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殺人申告書

「診断書を持ってこい!」

最後に顔を合わせた日に
投げつけられた言葉
あんなに愛したアナタの
鬼のような顔

子宮外妊娠
胎嚢発育不良
結果、自然流産

そんな
「殺人申告書 」が
そんなに
欲しいの?

そんなに自分が責任持つのが
怖いの?子供なの?

この三行を
印鑑付きで見たら

そんなに
素敵な事が何かあるの?

遺伝子異常で産めない
育たない
けれど
お腹にいる

だけれども
いつか流れる
いつか殺す

殺さなくてはいけない
覚悟しなければならない
自分の不甲斐なさのせいでしかない
ごめんなさい  そんな

大切な子供が
大切な人との子供が

結果、1番苦しい時に

私の身体から
激しい痛みと共に
子宮から引きちぎられて
血を吹き出しながら離れていく

ベッドの上で
激痛と孤独と戦いながら
下半身を血まみれにして
苦しみ悶え続けた夜を

そんな苦しみを
アナタは一生分からない

だから「印鑑!」なのね

私も印鑑で済むなら
それがよっぽど良かったわよ
心も身体も
傷ついて苦しまないなら
それがよっぽど良かったわよ

欲しいのよね
権力者からもらった
お墨付きの
「殺人申告書」

数え切れない涙を流し
大量の血を流し
愛する子供を流し
全てを流したから

私は死んでも
この地に立つわ

アナタの欲した
「殺人申告書」なんて
薄っぺらい紙切れより

苦しんだ分だけ
あの子の命の分も

あの蔑ろにされた
命の分も

絶対に立ち上がって
前に足を進めてやる

死んでも
生きてやるわよ
死んでも
顔を上げて進むわ

あんな
薄っぺらい
「殺人申告書」を見た時より

絶対に
立ち上がってやる
1歩ずつでも
前に進んでやる

それが
大切な大切な
あの子のため
あの子への気持ち

くだらない憐憫なんて
ちゃんちゃら
いらないわ

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