極楽試写会/コラムンの犬

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極楽試写会/コラムンの犬

新作映画の試写会の案内もオンラインでの試写が増え、 気軽に自分なりに選んだ作品の試写をしております、 極楽気分で。 そんな中、皆さんにも見てほしいなと思った作品を紹介したいなと

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「ブルーバック あの海を見ていた」

12月29日(金)公開『ブルーバック あの海を見ていた』公式サイト https://blueback.espace-sarou.com/ 人の成長、自然保護、それと友情を 心地よく描いてくれた。 オーストラリアの美しい入り江 そこを守る母、そこで育った海洋生物学者の娘 そして、ブルーバックと名付けた海底に暮らす巨大な魚ウエスタン・ブルーグローパー。 彼らを描いた世界、しんしんと心にしみる物語。 母は生まれ育ったその入り江を守ることに体当たりで臨んでいる、 娘は世界の海洋保護を訴え研究する。 同じ海洋保護でも、ピンポイントな視点とワールドワイドな視点でという違いのある母娘とはあるときにはぶつかりながらも 海を愛する絆で結ばれている。 そして 自分たちだけが知る海底に彼女がブルーバックと名付けた巨大な魚ウエスタン・ブルーグローパーがいる。 潜るたびにその姿を現わし、鼻をこすりつけ、まさに交友を深める。 この自然を破壊する開発業者との軋轢、母親の病、 ストーリーは展開し進んでいく。 そしてあまりにも美しい舞台の中で幸せな結末に向かっていく。 ・・・夏休みの学校推薦図書の感があるかなとも思うけど・・・ ともかく、いいねぇ。 オーストラリアというと ここ数年来、現地のアボリジニの保護というか融和、重視というかとても重要な点になっている。 この作品もそうした流れなのだろう 主役のアビー(ミア・ワシコウスカ)の同窓の学生としてアボリジニの役者を起用し 彼らとの生活や交流をさりげなく入れ込んでいる。 そして親友、恋人にはクラレンス・ライアンを起用し心地よいコラボレーションを繰り広げている。 またこのミア・ワシコウスカに関しては出演作「ベルイマン島にて」を昨年見ているのだが、印象に薄かった。 ・・・どうしても前の作品と比べてしまうが・・・ 本作では彼女の持つ何とも言えない、透明感とでもいうのかが生きていた、役者は監督次第なんだなと思いましたね。 そうそう、で、このブルーバックと名付けた巨大な魚ウエスタン・ブルーグローパーなんですが どうにもこうにもかわいいし、AI?ロボット?合成?と疑わざるを得ない。 でも資料を読んでもどこにもその素性というか、何も書かれていない。不思議不思議。 で、 極楽映画大賞特別演技賞ノミネート「ブルーバックと名付けた巨大な魚ウエスタン・ブルーグローパー」 それと、美しい海の映像とそこを漂う彼女達や魚たちの素晴らしい映像に 極楽映画大賞撮影賞ノミネート です。 2023年12月29日 公開

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      「ただ空高く舞え」

      ただ空高く舞え : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/99445/ アマゾンがインド市場で配信! ストーリーは インドの多くの障害、カースト制度だけではなく、を超えて 初の格安航空会社「エア・デカン」のを立ち上げた男たち3人の実話をベースに実写化。 今回記したいのは内容ではなく枠組みに関して。 冒頭のクレジットで「アマゾン・プライムビデオ」が提供しているような表記があった。 昨今言われている配信事業者による映画製作への参入も いよいよインド市場へとなってきたんだな、と思わずにはいられなかった。 観た後にプレス資料を調べると、この映画におけるその流れはそう単純なものではなかったことが分かった。 本作は2019年公開で進んでいたが製作が遅れ さらに完成時にはパンデミックにより劇場公開が無期限延期となった。 そんな中で2020年10月にAmazon Prime Videoで配信されることで製作陣は救われ 同時に劇場公開は中止となった、という事だった。 特にインドでは劇場公開を望む多くのファンを失望させたが、 アマゾン配信によりタミル語、テルグ語、マラヤーラム語、カンナダ語、ヒンディー語吹き替え版が作成された。 これもOTT戦略ゆえの包括的な施策だろう。 ・・・本試写でも何語だかわからないが、すでに吹き替えバージョンになっていて、それに日本語字幕という何とも不思議感があった。 そして 結果2022年2月劇場で再公開することが決定し、この度日本でも公開と相成ったということのようだ。 配信と劇場公開 色々な意見はあると思うが 特に インドというこれからの広大な市場、多言語国家 そこにアマゾンをはじめ多くのデジタル企業が鵜の目鷹の目で爆走入してくる現実を垣間見れたような気がする。 2024年1月6日 公開

