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小説『はだかの社長』 2022秋 22.10.8

小説『はだかの社長』 2022秋 22.10.8

「いーち、にーぃ、さーん、しーぃ」
 床に這いつくばり、台所の床下収納庫の扉を開けた神戸琢蔵は、むさ苦しい髭面ににまにまとした笑みを浮かべながら、中に収納されたセブン●ターの数を太い指で確認していた。
 合計二十カートン。一週間前に、部下兼相方の橘洋平に命じて、近くのコンビニでまとめ買いさせたものだ。
「へっへっへっ、今年の俺ぁ一味違うぜ」
「琢さーん、さっきから何回数えてんだよー。もういい加減メ

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箱の中身はなんだろな 22.5.8

箱の中身はなんだろな 22.5.8

 ADから渡された全身タイツを頭からすっぽりとかぶると、視界が完全に真っ暗になった。スタッフたちの話し声しか耳に入らない。遊園地に一人取り残された気分だ。芸歴十四年、このシチュエーションは養成所を卒業して以来何度か経験しているが、やっぱり慣れないな。

 そのまま、ADのムニムニした両肩にしがみついて控室から収録スタジオへと向かう。汗臭いのかと思ったら、意外に無臭でどこかホッとすると同時に、ちゃん

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春風のいたずら 22.3.29

春風のいたずら 22.3.29

 男は、自家用車を運転していた。
 その日、朝は曇っていたものの、昼近くになって空の青さが増していった。ただ、風が強かった。
 午前中大手スーパーに行って、生活用品をまとめ買いした彼は、正午近くに家に戻る途中だった。つい一か月ほど前まで警報級の大雪が町全体を覆いつくしていたが、今は道路も乾燥し、雪道の時よりは運転に神経を遣う必要はない。少しだけ穏やかな心持ちで彼はハンドルを握る。
 彼にはもう一つ

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小説 『闇の荷物』シリーズ外伝 はだかの社長 21.10.15

小説 『闇の荷物』シリーズ外伝 はだかの社長 21.10.15

以下紹介する全ての小説に、男性同性愛表現が含まれます。

拙作『闇の荷物』はKindleストアなど電子書籍販売サイトにて有料でダウンロードしていただけますが、こちらでも前半無料の体験版をお読みいただくことができます。(十八歳未満の方は閲覧をお控えください)

【これまでの経緯】







「琢《たく》さん、なに、その格好……」
 Tシャツにジャー

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小説『彦星、二人』 21.7.7

小説『彦星、二人』 21.7.7

※この小説には男性同性愛描写があります。

 俺の部屋の机に置いたノートパソコンに、奴の顔が現れる。相変わらずの赤い顔で、画面には映ってないが、深夜二十三時を過ぎてもう一杯やってるんだろう。黒のタンクトップから覗く二の腕は、この一年半もトレーニングを怠っていないらしく、かなりの太さを保っている。背後の本棚には、大ヒットした「鬼」を滅するマンガがずらりと並んでいる。
「元気?」
 俺が声を掛けたのに

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