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保健室のチャップス

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授業中に白目を剥いてぶっ倒れた私が保健室で出会ったのは、変な先生、チャップスだった。
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【短編小説】保健室のチャップス(前編)

【短編小説】保健室のチャップス(前編)

お母さんは『ざざっ』
お父さんは『ぎりっ』
お向かいのおばさんは『ざりざり』
すれ違ったお姉さんは、『びりびり』

校門の前に立つ先生は『ごわごわ』
廊下にいた1年生は、『がさっ』
階段を登る隣のクラスの子は、『ぞぞぞぞ』
教室の引き戸を開けた途端、
『がわがわがわがわごそごそごそジリジリざらざらぞりぞりぞりぞわぞわぞわ、、、、、』

ああ。
みんなの「心の衣擦れ」の音が聴こえてきて、
せかいは今

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【短編小説】保健室のチャップス(後編)

【短編小説】保健室のチャップス(後編)

教室で白目を剥いてぶっ倒れた私が、次に目覚めたのは保健室のベッドの中だった。

年齢も性別も不明な、見覚えのない保健の先生が、チュッパチャップスのスタンドを私に向けて、「食べる?」と聞いてくる。

「は、はあ、、、。」
断る理由も見つからず、私はチュッパチャップスのスタンドを両手で受け取る。

ぐるりと見回すと、それぞれの味が一種類ずつ残っていた。

唯一、プリン味だけがダブっていたので
それを1

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