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        「きっと、それは愛じゃない」

        映画『きっと、それは愛じゃない』公式サイト - 12月15日公開 https://wl-movie.jp/ 小粋なラブコメディー、 ロンドンに暮らすイギリス人家族とそ、パキスタンをルーツに持つ隣家族 そこで育った幼馴染の男女二人を巡るストーリー。 そこにはシンプルな恋物語だけではなく 宗教、民族性など 本来はナーバスな要素も取り入れ、 でも気持ちよく仕立てている作品。 配役 恋愛に関して結果外ればかりの主役ゾーイは『シンデレラ』のリリー・ジェームズ 家族のために、親が選んだ相手と結婚しようと決意する助演カズは「スター・トレック:ディスカバリー」のシャザド・ラティフ ゾーイの母親にはオスカー女優エマ・トンプソン 監督 アカデミー賞7部門にノミネートされ、『エリザベス』では世界的監督シェカール・カプール 映画製作会社 イギリスの「ワーキング・タイトル・フィルムズ」 この会社はあの『ブリジット・ジョーンズの日記』をはじめ『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』等々数多くのヒット作を生み出している。 その彼らの新作、ということでこの会社の作風が生かされているものになっている。 最後に 脚本とプロデュースを務めたジェミマ・カーンに関して調べてみた。 イギリス出身のイギリス人ジャーナリスト、ライター、テレビプロデューサー、 そして慈善団体や人道支援団体の支援者でもある社会活動家。 更には イギリスの著名なゴールドスミス家の出身という超セレブ、 元夫はパキスタンの元首相であるイムラン・カーン。 !!なかなかの人のようですね。 そして 彼女の本作に関してのコメントがシンプルにその内容を表している。 「現代の厄介さを描き出したい」 2023年12月15日 公開

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          「枯れ葉」

          映画『枯れ葉』公式サイト https://kareha-movie.com/ 本年の極楽試写100本目の作品は区切りにふさわしく 来ましたねー ご存知、フィンランドの巨匠アキ・カウリスマキの5年ぶりの作品。 「ご存知」とは書いたがご存じない方の方が多いのが現実かも。 ともかく、いわゆる単館系映画好きにはご存知の巨匠と言って過言ではないと思います。 ヘルシンキで暮らす孤独な男女がふとしたことから知り合い、愛をはぐくんでいくまさに大人のラブストーリー。 カウリスマキというとフィンランドの労働者たちを描いた 「パラダイスの夕暮れ」「真夜中の虹」「マッチ工場の少女」の3作で知られるが 本作はそれに連なる4作目。 主演はムーミンの生みの親として知られる、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの半生をつづった「トーベ」で主演を演じている アルマ・ポウスティ TOVE トーベ : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/94235/ また、複数使われてる劇中歌のそれぞれが効果的にストーリーの深さを増していることも見どころ、詩が意味深です。 (よくわからないのだが、冒頭に何故か日本の「五木の子守歌」をフィンランド語(たぶん)で唄っているのが流れるが あれは何だったんだろう?そんなのあるの?と、調べてもわからなかった) またカウリスマキといえば小津安二郎を敬愛していることはよく知られているが 本作は当に小津作品の流れを汲んでいると言って間違いない。 全体から醸し出されるものは小津のあの世界観と同じ。 で、それは具体的には何なんだろう、と今回みてみた。 例えば 前に大林宣彦が言っていて知った小津映画の特徴である 主演の視線をあえて合わせないカット割り カウリスマキは見事に取り入れてるんですね、等々。 ・・・・ カウリスマキというと 僕は「ル・アーヴルの靴みがき」も好きだな ル・アーヴルの靴みがき : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/57822/ 2023年12月15日 公開

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          「マイ・ファミリー 自閉症の僕のひとり立ち」

