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そっと咲く

その花は 国道の巻き上がる埃をかぶって
そっと咲く

表の並木の足元は 黄色や紫のパンジーが彩って
目に鮮やかだ

その向かいの駐車場のコンクリートの
割れ目に その名もない花は咲く。
注目されることもなく そっと咲く。

花よ
朝 きみは 毎日 急ぎ足の靴音を聴き
夜は 少し 足取りの重く疲れた
それでもひたすら家路を急ぐ
あの靴音を見送る

冬には 身をかがめ 風に吹かれ
夏には 日照りの 少し枯れた葉で
ひと晩中 眠らないトラックの足音を聴くだろう
星空が 話してくれるだろうか

あしたの朝の太陽は きみを照らし
文句ひとつ言わぬきみの
ただ ただ咲くその姿を 
そっと風が抱きしめていくだろう

ねえ
きみは 知ってるかい?
きみが 咲いていることが
ひとりのものの こころを温めてるってこと。

泥にまみれても 日照りに枯れても 咲いている
その気高さが 胸に滲みる

あしたも きみに会いに行く



もし 心に留まって下さったら、、、本を出すと言う夢に使わせていただきます。