手嶋龍一

手嶋龍一さんが今月買った10冊の本

手嶋龍一さんが今月買った10冊の本

量子暗号が世界を支配する われわれの頭上に「墨子」がいて、情報世界の覇者として君臨している――その事実をどれだけのひとが知っているだろう。2016年8月、中国は量子科学衛星「墨子」を世界に先駆けて打ち上げた。最先端の量子暗号システムを備えて盗聴・傍受を封じ、軍事・金融分野での極秘通信を可能とした。まさしく「21世紀のスプートニク・ショック」だった。冷戦期に人工衛星の打ち上げでソ連に先んじられたアメリカは直ちに反転攻勢に出た。だが「トランプのアメリカ」は手を拱いて中国の独走を

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鳴かずのカッコウ レビュー 感想

鳴かずのカッコウ レビュー 感想

本のタイトルが面白いなと思いませんか?カッコウの卵がヒントになりますが、種明かしは実際に読まれて頂ければと。 公安の物語ですが、公安自体何をしているかわからない職種ですよね。まぁスパイみたいなものでしょうか。ストーリーは淡々と展開されますが、公安業務が具体的にしっかり表現されていて、普段お目にかからない仕事内容が垣間見れるのがなかなか面白かった。 ストーリーの幅も世界展開しているので日本国内だけではなく、他国との関係性など細かく描かれており、筆者の経験や取材能力の高さが伺

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📖『鳴かずのカッコウ』手嶋龍一著

📖『鳴かずのカッコウ』手嶋龍一著

国際情勢に詳しいジャーナリスト、手嶋龍一氏ならではの視点で面白かった。舞台は公安調査庁。安定した職業として公務員を目指した梶壮太でしたが公安調査員となり、国際テロ班に配属。地味で大変な仕事であるが、壮太にはズバ抜けた記憶力と、分析力、突き抜けた忍耐力があった。漫画大好きオタクのおっとりした性格をしていて本人自覚無しだけれど間違いなくインテリジェンスが高い。難しい国際問題の中、自国で安心して暮らせるのは、彼らのような存在もあるからなのですね。茶道、美術、ワインなどの趣味教養も面

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『鳴かずのカッコウ』ノート

『鳴かずのカッコウ』ノート

手嶋龍一 小学館刊 2021年3月21日  不思議なタイトルは、ヒューミント(対人諜報活動)を生業とするわが国の法務省外局である公安調査庁の存在を、公安調査官自身が自嘲気味に譬えた言葉である。  暴力によって国家転覆を謀る集団、サリンを用いて大量殺人と国家の中枢破壊を目指したカルト組織、そのほか国際的テロ集団などを標的に、秘密裏に調査を進め、国家中枢に報告するのが公安調査官の仕事である。  筆書の知る限りわが国の情報コミュニティーを列記すると、内閣官房に置かれている内閣情

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コロナ下で読んだ「わたしのベスト3」 疫病というメタファー|手嶋龍一

コロナ下で読んだ「わたしのベスト3」 疫病というメタファー|手嶋龍一

コロナ・ウイルスは、尊い人命を奪い去り、大統領選びにも影を落として合衆国に深い亀裂を生じさせた。南北戦争の危機に直面したリンカーンは「分かれたる家は立つこと能わず」と訴え、祖国の分裂を避けるためなら、至高の信念である奴隷解放の歩みさえ遅らせた。だが、異形の大統領トランプは、リンカーンの国を「2つのアメリカ」に塗り替えてしまった。 西側の盟主アメリカは、ケナンを擁して壮大な対ソ戦略を立案させた。『ジョージ・F・ケナン回顧録』は、対ソ封じ込め戦略を提唱した戦略家の一瞬の栄光とそ

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【25-国際】トランプが消えた共和党に超保守派が台頭する|手嶋龍一

【25-国際】トランプが消えた共和党に超保守派が台頭する|手嶋龍一

文・手嶋龍一(外交ジャーナリスト) 「アメリカ・ファースト」の潮流は変わらない ドナルド・トランプは、21世紀のアメリカが生んだ「結果」であって、「原因」なのではない。 「アメリカ版ものづくり産業」は、近年、中国の攻勢にさらされ、ラストベルト地帯では職を失うのではと不安に怯えた白人労働者層の不満が沸点に達しようとしていた。4年前の選挙で、トランプはそんな白人労働者層の心を鷲掴みにして、ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルバニアといった民主党の地盤「ブルーステート」を席巻し

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手嶋龍一さんが今月買った本10冊の本

手嶋龍一さんが今月買った本10冊の本

トランプ治世への警告 本稿が刷りあがる頃には、米大統領選挙の結果が判明しているはずだ。だが開票を巡って訴訟合戦となり混乱に陥っているかも知れない。たとえどんな結果になろうと、トランプが米国の民主制に負わせた傷は深く、容易には癒えないだろう。異形の大統領は、「ジャスティス」の旗を掲げて建国されたこの国の威信を粉々に打ち砕いてしまったのである。

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公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」が読み応えある。:読書録「公安調査庁」

公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」が読み応えある。:読書録「公安調査庁」

・公安調査庁 情報コミュニティーの新たな地殻変動 著者:手嶋龍一、佐藤優 出版:中公新書ラクレ(Kindle版) 読んで一番面白かったのは、紹介されている公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」。 HPで毎年報告されてるようなんですが、これが実に興味深かったw。 これは「おすすめ」。 もっとも公安調査庁が「思う方向」に誘導されちゃうリスクもありますがね。 本書自体は折に触れて出版されている手嶋/佐藤の対談本。 相変わらずお互いを褒め合うスタイルに辟易とするんですがw、なんか読

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手嶋龍一さんが今月買った10冊の本

手嶋龍一さんが今月買った10冊の本

スパイ小説か、ノンフィクションか スパイ小説のようなノンフィクション――という常套句がある。現実の出来事が、スパイ小説を思わせてスリリングだと言いたいのだろう。だが、読みごたえのあるノンフィクション作品は、ル・カレやグリーンの小説に劣らず、緻密に構成されている。ルポルタージュの伝説的な書き手、ジョン・マクフィーは『ピュリツァー賞作家が明かす ノンフィクションの技法』のなかで「しっかりした構成はフィクションにおける筋立てと同じく人を引きつける効果がある」と指摘している。 そ

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手嶋龍一さんが今月買った10冊の本

手嶋龍一さんが今月買った10冊の本

「スーパー大陸」のアメリカ離れ 海を隔ててニッポンから遥かに望む巨大な大陸がいま、どのように変貌しつつあるのか――。『スーパー大陸 ユーラシア統合の地政学』は、その素顔を活写して鮮烈だ。本来なら絶好の観測地点にいる日本の研究者が担うべき仕事なのだが、生涯を通じて東アジアと向き合ってきたケント・カルダー教授が知力の限りを尽くして力作をものしてくれた。 歴史上、「スーパー大陸」が初めて登場したのは北アメリカだった。19世紀後半に大陸横断鉄道を完成させ、20世紀初めにはパナマ運

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