          映画『マイ・ファミリー 自閉症の僕のひとり立ち』公式サイト 11/25(土)~12/8(金)、新宿K’s cinemaにて上映 http://www.pan-dora.co.jp/myfamily/ 自閉症というハンディキャップに対して 私たちに問いかけられているのか 何を どうすれば どうなるのか もちろんそこに明確な答えは無い。 でも、問いかけられる、続けられること自体に 大事な本質が含まれているのだと思う。 それは自閉症だけでなく、あらゆるハンディキャップに対して。 と、文章がどうしても固くなってしまうが。。。。 本作は オランダに暮らす自閉症の男性ケース・モンマの 42歳から50歳の現在までを追ったドキュメンタリー。 軸となるのは彼の自立。 同居、支援してくれる両親は老い 常に「いずれは」という単語が脳裏を横切る。 なのでケースの「自立」が不可欠に。 両親、兄弟、支援ボランティア等 彼を取り巻く人々とのリアルなやり取り それは実は暗くなる要素が多い内容であるにもかかわらず 本作は観る側を温かくほっこりした気持ちにさせてくれる。 逆に言うと とんでもなく大変な介護の実態を見せずにこのようなドキュメンタリーは? という見方もあるかもしれない。 が、僕は ハンディーがある彼と彼を取り巻く人々の困難や苦労を 温かく見つめ、包み込むようにしていく取材、表現、視点だからこそ こちらに実はズシンとくるものがあるのだと思った。 監督のモニーク・ノルテは オランダのドキュメンタリー作家であり ドキュメンタリーを通じて社会問題の解決を目的とするプラットフォーム「Doclines」CEOでもあるとのこと。 実は1997年から26年間にわたりケースと両親の関係を撮り続けている。 前作『ケースのためにできること』は、本国オランダで延べ450万人が見、のちにTVシリーズ化されるまでの話題になったという。 さて 本年試写した映画で ハンディのある人たちをテーマにした作品を思い出した。 紹介はしていないので改めて。 フランス映画で 「アダマン号に乗って」  アダマン号に乗って : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/98822/ こちらは精神障害の支援施設の話で さらに直接的な内容の作品だった。 また 自閉症関係の本で 衝撃を受けた書籍を紹介しておきたい。 これはなんと、自閉症の本人が書いたもので 書籍発売以降 彼の活動は多方面で話題になり今に及んでいる。 「跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること」 Amazon.co.jp: 跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること (角川文庫) : 東田 直樹: 本 https://www.amazon.co.jp/%E8%B7%B3%E3%81%B3%E3%81%AF%E3%81%AD%E3%82%8B%E6%80%9D%E8%80%83-%E4%BC%9A%E8%A9%B1%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%E8%87%AA%E9%96%89%E7%97%87%E3%81%AE%E5%83%95%E3%81%8C%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%B1%E7%94%B0-%E7%9B%B4%E6%A8%B9/dp/4041068991/ 最後に参考に: 「表現」 自閉症 障碍者 障害者 ハンディキャップ 国際条約では、障害者の障害に関して「Impairment(機能不全)」「Disability(能力不全)」という言葉が使用されている 極楽映画大賞 本年ドキュメンタリー部門ノミネート 2023年11月25日 公開

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          「リアリティ/REALITY」

          映画「リアリティ/REALITY」公式サイト https://transformer.co.jp/m/reality/index.html 心理スリラー、 2017年  第二のスノーデンと呼ばれた女性リアリティ・ウィナーが 国家反逆罪で捕らえられた実話。 2016年トランプが誕生したアメリカ大統領選、 その勝利にはロシアのハッカーによる介入があったという報告書を 当時関係機関に勤めていたリアリティがメディアにリークし<第2のスノーデン>として世界を驚愕された事件。 本作のポイントはその事実をなぞるドキュメンタリー的な映画ではない。 捜査当初の82分の長さの調査録音を再現させ それに沿ってというか、まさにそれを軸に映像をフィティングさせ完成させたところだ。 その展開はまさにFBI捜査官、容疑者を巡る「心理スリラー」として成立している。 監督・脚本の ティナ・サッターは 演劇・映画の脚本家・演出家であり数多くの短編作品や映像作品を米国内外で上演・上映し 本作『リアリティ/REALITY』が長編映画のデビュー。 主演の シドニー・スウィーニー(リアリティ・ウィナー)は 1997年12月12日ワシントン州生まれ。 2019年にはクエンティン・タランティーノ監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に出演。同年、HBOとA24がタッグを組み全米で話題となったドラマ「ユーフォリア/EUPHORIA」のメインキャストに抜擢され、リミテッドシリーズ「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル」(21)と2作品でエミー賞の助演女優賞にノミネートされた 若手最注目の俳優。 場面展開はほぼ無く、 1室内で繰り広げられる捜査官とのやり取りだけ。 主役のリアリティが82分というわずかな時間の中でその容疑を未から実に変容させていく様は見事。 本年度、極楽試写会 主演女優賞ノミネート (年末公開を控えて力作が多く、各部門ノミネート作が目目白押しです) 2023年11月18日 公開

