「フレームの周囲には必ず死が潜んでいる」と監督がインタビューで答えていたように、本当にどこで死んでもおかしくないと思うシーンが多々あった。もしかしたら雨の中自転車で走ってる途中にトリが事故に遭うかもみたいな。その世界線と最後のシーンとが等価値のように思ってしまう。
副業で薬の売買をしてるシェフのちょっとした優しさ?(フォカッチャのサービス、好きな味のピザを持ってく等)や、ロキタがパニック障害で倒れたときに栽培業者がトリとの電話を許可するのも、善意から来るものというより管理コストを下げる意味で振り撒かれている感がある。
『トリとロキタ』 移民の仲介業者のようないわゆる典型的な搾取する側とは別に、麻薬の栽培業者がロキタを単なる利害関係者と見なしてる感じや、ビザ申請に関わる役人の私情を切り離して仕事に臨む態度に共通する他者に立ち入り過ぎないことで生まれる残酷さみたいなものを強く感じた。