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2次会デミグラスソース #毎週ショートショートnote

シェフと見習いの僕は、ピンセットを握り、小さなかめを小脇に抱えて繁華街はたけにやって来た。


秘伝のデミグラスソースに必要な材料を収穫しにきたのだ。


時刻は21時。

1次会が終わり2次会に移り変わろうとする人々が通りに溢れてきた。


「あの辺だな」
シェフはピンセットを右手に構えながら大学生らしき集団にそろりと近づく。

集団の後方にいた女の子の後頭部辺りでパチンッとピンセットで何かを掴むと、すかさず甕に放り込みながら僕の方へ戻ってきた。


「活きのいい『葛藤』が採れたぞぉ!

2次会には参加したくない、だけど断りきれない、ああどうしよう

このほろ苦さがソースにコクを出すんだなあ。

乾燥させて1年間使うからな、新年会シーズンは採れるだけとっとけよ!」

僕も負けちゃいられない!

バイト仲間らしき集団に近づき、後方にいた男女から『葛藤』をつまんで甕に入れた。

が、その男女は2次会には行かずにこっそりと2人だけ夜の中に消えていった。

僕の甕の中を覗き見ながらシェフが言った。

「ああ〜ま、これはこれでデザートのティラミスに使えるから持って帰ろう。」





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