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          「父は憶えている」

          映画『父は憶えている』公式サイト https://www.bitters.co.jp/oboeteiru/ キルギスの映画。 おっと!来ましたよ、来ましたよ。 キルギスを代表する映画作家アクタン・アリム・クバトの最新作であり主演も演じる。 主人公はロシアに出稼ぎに行っている間に記憶を失い、23年ぶりに故郷のキルギスの村に戻ってきた。 そこで繰り広げられる男とその家族を描くドラマ。 人、生活、金銭等々 どの世界でもありうる大小の事柄や問題を さりげなく表した何とも言えない人間劇がそこにある。 アクタン・アリム・クバトというと もう10数年前に見た 「明りを灯す人」 明りを灯す人の予告編・動画「予告編」 - 映画.com https://eiga.com/movie/55196/video/ がすぐに浮かぶ。 本作と同じく彼が監督・主演の作品で これも期待通り 静かな生活の中に繰り広げられる「人」のもつ「何か」 神髄をそこはかとなく表した作品。お勧めです。 映画も監督に関しても 資料が少なく 周辺情報を記すことはできないので キルギスに関して調べたことを少し。 旧ソビエト連邦の構成国であり、連邦の崩壊に伴い独立 内陸国で、カザフスタン、中華人民共和国、タジキスタン、ウズベキスタンと国境を接する 人口600万人、90%はイスラム教徒 人間開発指数120位の発展途上国であり、中央アジアでは2番目に貧しい国 これが映画です、と言いたい作品。 極楽試写会 外国映画賞 ノミネート作品 2023年12月1日 公開

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          「理想郷」

          映画『理想郷』公式サイト https://unpfilm.com/risokyo/ 観る側に 「考えさせ」「目を見開かせ」そして「観るという結果を満足させる」。 環境問題、貧困、人間関係、人種等々、多種にわたる問題を提示し、 「考えさせ」「目を見開かせ」 そこに映画としての物語性、展開、緊張感を持たせ続け 「観るという結果を満足させる」 作品といえる。 舞台はスペイン北西部の地域ガリシア、この過疎の村で起こった 事実を基にしている。 この地の自然に魅入られて移住してきた元教師の物静かなフランス人夫婦。 そこには、過疎解消のため、風力発電の風車建設から得られる補助金を得て 自然破壊に目をつぶる選択を迫る地元民と 対する自然保護をうたう、ある意味外物の夫婦との対立が。 特に貧しい牧夫故に婚姻相手も現れない教養の無い粗野な中老年の兄弟からの危険を伴う嫌がらせが 最悪の事態を招いてしまう。 僕もコロナ前にドイツの田舎を旅した時、 その時期は特に世の中は自然再生エネルギーが万能の救世主のように言われていた時期だが 丘陵に点々と続く大型風車の風景に違和感を感じたことがある。 同時に日本でも 大好きな八ヶ岳の草原で、広く山林を潰しての太陽光パネル設置が進んでいたのを目にしたときには 憤慨すら感じた思いがある。 (・・・現在はこれらの持つ問題点が明らかにされ、ある段階での規制がかかっているフェーズには入ってはいるが・・・) もちろん、このような僕の感想は一過性の人間が抱くものであり 作品の中にあるような そこに先祖代々から暮らす人々にとっては目の前にある貧困、差別問題の方が 現実の課題であるという事も理解はできる。 ・・・だからと言って無秩序に自然破壊してよい、ましてや犯罪を犯してよいということではない・・・。 ともかく 本作は私たちに このように問題を提起させ 物語の中に引き込ませてしまう 力を持っている。 スペインで2022年に公開された独立映画の興行収入1位 第48回セザール賞で最優秀外国映画賞 世界で56もの賞を獲得しているのも納得できる。 マニアックな点だが ところどころのシーンで(実は)行われているカメラワークには 唸る所があるので この点も少し気にしながら観ることも、おすすめかな。 極楽映画大賞:ノミネート 2023年11月3日 公開

