Kuwayama Daisuke

マンガ・映画・音楽・本が好き。主に映画感想を書きます。 twitter : @afxy…

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マンガ・映画・音楽・本が好き。主に映画感想を書きます。 twitter : @afxyama

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映画タイトル50音順インデックス

 映画感想もたまってきたので、どこからも来ていない要望にお応えしてタイトル50音順索引付けました。過去作の感想も読んでみてください。随時追加していきます。 あ行 映画『愛なのに』感想 ピンク映画手法の純愛コメディ 映画『愛にイナズマ』感想 現実をブッ飛ばす家族愛 映画『アイリッシュマン』感想 映画『茜色に焼かれる』感想 このクソみたいな世界の片隅に 映画『Arc アーク』感想 SF感表現の難しさ 映画『悪なき殺人』感想 偶然が隠す哀しい滑稽さ 映画『悪人伝』感

    • 映画『オッペンハイマー』感想 浮き彫りになる核兵器への認識のズレ

       祝オスカー受賞! とはとても言う気になれないけれど、作品としては評価されてしかるべきものでした。映画『オッペンハイマー』感想です。  カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによるノンフィクション書籍『オッペンハイマー』を原作として、『インセプション』『インターステラー』『TENET テネット』で知られるクリストファー・ノーランが監督を務めた作品。昨年の夏にアメリカでは公開されていましたが、日本ではなかなか公開が決まらず、今年のアカデミー賞を総ナメにしたところで、ようや

      • 映画『DUNE/砂の惑星 PART2』感想 英雄崇拝の否定はまだ道半ば

         ドデカく始まった物語は、まだまだ中途のものとして続くようです。映画『DUNE/砂の惑星 PART2』感想です。  フランク・ハーバートによるSF小説の金字塔『デューン/砂の惑星』を原作として、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督として映像化した『DUNE/砂の惑星』の後編に当たる作品。前作を経て、今作できちんと原作『砂の惑星』のラストまでを映像化したものだそうです。  PART1では、壮大な割にゆったりとしたテンポ感で、本当に話を進ませる気があるのかと、勝手にヤキモキしたもので

        • 映画『12日の殺人』感想 男性視点では見えない真実

           シンプルな台詞1つが、本質部分を表現していて刺さるような感触がありました。映画『12日の殺人』感想です。 『悪なき殺人』で知られるフランスの映画監督ドミニク・モルによる最新作。2013年に起きた「モード・マレシャル殺人事件」という未解決事件をモチーフにして作られた作品だそうです。  そう、未解決事件をモチーフにしているので、今作も事件の真相を解き明かすのではなく、そこに関わった人々の感情の移ろいを描く物語になっています。先日感想を書いた『落下の解剖学』と同種の作品といえる

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        • 2024年映画感想
          11本
        • 2023年映画感想
          48本
        • 漫画・アニメ感想
          17本
        • 音楽感想
          8本
        • 2022年映画感想
          51本
        • 2021年映画感想
          43本

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          映画『犯罪都市 NO WAY OUT』感想 リズム的快感の暴力

           拳が入るタイミングに、良いスネアやバスドラが鳴ったかのような快感があります。映画『犯罪都市 NO WAY OUT』感想です。  2017年の『犯罪都市』、2022年の『犯罪都市 THE ROUNDUP』に続く、マ・ドンソク主演の人気シリーズ第3作目。前作に続き、監督はイ・サンヨンが務めています。マ・ドンソクの出世作であり、往年のジャッキー・チェン作品を彷彿とさせる「シリーズもの」の面白さを思い出させてくれたこのシリーズ、大ファンとなってしまった自分としては楽しみな作品でし

