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最近読んだ本の話 vol.95

 「最近読んだ本の話」の第95弾です。私の住む地域でもとうとう桜が開花しました。まだ3分咲きくらいですが、これから楽しみです。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。

1、島本 理生『憐憫』

かつて子役だった沙良は、芸能界で伸び悩んでいた。自分の正体をまったく知らない人間に出会いたい──そんな折に酒場で偶然出会った柏木という男に、たまらない愛しさと憐憫(れんびん)を感じた──。愛に似て、愛とは呼べない関係を描く、直木賞作家の野心作。

Amazonより引用

 主人公の沙良は、芸能界の仕事を小さい頃からしていますが、大人になって伸び悩んでいました。子役時代に稼いだお金をすべて家族と親戚に使い込まれてしまい、絶縁状態になっていて、結婚したけど夫は調子の良いことばかり言う、沙良とはだいぶ性格の違う人です。何かいつもと違うことがしたくて友達とバーに行き、そこで柏木という男と出会います。会った瞬間に愛しいような憐憫のような感情にとらわれて親しくなるのですが…。
 読み終わって、柏木さんが謎すぎる!と思いました。最後の方でキレてたのは何だったんだろう?とか。沙良が柏木さんと会わなくなって最後の場面、後悔してるのかな?と思われて、せつない気持ちになりました。


2、ディーン・R・クーンツ『ベストセラー小説の書き方』

どんな本が売れるのか?超ベストセラー作家が、自作をはじめ、さまざまな例をひきながら、成功の秘密を説き明かす。何百万もの読者に支持される人気作家ならではの、それ自体が一つのエンターテインメントとなるように計算された好読み物!巻末に読書ガイド「読んで読んで読みまくれ」添付。

Amazonより引用

 小説を書こうとしているわけではないのに書き方は知りたい、という欲求があって、こういう本は読みたくなります。著者の「書いて書いて書きまくれ」「読んで読んで読みまくれ」という言葉が、まさにそれだわ、究極的にはそれしかないんだわ!と納得したりしながら、小説を書くために必要な知識を楽しみながら知ることができました。具体的な例があげられているので、イメージが思い描きやすいし、ベストセラー小説を書くことは途方も無いことだと思いながらも、著者のとても親切で楽しい文章に引っぱられて最後まで楽しく読めました。巻末の読書ガイドで紹介されている本の冊数が膨大な数です!


3、青山 美智子『月の立つ林で』

似ているようでまったく違う、新しい一日を懸命に生きるあなたへ。2021年、2022年本屋大賞2位!『木曜日にはココアを』『お探し物は図書室まで』『赤と青とエスキース』の青山美智子、最高傑作。長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家――。つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの想いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく――。最後に仕掛けられた驚きの事実と読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、心震える傑作小説。

Amazonより引用

 1章から5章まであり、それぞれ主人公が違うのですが、物語の登場人物全員に共通しているのが、タケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』を聴いていることです。私はポッドキャストを聴いたことがなかったので色々聴いてみたのですが、すごく好き!と感じる配信をまだ見つけられていません。もっと探してみよう。
 うまくいかないことっていっぱいあるよなあ、と登場人物たちにうなずきながら読みました。それぞれの主人公たちの気持が少しずつ変わって、これからうまくいきはじめるんだろうな、というところが丁寧に描かれています。最後のタケトリ・オキナの正体がわかるところは、泣きそうになりました。


 あっという間に3月があともう少しで終わりです。気温も高くなって春らしくなってきました。最近いつも眠いのは、気候がちょうどいいからかな?最後までお読みくださってありがとうございました。

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