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          「SISU/シス 不死身の男」

          映画『SISU/シス 不死身の男』公式サイト https://happinet-phantom.com/sisu/ 地政学的に、第二次世界大戦下のフィンランド・・・ ナチスに進行されソ連に凌駕されたこの地の歴史を忘れていたんですね。 と、、、そうしたことがどうこうという事実など吹っ飛んでいく 凄いバイオレンス。 普段この手の物は見ないんですが フィンランド好きという僕でして、観たらまぁ!? ともかくもうこのオヤジ凄すぎるんですが(だって本当に何されても死なないんだから)。 でも単にバンバンやっているのではなく たとえば マカロニウエスタンのクリント・イーストウッド演じる主役の哀愁と怨念 キル・ビルの切れの良さ等々 映像作品としてなかなかのものであります。 因みに主演の 伝説の一人殺戮部隊 アアタミ・コルピを演じる ヨルマ・トンミラは1959年生まれ(僕より1年若い!) ロシア・フィルムフェスティバルで最優秀男優賞を受賞し 母国フィンランドでは実力派の名が高い。 監督/脚本の ヤルマリ・ヘランダーは 同じくフィンランドでCM制作やTVドラマなどで活躍する1976年生まれ。 脂がのっている。 観終わって気が付いたけれど 主役は一言もセリフを発していなかった。 極楽映画大賞 特別賞 ノミネート 2023年10月27日 公開

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          「ヨーロッパ新世紀」

          『ヨーロッパ新世紀』 https://rmn.lespros.co.jp/ 人種、宗教、言語のるつぼって、 ルーマニアとはまさにそういう地だということを 知らしめてくれた。 そのことは後で書くが、、、 本作、 舞台はルーマニア中部のトランシルヴァニア。 この地トランシルヴァニアとは「森の彼方の地」の意味であり、 古典的な恐怖小説「吸血鬼ドラキュラ」の舞台でもある。 ルーマニア人とハンガリー人、そして少数のドイツ人やロマの人々が暮らすこの多民族の村。 主要産業だった鉱山が閉鎖されて以来、 村の働き手はよりよい報酬を求めて西ヨーロッパの先進国へ出稼ぎに行っている。 主人公マティアスはクリスマス直前の冬、 そんな出稼ぎのドイツの食肉工場で上司への暴力沙汰を起こしこの村に帰ってきた。 しかし長らく疎遠だった妻は、突然現れたマティアスに冷ややかな目を向ける。 幼い息子のルディは、つい最近、森で恐ろしい何かを目撃し、 まったく言葉を発しなくなっていた。 一方地元のパン工場のオーナーから経営を任されているシーラは、 EUからの補助金を得るために求人広告を出すが、地元の応募はない。 やむなくシーラは、人材派遣業者を介して外国人労働者のスリランカ人3人を雇い入れることにする。 合法的に雇われた3人はとても勤勉で、職場や業務にもすぐ馴染んだが、 村のコミュニティは彼らを異端視しSNSには「奴らがやるのは盗みと殺しだ」「ひとり雇えば、じきに群れになる」「ルーマニアから追い出せ」と。 更にスリランカ人従業員への殺害までもを促す穏な書き込みが投稿されるようになる。。。。 この作品を語るには ルーマニアが人種、宗教、言語のるつぼの地であるという 歴史的、地政学的事実を念頭に置いておくことだろう。 地域: 東欧のほぼ真ん中 東にモルドバ、ウクライナ 西にハンガリー、セルビア 南にブルガリア 等に囲まれている。 言語: 公用語はルーマニア語であり、人口約2300万人のうちの 約89%によって話されている。 ハンガリー語は、主にトランシルヴァニアで人口の約7%によって公用語として話されている。 15世紀以降、現在のトランシルヴァニア地方はオース トリア・ハンガリー帝国の領土で、 ドイツ系やハンガリー系の人々も多く住んでいた。 また、国の人口の約1.5%はドイツ語を話す。 民族: ルーマニア人は人口の89%を占め、 ハンガリー人とドイツ人は、比較的最近まで多くおり、 ハンガリー人はまだ少数の地区で過半数を占めている。 また、ロマと呼ばれるジプシーが約10%存在。 彼らは14世紀頃、東方から移動をしてきた民族で 今もなお差別や偏見に苦しんでいる。 宗教: 正教会、ハンガリー人はカトリック、ドイツ人はルター派が多い。 しかしハンガリー人にはユニテリアン主義派、ルーマニア人にはギリシャ・カトリック、ドイツ人にはカルヴァン主義派もいて、 これらが混在している。 歴史: 13世紀末から14世紀には公国が建国されるが、 15世紀末には、オスマン・トルコの宗主権下に入る。 以後各公国が勃興し独立革命が画策されるが 1878年まで再びトルコに統治される事になる。 本作の舞台トランシルヴァニアが、ルーマニアに併合されたのは1918年。第1次世界大戦後のこと。 しかし1940年には、ソ連がベッサラビア地方を占領。翌年には、「ナチス・ドイツ」の圧力により、ルーマニアは第2次世界大戦に参加。 1965年には、チャウシェスクが、党の第1書記に就任。 彼の独裁政治は国民の不満を買い、1989年12月、チャウシェスク政権打倒を目指し、改革が行われる。 1991年12月には、新しい憲法が承認。 現在: 民主化もある程度は進み、2007年には悲願のEU加盟を達成している。 但し、経済成長も進んではいるが、 EU加盟国の中ではブルガリアに次いで貧しい国となっており、 多くの国民は西欧へ出稼ぎに赴いている。 また 西欧へ向かう移民、難民の陸路、中継地でもある。 何だか歴史の授業みたいになったけれど ともかくこれを知って、この事実を知らしめるための作品と言える。 ・・・事実僕もこの作品を観なければこの事実は知らないままだった。 「人種のるつぼ」と「歴史に翻弄」された地に さらなる「外国人労働者問題、しかもアジア系」 これらが絡まりあった(というかほとんどこんがらがってといった方が正しいかもしれない) 事態をあらわした作品。 ルーマニア出身の監督 クリスティアン・ムンジウは 2007年、2作品目の『4か月、3週と2日』で第60回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。 様々な国際映画批評家協会賞を受賞し、ヨーロッパ映画賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞している。 2023年10月14日 公開