          映画『犯罪都市 NO WAY OUT』感想 リズム的快感の暴力

          映画『ボーはおそれている』感想 不安の具現化という笑いの3時間【ネタバレあり】

           一応、ネタバレ前提で書きました。でもネタバレして観ても、予想を覆す理解不能な作品だと思います。映画『ボーはおそれている』感想です。  『ヘレディタリー』『ミッドサマー』の長編2作のみで、ホラー映画の歴史に名を残すこととなった、アリ・アスター監督待望の3作目となる長編映画。運良く、ラジオ番組「アトロク2」の特別試写会での応募が当選して、公開前に鑑賞。その後、劇場公開後にも鑑賞して、2回にわたってボーの地獄巡りに付き合いました。  『ヘレディタリー』での容赦ない恐ろしさは、

          映画『ボーはおそれている』感想 不安の具現化という笑いの3時間【ネタバレあり】

          映画『落下の解剖学』感想 真実を「明かす」のではなく、「選択する」物語

           ミステリを隠れ蓑にして、家族が持つ役割(犬含む)について考えさせられるドラマ。映画『落下の解剖学』感想です。  フランスのジュスティーヌ・トリエ監督による映画作品で、脚本はトリエ監督とそのパートナーでもあるアルチュール・アラリの共同脚本となっています。カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールに輝き、フランス本国では記録的な大ヒット、先日のアカデミー賞でも、脚本賞に輝いた話題作です。  物語の出だしは、夫の死が事故によるものか、事件なのかというミステリー的なものではありますが

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          映画『梟-フクロウ-』感想 暗闇が照らす真実

           エンタメとしても、政治的メッセージとしても隙がない良作。映画『梟-フクロウ-』感想です。  長年、助監督を務めて、51歳にして今作で長編デビューを果たしたアン・テジン監督による映画作品。脚本も監督が書いたそうですが、デビュー作にして、韓国国内では数々の映画賞を獲得し、軒並み高評価だそうです。日本でも、上映規模は小さいながらも、公開直後から絶賛の嵐となっています。  宮廷内に渦巻く陰謀という舞台は、いかにもスタンダードな時代劇ですが、そこに主人公のギョンスが盲目であるとい

          映画『梟-フクロウ-』感想 暗闇が照らす真実

          映画『熱のあとに』感想 「愛」という得体のしれないけもの

           現実なのにどこか不条理劇のような空気もあり、予想外に難解な作品でした。映画『熱のあとに』感想です。  黒沢清監督などに師事していた山本英監督による初長編映画作品。出演作が少なく、作品を選んでいるイメージがある橋本愛さんが主演ということで、注目して観ることにしました。共演に仲野太賀さんというのも、大きく外れはないと信頼できるキャスティングです。  物語の下敷きになっているのは、2019年に新宿で起きた、ホスト刺殺未遂事件であることは明らかですが、実話を基にしたわけではな

          映画『熱のあとに』感想 「愛」という得体のしれないけもの

          映画『哀れなるものたち』感想 SF・アングラアート・女性一代記のフランケンシュタイン映画

           色々な要素を繋ぎ合わせて創られた、まさしく「フランケンシュタイン」的な作品。映画『哀れなるものたち』感想です。  アラスター・グレイの同名小説を原作にして、『聖なる鹿殺し』『女王陛下のお気に入り』で知られるヨルゴス・ランティモス監督が実写化した映画。発表間近となっている現時点では、アカデミー賞各部門総ナメでノミネートされており、最多受賞の有力候補となっています。  ということで、見逃す手はないので期待と共に観てまいりましたが、美術と衣装では確実にオスカー受賞間違いないんじ

          映画『哀れなるものたち』感想 SF・アングラアート・女性一代記のフランケンシュタイン映画

          映画『カラオケ行こ!』感想 原作実写化の教科書的傑作

           どの配役も完璧ですが、回想シーンに登場するヒコロヒーさん、綾野剛の母親にヒコロヒーという配役が絶妙で、思い付いた人を絶賛したい気持ち。映画『カラオケ行こ!』感想です。  和山やまさんによる大ヒット漫画『カラオケ行こ!』を原作に、『逃げ恥』『アンナチュラル』で知られる野木亜紀子さんが脚本に、『リンダ リンダ リンダ』『リアリズムの宿』などを手掛けた山下敦弘監督というタッグで映画化となった作品。  原作はブロマンスの雰囲気があり、BL要素で熱狂的人気がありましたが、その層から

