけど春になれば雪がとけて、夏になれば綺麗な緑が生い茂る。

「おーい、待ってくれよ。」

旦那が駅の改札から少し小走りで出てきた。

私の旦那、聡は少しどんくさい。見た目も華がある方でもないけど、とても思いやりがある。

一緒に買い物に行ってくれるときは荷物を持ってくれるし、私の誕生日には仕事を早めに切り上げて帰ってきてくれる。いつもありがとうと言ってくれるし

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私の狭い世界

私の狭い世界

私はどれ程のものなのだろう。

私を必要としてくれる人はいるの?私を愛してくれる人はいるの?

私の狭い世界では見つけられない。

私はただ私の狭い世界から、外の世界が流れていくのを眺めているだけ。

なんの感情も持たなくて、ただ眺めているだけ。

外の世界のことなんて私にはどうでもよくて、ただ私のことを見てほしくて。

だけど私は手を伸ばさない。私は私の世界で生きているから。

私の世界は狭くて

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私の道と父の足跡

私の道と父の足跡

『フリーターになる?』
「うん、入りたい会社もないし。私夢があるんだ。」

電話口で父に初めてフリーターになることを打ち明けた時、父はとても怪訝な声だった。

『なんだ夢って。』
「私、小説家になりたいんだ。」

私は小さいころから本を読むのが好きだった。心躍るファンタジー、引き込まれるミステリー、胸が締め付けられるような恋愛。そうした本を読むのが大好き。
中学生のころには頭の中でストーリーを毎日

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運び去る空

運び去る空

強烈で爽快な風が吹く。私の中のすべてをふきとばしてしまいそうな痛快な風。

「おにいちゃーん!ここどこー!」

「しらねーよ!俺がききてーよー!」

そこは山の頂上のようでもあるし、崖の上のようでもあった。

夜寝て、起きたらここに立っていた。全く知らない場所にいるはずなのに、不安感などこれっぽっちもなかった。

「というかコレ俺の夢じゃねぇーのかよー!何でお前がいるんだよー!」

「しらなーい!

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壊れた人形

壊れた人形

ある雪深い街の玩具店。その店の棚に、機械仕掛けの人形が並んでいる。

人気があるからなのか、皆一様に同じ容姿をしていた。

只、その中で一つ不出来な人形があった。同じシリーズなのは見て取れたが、その人形は壊れかけのようだった。それが私であった。

私は壊れた機械仕掛けの人形なのだ。

壊れて他の人形とは違う形になってしまった人形。店先に並ぶ不格好な人形。

表面的に壊れているだけならまだいいが、内

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幸せはどこから来るの?

幸せはどこから来るの?

幸せはどこから来るのだろう。歩いてはやってこないというから、自分から歩いていかなければならないのは何となくわかる。

そんなことより、目の前の中間テストのことだったり、彼氏を作ることを考えた方がよっぽど建設的だと思う。ただ家に帰ってきて、自分の部屋の机でボーっと考え事をしている時は大体こういう曖昧なことを考えてしまう。

「杏奈―!ごはんよー!」

「はーい!今行くー!」

何を考えるにせよまずは

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