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『宝くじ魔法学校』#毎週ショートショートnote


ああ、これが念願の「私立ロイヤリティ魔法学校」か。



通いたかったな。


くるりと振り向き「ロ魔校」の校門を背に、僕は目の前の歪んだ小屋に入る。

入り口にはバランスの悪い手書きの文字で
「超私立宝くじ魔法学校入学式」と書かれた紙が貼ってある。

受験に失敗した僕が今年中に入れる学校はここだけだった。



「んも〜制服、似合うじゃ〜ん!」

だっだっだっだっと廊下を大きな足音を鳴らしながら、軽ハゲちょいぽちゃ白タンクトップの男が駆け寄って来た。
胸元にピンクの花のコサージュをつけている。

全ての持ち物に宝と金文字で書かれている制服を似合うと言われても嬉しくない。
洗練されたデザインの制服に身を包んだロ魔校生に見られないよう、体を縮こませながら来たというのに。



「さ、座って!


校長挨拶。
え〜おっほん、これから入学式を始めます。

担任発表。
はい、私です!

私とあなた、二人だけの学校生活
楽しみましょうね〜!」


涙が出た。

「やん、嬉し泣き!」

な訳ない。




後に、
「た魔校」は選ばれたものしか入れない「ロ魔校特別分校」であり、校長兼担任の男は元国立魔法軍首席指導教官の中でもさらに伝説的手腕を持った教育者であったことが判明する。


知らず知らずのうちに、魔法界最強の宝くじの1等に当選していたわけだが、この頃の僕には知る由もなかった。






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