へむてつ

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  • #毎週ショートショートnote

  • 【連載小説】喋る後輩

    僕の職場の後輩はよく喋る。 せっかくなので僕はそれをnoteにメモることにした。

  • 保健室のチャップス

    授業中に白目を剥いてぶっ倒れた私が保健室で出会ったのは、変な先生、チャップスだった。

記事一覧

『失恋墓地』 #毎週ショートショートnote

線香をつける。 煙が優しく私を抱く。 生きてた頃のあなたみたい。 墓石の前で手を合わせる。 目を瞑ると簡単にあなたの顔が思い浮かぶ。 出会った日、誕生日、クリスマ…

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1年前
13

『失恋墓地』 #毎週ショートショートnote

「おはようございます。」 墓石に向かって挨拶をするのが僕の日課になった。 軽く雪を被った墓石をコートの袖で拭く。 「東北の冬は寒いんじゃない、痛いんだ、って先生…

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1年前
15

短編小説 『脳みそを洗う』

朝、妻が 「ねえ、そろそろ脳みそ洗ったら?」 と、言ってきた。 だれかに言われて脳みそを洗うことほど面倒くさいものはない。 せっかくの土曜日、ごろごろしようと思っ…

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1年前
7

2次会デミグラスソース #毎週ショートショートnote

シェフと見習いの僕は、ピンセットを握り、小さな甕を小脇に抱えて繁華街にやって来た。 秘伝のデミグラスソースに必要な材料を収穫しにきたのだ。 時刻は21時。 1次会…

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1年前
13

短編小説 『リズムを崩すな!』

そろそろ目を覚ます時間だ。 チーン カチ カチ チーン カチ カチ やつの尻尾がメトロノームのように揺れている。 タン タカタタン タカタ タンタン タン タカ…

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1年前
6

『逆さ富士七転八倒』#毎週ショートショートnote

むかーしむかしの富士山は そりゃあもう小さな山じゃった。 いつも周りの山に馬鹿にされとった。 富士は背を伸ばそうと、色々やったが 少しも伸びんかった。 おらは一…

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1年前
18

短編小説 『ミニマリスト』

ある日、東京で暮らしていた姉が田舎の実家に戻って来た。 住んでいたマンションを引き払って来たというが、「そんなに長くはここにはいないよ。」 とのことだった。 持…

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1年前
4

『宝くじ魔法学校』#毎週ショートショートnote

ああ、これが念願の「私立ロイヤリティ魔法学校」か。 通いたかったな。 くるりと振り向き「ロ魔校」の校門を背に、僕は目の前の歪んだ小屋に入る。 入り口にはバランス…

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1年前
11

短編小説 『思い』

おーーーい! 私、死にました! いつだったか、もう思い出せないけど、 私、自分で、死んだんですよーーー。 すっごい、苦しかったんですー。 両親は早くに死んじゃって…

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1年前
14

『運試し擬人化』#毎週ショートショートnote

「き、来た!」 商店街の福引コーナーがざわついた。 名物大家族の田中6兄弟が、アーケードを横並びで颯爽と歩いてくる。 長男、大吉22歳、 次男 三男 四男 (吉、中吉…

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1年前
12

短編小説 『土の中』

ああ、 分かんねえ、分かんねえ、分かんねえと、 地面に頭を擦り付けてたら、 いつの間にか 土の中に ずんずん ずんずん ずんずん 潜り込んでいた。 ミミズ、モグラ、…

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1年前
5

連載小説 『喋る後輩 〜おまけのおまけ〜』

後輩が退職し、地元に引っ越す当日、僕は丁度休日だった。 ほんとに、計画したわけじゃなく、偶然休みだった。 言うほど嘘くさくなるが、本当に休日だった、信じてほしい。…

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1年前
3

連載小説 『喋る後輩 最終話 〜言わない僕〜』

職場が、静かだ。 まるで、風のない日の湖面のようだ。 昨日も、静かだった。 一昨日も、静かだった。 今日も一日、静かだろう。 皆が皆、挨拶は交わすものの、そこか…

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1年前
4

短編小説 『ある保育士の自殺』

12月下旬、保育士の佐藤美咲が自殺未遂をした。 佐藤美咲という保育士は、常に明るく、上司にも同僚にも保護者にも子どもにも、いつだって人当たりがいい。 ユーモアを最…

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1年前
8

『十年パンイチ』 #毎週ショートショートnote

十年前、小学生だった娘が良くない霊に取り憑かれた。 霊媒師が除霊を試みたところ、霊は娘の体から出ていったのだが、代わりにそのとき私が穿いていた、白いブリーフに封…

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1年前
16

短編小説 『汚れた水』

世の中のやつらは今日も平気な顔で汚れた水を飲んでやがる。ばか共め。 あんなもんを飲み続けてると内臓はボロボロ、脳みそは縮こまり、廃人まっしぐらなのは目に見えてい…