          映画『カラオケ行こ!』感想 原作実写化の教科書的傑作

          映画『笑いのカイブツ』感想 視野狭窄な青春

           板橋駿谷さんのオードリー春日的演技が絶品、物語本編には関係ないけど(そこも含めて春日さんぽい)。映画『笑いのカイブツ』感想です。  オードリーのオールナイトニッポンで、「伝説のハガキ職人」として知られるツチヤタカユキさんが綴った同名の私小説を原作として、滝本憲吾監督が映画化した作品。滝本監督はこの作品が長編映画デビューとなるそうです。  ツチヤタカユキさんは、オードリーの若林さんのエッセイの中でも触れられていたので、その存在は認識していました。作中のエピソードにもなって

          映画『笑いのカイブツ』感想 視野狭窄な青春

          映画『PERFECT DAYS』感想 ファンタジーとしての理想か、サブカル中年の妄想か

           賛否両論で書いたつもりですが、読み返すと否の方が印象強くなってる気がします。映画『PERFECT DAYS』感想です。  『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』で知られるドイツの巨匠映画監督ヴィム・ヴェンダースによる作品。日本とドイツ合作で、渋谷区のトイレを刷新するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の活動PRとして企画されたものが、結果、長編映画となったそうです。カンヌ映画祭でも絶賛され、主演の役所広司さんが男優賞に輝いたことも話題になりました。  という

          映画『PERFECT DAYS』感想 ファンタジーとしての理想か、サブカル中年の妄想か

          2023年の映画作品振り返り

           えーと、なんやかんやあって、新年がとうに明けておりますが、恒例の年間映画感想振り返りをしておきたいと思います。2023年は47本の映画を観て感想を書いております。  コロナ制限は無くなっても、自分は2023年に感染したし、世界は平和と真逆だしで、安定には程遠いですが、映画観ていろいろと考える時間をこれからも大事にしたいと思います。  2023年の各作品はこちらから↓  前年2022年の映画振り返りはこちらから↓  読み返してみて、印象的だった5作品を改めてご紹介。いつも

          2023年の映画作品振り返り

          映画『市子』感想 哀れみを拒絶する哀しい人生

           2023年の映画納めも、淋しい作品を選んでしまいました。映画『市子』感想です。  戸田彬弘監督が主催する劇団の舞台劇『川辺市子のために』を原作として、監督自身が映画化した作品。年末も差し迫ったところでしたが、方々で大絶賛だったため、映画納めに観てまいりました。確かに、杉咲花さんが役者としてネクストレベルになる瞬間を捉えた節目の作品だと思います。  過去から逃れるために失踪した人間を捜すというあらすじは、それほど珍しくもないかと思います。石川慶監督の『ある男』なんかと、

          映画『市子』感想 哀れみを拒絶する哀しい人生

          アニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』感想 幻想的な児童アニメに忍び寄る戦争の足音

           『ほかげ』『鬼太郎誕生』と同時期に公開された意味を考え続けています。アニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』感想です。  1981年刊行以来、ベストセラーとなり、今なお名作として読み継がれている、黒柳徹子さんの自伝小説をアニメ映画化した作品。劇場版の『ドラえもん』などを手掛けている八鍬新之介監督によるもので、子ども向けの道徳アニメかと思っていたところ、尋常じゃない評価の高さを目にして、観に行くことにしました。  予告編だけだと、道徳的な雰囲気で、絵柄は昭和の児童書挿絵をモチー

          アニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』感想 幻想的な児童アニメに忍び寄る戦争の足音