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          「バーナデット ママは行方不明」

          映画『バーナデット ママは行方不明』オフィシャルサイト https://longride.jp/bernadette/ いくつになっても、何度でも人生はリスタートできる。 原作は2012年に出版されたベストセラー、アメリカの作家マリア・センプルの小説『Where'd You Go, Bernadette』 かつて天才建築家としてもてはやされた主人公バーナデット、 夢を諦めた過去、日に日に息苦しさが募る中、 退屈な世界に生きることに耐え切れず忽然と姿を消す。 彼女が向かった先は南極!さて。。。 本作は バーナデットを演じたケイト・ブランシェットに尽きる。 1998年『エリザベス』でエリザベス一世を演じ、ゴールデングローブ賞ドラマ部門主演女優賞などを受賞。 レオナルド・ディカプリオ主演によるハワード・ヒューズの伝記映画『アビエイター』では大女優キャサリン・ヘプバーンを演じ、アカデミー賞助演女優賞を初受賞。 その後もアカデミー賞で数々のノミネート、『ブルージャスミン』では主演女優賞を受賞。 本作ではゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネート。 文句ない実力が忌憚なく発揮されている。 また 監督・脚本の リチャード・リンクレイター ベルリン国際映画祭銀熊賞を2度受賞しているのに 僕には未確認監督だった。 特に2度目受賞作の『6才のボクが、大人になるまで。』観なければ!、と資料を見て決断した。 本年度 極楽映画大賞主演女優賞ノミネート 2023年9月22日 公開

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          番外編「最後の講義nhk:大林宣彦」

          「大林宣彦」 - 最後の講義 - NHK 2020年 NHKのEテレで放送されたものを コロナ後の今、2023年8月、再放送を見た。 がんに侵され余命短いなかでの まさに大林監督最後の講義だった。 当初はCMのディレクターとして華やかな世界で活躍し 映画の世界に身を転じた大林氏。 その姿勢は常に一貫し、自身が述べているように「ぶれていない」映画人としての 人生を全うしたといえよう。 「映画はフィロソフィーをもって作る」 フィロソフィーがぶれていなければ1