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1年前
3
『失恋墓地』 #毎週ショートショートnote

『失恋墓地』 #毎週ショートショートnote

線香をつける。
煙が優しく私を抱く。

生きてた頃のあなたみたい。

墓石の前で手を合わせる。
目を瞑ると簡単にあなたの顔が思い浮かぶ。

出会った日、誕生日、クリスマス、、、。
いつだって優しい人だったな。

あなたが別れを切り出した時、
本心じゃないって分かってた。

私は水筒を取り出しお茶を湯呑みに注いだ。
隣にクッキーも添える。

墓石の隣に腰掛けて、自分もお茶を飲み、クッキーを食べた。

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『失恋墓地』 #毎週ショートショートnote

『失恋墓地』 #毎週ショートショートnote

「おはようございます。」

墓石に向かって挨拶をするのが僕の日課になった。

軽く雪を被った墓石をコートの袖で拭く。

「東北の冬は寒いんじゃない、痛いんだ、って先生が言ってたのがやっと分かりました。」

独り言を言ったら、漫画の吹き出しみたいに息が白くなって、笑ってしまった。

水筒に入れてきた温かいお茶を湯呑みに注ぐ。
「先生は、お茶よりもこっちですね。」

もう一つの湯呑みに並々と日本酒を注

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短編小説 『脳みそを洗う』

短編小説 『脳みそを洗う』

朝、妻が
「ねえ、そろそろ脳みそ洗ったら?」
と、言ってきた。

だれかに言われて脳みそを洗うことほど面倒くさいものはない。
せっかくの土曜日、ごろごろしようと思っていたのに。

「後で」と言って伸ばし伸ばしにしていたが、夕方になり、とうとう妻の機嫌のつまみが「不機嫌」に振り切れそうになってきた。

怒った妻と脳みそ洗い、どちらがより面倒くさいか。

仕方ない、洗おう。

僕は重い腰を上げ、風呂場

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2次会デミグラスソース #毎週ショートショートnote

2次会デミグラスソース #毎週ショートショートnote

シェフと見習いの僕は、ピンセットを握り、小さな甕を小脇に抱えて繁華街にやって来た。

秘伝のデミグラスソースに必要な材料を収穫しにきたのだ。

時刻は21時。

1次会が終わり2次会に移り変わろうとする人々が通りに溢れてきた。

「あの辺だな」
シェフはピンセットを右手に構えながら大学生らしき集団にそろりと近づく。

集団の後方にいた女の子の後頭部辺りでパチンッとピンセットで何かを掴むと、すかさず

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短編小説 『リズムを崩すな!』

短編小説 『リズムを崩すな!』

そろそろ目を覚ます時間だ。

チーン カチ カチ チーン カチ カチ

やつの尻尾がメトロノームのように揺れている。

タン タカタタン タカタ タンタン
タン タカタタン タカタ タカタタカタ

テンポは大体『ボレロ』くらいだな、と常々思っていた。

「さ、いくぜ」
言われなくても分かってる、今日こそやり遂げて、幸せになってやる。

チーン カチ カチ 
8:50 僕は目覚め、掛け布団を跳ね除

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『逆さ富士七転八倒』#毎週ショートショートnote

『逆さ富士七転八倒』#毎週ショートショートnote

むかーしむかしの富士山は

そりゃあもう小さな山じゃった。

いつも周りの山に馬鹿にされとった。

富士は背を伸ばそうと、色々やったが
少しも伸びんかった。

おらは一生このままか、、、

月の晩、

膝を抱えて座っていると
湖の上を滑るように
山の神がやって来た。

「わしが 背 伸ばしてやろうか」
「やっておくれ」
「痛えぞう苦しいぞう」
「やっておくれ!」

それを聞いた山の神は
持っていた

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短編小説 『ミニマリスト』

短編小説 『ミニマリスト』

ある日、東京で暮らしていた姉が田舎の実家に戻って来た。

住んでいたマンションを引き払って来たというが、「そんなに長くはここにはいないよ。」
とのことだった。

持ち物は全て処分したようで、荷物は財布だけだった。

久しぶりに会った姉は随分変わっていた。

以前はボーイッシュで健康的な20代の女性という感じだったのだが、

丸坊主になっていた。

そして骨と皮になっている。

父や僕の服を借りて着

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『宝くじ魔法学校』#毎週ショートショートnote

『宝くじ魔法学校』#毎週ショートショートnote

ああ、これが念願の「私立ロイヤリティ魔法学校」か。

通いたかったな。

くるりと振り向き「ロ魔校」の校門を背に、僕は目の前の歪んだ小屋に入る。

入り口にはバランスの悪い手書きの文字で
「超私立宝くじ魔法学校入学式」と書かれた紙が貼ってある。

受験に失敗した僕が今年中に入れる学校はここだけだった。

「んも〜制服、似合うじゃ〜ん!」

だっだっだっだっと廊下を大きな足音を鳴らしながら、軽ハゲち

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短編小説 『思い』

短編小説 『思い』

おーーーい!
私、死にました!

