朝になっても閉じられない本。 (それはきっと、これから先、ずっと開かれたままになる本) 100年を超える時を経ても消えない靴音のように。 (地下から聴こえてくるその靴音に合わせて歩く、散歩)
歩きながら、トポン、トポン、という音が聞こえるような気がする。散歩しているとき。靴底が触れているのは、春の終わりの白い光が木の間から降り注ぐ乾いた歩道ではなくて、地下なのかもしれない。この街に向かって流された涙で今でも濡れている場所。