          番外編「最後の講義nhk:大林宣彦」

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          「ロスト・キング 500年越しの運命」

          https://culture-pub.jp/lostking/ シェークスピアと徳川家康はほぼ同期。 僕はよくこの事実に言及する。 シェークスピア1564~1616 徳川家康1543~1616 と生まれは違うが没年は同じ。 まっ、これは雑学ですが この事実を知っておくだけで 世界史は俄然面白くなります。 さて本題。 シェークスピア登場のさらに100年前に即位した イギリス王リチャード3世、 一介の歴史好き主婦があることをきっかけに長年(500年!)その存在が不明だった そのリチャード3世の遺骨の存在を21世紀の2012年に発掘した事実に基づく映画。 本作を観るにはまず その時代背景を知っておくことをお勧めする。 リチャード3世の15世紀というと 日本では戦国時代 イギリスでは薔薇戦争時代。 薔薇戦争とは、 これに先立ちフランスとの100年にわたる100年戦争後に 発生したイングランド中世封建諸侯による内乱。 百年戦争の敗戦責任の押し付け合いが次代のイングランド王朝の執権争いで ランカスター家とヨーク家の、30年に及ぶ権力闘争だった。 最終的にはランカスター家系のテューダー家のヘンリー7世が武力でヨーク家を倒し、 ヨーク家のエリザベス王女と結婚してテューダー朝を開いた。 リチャード3世はヨーク朝最後のイングランド王、薔薇戦争の最後王であり 100年後にシェイクスピアによって、ヨーク朝に変わって新たに興ったテューダー朝の敵役として悪名高き王として描かれ、その人物像が後世に広く伝わった。 しかし一方で、リチャード3世の悪名はテューダー朝によって着せられたものであるとして、 汚名を雪ぎ「名誉回復」を図ろうとする「リカーディアン (Ricardian) 」と呼ばれる歴史愛好家たちもおり、 欧米には彼らの交流団体も存在する。 本作は 一介の歴史好き主婦がその汚名を晴らすべくこのリカーディアンにも加わり 更に考古学者などを巻き込み、できる限りの手を尽くし どうにかこうにか「本能的」に探し当てたリチャード3世の埋葬地と思われる場所を発掘し 500年後の今、見事に発見につなげるという信じられない事実。 そこに至る、また発見後の 政府や学会のいやらしい立場の人々の描写 さらに これらに反して主人公が得た至福の場所 ・・・・お勧めします。 主演の サリー・ホーキンス アカデミー賞女優賞の候補となったイギリスで最も尊敬を集める女優のひとりでもある 彼女の演技が卓越。 (どこかでみたよなーー)と調べてみたら なんとあの傑作、熊の「パディントン」シリーズで暖かくもユニークなブラウン夫人を演じた人だった。役者ってすごいと改めて思う。 本作のもととなるその主婦 フィリッパ・ラングレー(1962年生まれ)は リチャード三世の遺体発掘と特定における貢献に対し、エリザベス二世より大英帝国勲章第5位(MBE)を授与される。 彼女から本作へのメッセージの中に 「この映画が日本で公開されると聞いて非常にエキサイティングに感じています。 我々の15世紀の歴史はとても似通っています・・・日本は戦国時代、そしてイングランドは薔薇戦争。 日本にもリチャード三世協会の会員がいることもとても喜ばしいことです。 駐車場に眠る王を探す、という私のジェットコースターのような経験を描いたこの映画をぜひお楽しみください。 忠誠が我を縛る、フィリッパ(別称 キングファインダー)」 ※「忠誠が我を縛る」は、リチャード三世のモットーと言われています 極楽映画大賞:主演女優賞ノミネート 2023年9月22日 公開

