Kuwayama Daisuke

マンガ・映画・音楽・本が好き。主に映画感想を書きます。 twitter : @afxy…

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マンガ・映画・音楽・本が好き。主に映画感想を書きます。 twitter : @afxyama

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映画タイトル50音順インデックス

 映画感想もたまってきたので、どこからも来ていない要望にお応えしてタイトル50音順索引付けました。過去作の感想も読んでみてください。随時追加していきます。 あ行 映画『愛なのに』感想 ピンク映画手法の純愛コメディ 映画『愛にイナズマ』感想 現実をブッ飛ばす家族愛 映画『アイリッシュマン』感想 映画『茜色に焼かれる』感想 このクソみたいな世界の片隅に 映画『Arc アーク』感想 SF感表現の難しさ 映画『悪なき殺人』感想 偶然が隠す哀しい滑稽さ 映画『悪人伝』感

    • アニメ映画『ルックバック』感想 その背に負う創作の業

       完成度の高い原作を、見事に補強した映像化作品。アニメ映画『ルックバック』感想です。  『チェンソーマン』で知られる藤本タツキさんの短編漫画作品を原作として、アニメーターの押山清高さんが、監督・脚本・キャラクターデザインまで手掛け、劇場用としてアニメ化した作品。  原作漫画は、WEBの「ジャンプ+」で発表された当日に読んで衝撃を受けて、単行本が発売されてからも、何度となく読み返した、令和初期の名作漫画であることことは間違いない作品です。そのアニメ化とあれば注目せざるを得ない

      • 映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』感想 タイムレスに響くメッセージ

         いやー、良さしかありませんでした。映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』感想です。  『アバウト・シュミット』『ファミリー・ツリー』『ネブラスカ』などで知られるアレクサンダー・ペイン監督による最新作。各所で絶賛され、オスカーでも各部門ノミネートされており、ダバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞に輝いております。  正直、公開前までは全くノーマークだったのですが、ラジオ番組「アトロク2」の宇多丸さんの映画批評を聴いて、その熱量にものの見事に感化され、慌てて鑑賞

        • 映画『蛇の道』感想 理不尽なオカルト風味が小気味良い

           リメイクだからなのか、昔の理不尽ホラーな空気が懐かしい。映画『蛇の道』感想です。  『CURE』『回路』『スパイの妻』などで知られる巨匠・黒沢清監督による最新作。1998年に自身が手掛けたVシネマビデオ作品『蛇の道』を、セルフリメイクした映画で、自ら「最高傑作ができたかもしれない」と公言するほど手応えを感じているそうです。元版を観たこともなかったのですが、それならば真っ新な気持ちで観るのも一興と思い、鑑賞に臨みました。  黒沢清監督といえば、『CURE』が最初に評価さ

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        • 2024年映画感想
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        • 2021年映画感想
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          映画『あんのこと』感想 確かに生きていたという叫び

           現実に起きた悲劇を知らしめるために作られたフィクション。映画『あんのこと』感想です。  『SR サイタマノラッパー』シリーズ、『太陽』『AI崩壊』などで知られる入江悠監督によるオリジナル脚本作品。2020年に新聞で掲載された、とある少女の人生について綴られた記事に着想を得て作られた物語だそうです。  河合優実さんが主演ということで注目はしておりましたが、あまりにも観るのがしんどく辛いものの予感はしていたので、避けようかなと考えておりました。しかし、結構な評判が耳に入ってく

          映画『あんのこと』感想 確かに生きていたという叫び

          映画『違国日記』感想 その映像では「たりない」実写化

           原作漫画が良すぎるにしても、雑な部分が多い残念作。映画『違国日記』感想です。  ヤマシタトモコさんによる同名漫画作品を原作として、『ジオラマボーイ・パノラマガール』などで知られる瀬田なつき監督が実写化した作品。原作漫画は以前から評判を聞いており、実写映画化の報せがあってから、思い切って全巻購入して読み始めたところ、ドハマりしてしまいました。一気に読むのがあまりにも惜しくて、半年かかって全11巻をようやく読み終えるほど、最高の漫画体験となった作品です。  公開直前で、原作

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          映画『マッドマックス:フュリオサ』感想 前作の行間から広がった前日譚

           『怒りのデス・ロード』への解像度を上げることに徹した見事な前日譚。映画『マッドマックス:フュリオサ』感想です。  ジョージ・ミラー監督の名を知らしめた名作『マッドマックス』シリーズ。27年振りに製作され、さらに新たな評価を獲得した『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、その前日譚を描いたのが本作『フュリオサ』になります。  『デス・ロード』は公開当時に観に行っていて、『マッドマックス』シリーズを観た事もなかった初心者なのに、滅茶苦茶面白くて、まんまとハマったものでした。

          映画『マッドマックス:フュリオサ』感想 前作の行間から広がった前日譚

          映画『関心領域』感想 過去と現在の罪悪から目を逸らすな

           物凄く冷静でありながら、激しい怒りを持って、この世の不快さを表現しています。映画『関心領域』感想です。  マーティン・エイミスの同名小説を原作として、ジャミロクワイのMVや、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』の監督として知られるジョナサン・グレイザーが脚本と監督を務めた作品。先のアカデミー賞でも国際長編映画賞と音響賞を受賞し、カンヌでもグランプリを獲るなど、各所で絶賛されています。  ナチスが行った強制収容所でのユダヤ人大量虐殺は人類史に残る汚点であり、多くの映画作品

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          映画『ミッシング』感想 世界の醜悪さと、わずかな美しさ