いつだったか、もう思い出せないけど、
私、自分で、死んだんですよーーー。

すっごい、苦しかったんですー。
両親は早くに死んじゃって、
祖父母に育てられたんですけど、
全っ然、同級生と話が合わなかったんですよね〜。

多分、発達障害とかも、今になって思えばあったのかも。
とにかく、生きるってしんどくて、

で、死んじゃった。
薬飲んだり、手首切ったりしたけど、

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『運試し擬人化』#毎週ショートショートnote

『運試し擬人化』#毎週ショートショートnote

「き、来た!」
商店街の福引コーナーがざわついた。

名物大家族の田中6兄弟が、アーケードを横並びで颯爽と歩いてくる。

長男、大吉22歳、

次男
三男
四男
(吉、中吉、小吉は年子なので、ぱっと見では生まれ順が分からない。)

五男、末吉16歳、
六男、凶14歳。

大吉が家族総出で貯めた、大量の福引券を受付に差し出す。

「凶、お前からいけよ!」
お調子者の末吉が言った。

黒いパーカーのポ

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短編小説 『土の中』

短編小説 『土の中』

ああ、

分かんねえ、分かんねえ、分かんねえと、
地面に頭を擦り付けてたら、

いつの間にか
土の中に
ずんずん ずんずん ずんずん
潜り込んでいた。

ミミズ、モグラ、木の根っこ。
土の中も案外、騒がしい。

それでもずんずん進んで行った。
なぜならやっぱり分からなかったから。

地層
地層
地層

地層

地層

地層、、、、、。

不意に

静かで冷たい場所にきた。

ひんやりしていて心地良

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連載小説 『喋る後輩 〜おまけのおまけ〜』

連載小説 『喋る後輩 〜おまけのおまけ〜』

後輩が退職し、地元に引っ越す当日、僕は丁度休日だった。
ほんとに、計画したわけじゃなく、偶然休みだった。
言うほど嘘くさくなるが、本当に休日だった、信じてほしい。

にわかミニマリストの後輩の引っ越し荷物は少なく、宅急便で2〜3箱程度だった。
その他は全部売るなり捨てるなりして処分していた。

以前、訪れたことのあるスープカレー屋のランチを食べたあと、駅に向かって歩いた。

後輩は思い出話やら今見

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連載小説 『喋る後輩 最終話 〜言わない僕〜』

連載小説 『喋る後輩 最終話 〜言わない僕〜』

職場が、静かだ。
まるで、風のない日の湖面のようだ。

昨日も、静かだった。

一昨日も、静かだった。

今日も一日、静かだろう。

皆が皆、挨拶は交わすものの、そこから先が出てこない。
共通の話題はなんだっけ?
人と話をするって、どうするんだっけ?
一体、何を話したら、、、?
と、探り合っているうちに就業時間になってしまう。

どうしてだろう、こんな職場だっただろうか。
以前はもっと、そこかしこ

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短編小説 『ある保育士の自殺』

短編小説 『ある保育士の自殺』

12月下旬、保育士の佐藤美咲が自殺未遂をした。

佐藤美咲という保育士は、常に明るく、上司にも同僚にも保護者にも子どもにも、いつだって人当たりがいい。
ユーモアを最優先にし、ぐずった子どもも魔法のように、あっという間に気分転換させた。
彼女ほど、保育士の鏡と言える人物を、園長は見たことが無かった。

自殺未遂をした件を園長に報告した時も、こんな感じだった。

「いやあ〜、3日前に、薬を大量に飲んだ

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『十年パンイチ』 #毎週ショートショートnote

『十年パンイチ』 #毎週ショートショートnote

十年前、小学生だった娘が良くない霊に取り憑かれた。
霊媒師が除霊を試みたところ、霊は娘の体から出ていったのだが、代わりにそのとき私が穿いていた、白いブリーフに封印された。
「理由などない。それが心霊です。」
霊媒師は言った。

それ以来、私が白ブリーフ以外の衣服を身につけようとすると、娘に異変が起きるようになった。体調を崩したり、交通事故に遭いそうになったり、その他もろもろ。
「理由などない。それ

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短編小説 『汚れた水』

短編小説 『汚れた水』

世の中のやつらは今日も平気な顔で汚れた水を飲んでやがる。ばか共め。

あんなもんを飲み続けてると内臓はボロボロ、脳みそは縮こまり、廃人まっしぐらなのは目に見えている。

俺は水分を取るためにミネラルウォーターを飲んだ。
透明で清らかな水が血液の一部となり、その心地よさに俺の身体は喜びで震えた。

さて、夕飯でも買いに行こうか。

男の一人暮らし、料理はほとんどしない。
スーパーの惣菜を少し買えば、

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