憐憫(れんびん) 一昔前の小説には、欠かせない文字の一つ…(だったかも…) 哀れむ(可哀想に思う)事を漢字二文字で表された言葉だが… その趣は当時の文学を愛する人には、エモーショナル的に心にしみる(心に沁みる)切ない気持ちを刹那的に味わえる便利で大切なワードだったのだろう。
自己憐憫に基づく怒りは少なくない。それは外からの攻撃から心を守り、自己を尊重する防衛機構なので、必要なことではある。だが過度な憐れみは心を虚弱にする。さらにたちが悪いのは、自尊心を肥大させてしまうことだ。ある程度自身を蔑むことも必要だと思う。
かれらは、そうでなければしんでしまうのだ。 われわれは、こうでなければしんでしまうのだ。 泳ぎを止めないのはマグロだけではない。 かれらはそうでなければしんでしまうのだ。 一日の大半を寝て過ごすのはコアラだけではない。 われわれはこうでなければしんでしまうのだ。 『破破廉恥』