           観ている間、頭痛がするほどのストレス。それでも、ちゃんと美しさを描いてはいます。映画『ミッシング』感想です。  『ヒメアノ~ル』『神は見返りを求める』『空白』などで知られる𠮷田恵輔監督による最新作。以前感想にも書いた『空白』は、その年に観た作品でもベストに位置する作品であり、それに連なるテーマの作品ということは事前に聞いていたので、かなり期待をしていた作品でした。  『空白』もそうでしたが、今作も実際にあった失踪事件を想起させるもので、物語そのものは𠮷田監督によるオリジナ

          映画『ミッシング』感想 世界の醜悪さと、わずかな美しさ

          映画『碁盤斬り』感想 落語×時代劇の職人映画

           落語と時代劇の掛け合わせは良いとしても、人情と武士道の両立はあまり上手くいってない気がしました。映画『碁盤斬り』感想です。  『凶悪』『ひとよ』『孤狼の血』シリーズ、『死刑にいたる病』などで知られる、白石和彌監督による初の本格時代劇映画。加藤正人さんによる脚本で、古典落語『柳田格之進』をベースにして書かれたオリジナル作品だそうです。草彅剛、清原果耶、國村隼人という布陣が最高なので、観てまいりました。  世界観としては、かなりスタンダードな時代劇となっていますね。白石監

          映画『碁盤斬り』感想 落語×時代劇の職人映画

          映画『辰巳』感想 泥臭く描いた「情」の物語

           世界観の没入感、湿った邦画的感情の描き方が本当に巧みな作品。映画『辰巳』感想です。  2016年に公開された『ケンとカズ』で、長編デビューにして大絶賛を受けた小路紘史監督による第2作。8年振りの2作目ということで、『ケンとカズ』を観逃していてそのまま来てしまっていたので、劇場でやっている内に観ておきたいと足を運びました。  世界観はいわゆる、「ヤクザもの」「ノワールもの」に分類されるものですね。エンタメに振り切るか、しみったれた落ちぶれヤクザものになるしかないのが、この

          映画『辰巳』感想 泥臭く描いた「情」の物語

          映画『悪は存在しない』感想 不可解さが永遠に刻まれる怪物的作品【ネタバレあり】

           後半でネタバレ解釈しているので、注意ください。観終えてから、しばらく経っても何を目撃したのか、ずっと頭から離れません。映画『悪は存在しない』感想です。  『寝ても覚めても』『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』など、世界的評価も確立しつつある濱口竜介監督の最新作。しっかりとヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞に輝いています。  もともは、音楽を担当している石橋英子さんが、ライブパフォーマンス用映像を濱口監督に依頼したことから始まった企画だそうで、そのライブ用サイレント映像『G

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          映画『異人たち』感想 生者だけでなく、死者を慰めるための奇跡

           展開知っているのに、大号泣してしまいました。映画『異人たち』感想です。  山田太一の小説『異人たちとの夏』を原作として、『荒野にて』『WEEKEND ウィークエンド』で知られるアンドリュー・ヘイが監督を務めた作品。大林宣彦監督が既に実写映画化しているのも有名です。原作は未読ですが、この大林版の映画はレンタルで観ており、クライマックスで嗚咽するくらい号泣してしまった作品なんですよね。そして、その後にあるラストは、それをぶち壊しにするホラー演出で、正直、口あんぐりとなってしま

          映画『異人たち』感想 生者だけでなく、死者を慰めるための奇跡

          映画『貴公子』感想 シリアスな恐怖を引っくり返す爽快さ

           ノワール的な期待も満たしつつ、予想外の角度の快感もありました。映画『貴公子』感想です。  『新しき世界』『The Witch 魔女』で知られるパク・フンジョン監督によるノワール・アクション映画。特に『新しき世界』の、エグいマフィアものでありつつ、何かドス黒い色気を感じさせる雰囲気が大好きだったので、ちょっと気になってチェックしてみました。  オープニングこそ、「貴公子」のエグい暴力描写で始まるので、『新世界』のような裏社会ものを思わせる雰囲気ですが、話が進むにつれてそ

          映画『貴公子』感想 シリアスな恐怖を引っくり返す爽快さ

          映画『オッペンハイマー』感想 浮き彫りになる核兵器への認識のズレ

           祝オスカー受賞! とはとても言う気になれないけれど、作品としては評価されてしかるべきものでした。映画『オッペンハイマー』感想です。  カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによるノンフィクション書籍『オッペンハイマー』を原作として、『インセプション』『インターステラー』『TENET テネット』で知られるクリストファー・ノーランが監督を務めた作品。昨年の夏にアメリカでは公開されていましたが、日本ではなかなか公開が決まらず、今年のアカデミー賞を総ナメにしたところで、ようや

          映画『オッペンハイマー』感想 浮き彫りになる核兵器への認識のズレ

          映画『DUNE/砂の惑星 PART2』感想 英雄崇拝の否定はまだ道半ば

           ドデカく始まった物語は、まだまだ中途のものとして続くようです。映画『DUNE/砂の惑星 PART2』感想です。  フランク・ハーバートによるSF小説の金字塔『デューン/砂の惑星』を原作として、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督として映像化した『DUNE/砂の惑星』の後編に当たる作品。前作を経て、今作できちんと原作『砂の惑星』のラストまでを映像化したものだそうです。  PART1では、壮大な割にゆったりとしたテンポ感で、本当に話を進ませる気があるのかと、勝手にヤキモキしたもので

          映画『DUNE/砂の惑星 PART2』感想 英雄崇拝の否定はまだ道半ば