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          「『オオカミの家』 併映『骨』」

          『オオカミの家』公式サイト http://www.zaziefilms.com/lacasalobo/ なんだこりゃ!??? どこまでいっても この言葉しか思いつかない。 わけわからないし、気持ち悪いし。 といっても 何かバイオレンスとかホラーではなく 映像の可能性を引き出した怪作とでも言うのでしょうか。 僕が20代のころだったら、ともかく観て ともかくなんだかわからんが、ともかく観た 勇んで劇場に足を運んだ と思う作品。 チリのアーティスト・デュオ《レオン&コシーニャ》による作品。 これでは全く解説にならんので 以下、プレス資料からそのまま記します。 クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの二人組による初の長編映画『オオカミの家』は、ピノチェト軍事政権下のチリに実在したコミューン【コロニア・ディグニダ】にインスパイアされた “ホラー・フェアリーテイル” アニメーション。チリ南部のある施設から逃走し、森の中の一軒家で二匹の子ブタと出会った娘マリアの身に起きる悪夢のような出来事を描いている。 レオン&コシーニャが監督のほかに脚本、美術、撮影、アニメーションなどを務めた。撮影場所は、チリ国立美術館やサンティアゴ現代美術館のほか、オランダ、ドイツ、メキシコ、アルゼンチンにある10カ所以上の美術館やギャラリー。実寸大の部屋のセットを組み、ミニチュアではない等身大の人形や絵画をミックスして制作、制作過程や制作途中の映像をエキシビションの一環として観客に公開するという手法で映画を完成させた。企画段階を含めると完成までに5年の歳月を費やしており、ワールドプレミアとなった第68回ベルリン国際映画祭ではカリガリ映画賞を、第42回アヌシー国際アニメーション映画祭では審査員賞を受賞するなど世界各国で数々の賞を受賞している。 全編カメラが止まることなく、最後までワンシーン・ワンカットで空間が変容し続ける“異形”のストップモーション・アニメーション。その特異な才能の素晴らしさは、『ミッドサマー』で知られるアリ・アスターが一晩に何度も鑑賞し、自ら二人にコンタクトをとったというエピソードからも伝わるだろう。彼らと意気投合したアスターは、今回同時上映となる短編『骨』の製作総指揮に名乗りを上げ、さらに自身の最新作『Beau is Afraid』内の12分にも及ぶというアニメ・パートも彼らに依頼した。ほかに、トム・ヨークの新バンドThe SmileやPJ ハーヴェイのミュージックビデオを監督したことも話題に。2021年には、アメリカのゲーム・エンタメ情報サイト「IGN」の歴代アニメーション映画ベスト10に選出。同年Varietyの「観るべき10人のアニメーター」にも選出された。 2023年8月19日 もう公開されてます。

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          「ヒッチコックの映画術」

          https://synca.jp/hitchcock/ 映画を志す若者に刺さる作品なんじゃないかな。 映画が好きで映画が作りたくて そうした「よくわからない」エネルギー あえて書くと 青春のエネルギーをある意味で満足させてくれる作品 ・・・ヒッチコック映画の手法分析・・・ だから。 分析の一つ一つに(ああ、そうだったんだ)とうなずけるし よくここまで、監督の執念すら感じる作品。 2023年9月29日 公開

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          「ダンサー イン Paris」

          https://www.dancerinparis.com/ かつて「若者たち」というTV番組があった。 1966年ということは僕が8歳ぐらいの時。 青春時代の「よくわからない」迷いや、怒りや、喜びを 表現したTV番組として一時代を築いたといえる。 この 「よくわからない」エネルギーがまさに青春であり 「よくわからない」けれどどこか同感や郷愁を引いてしまう そうとも、それが青春だ♪ と、わかる人にはわかるフレーズが出てきちゃうんですね。。。。 話を本作に、 そう、この作品はまさに 現代フランス・パリでも 同じようなことがあるんだなと、 そういう作品だと思う。 パリオペラ座バレエ団でトップを目指していた主人公が トラブルでその道をあきらめ新たな道を歩みだす。 同時にクラシックとは全く違うコンテンポラリーダンスに出会い そこで新たな青春が開花する、といったところだろうか。 僕はダンスのことは未知だが 一点(なるほど)と思わせるセリフがあった、 「この二つのダンスは同じダンスでも 表現を目指すところは クラシックバレエは天に昇る、昇ろうとする姿 コンテンポラリーダンスは地を深く掘る、掘ろうとする姿 を追求する違う物なんだ」 ・・・わかる気がした。 因みに 先の「若者たち」の出演者は 田中邦衛、橋本功、山本圭、松山省二 佐藤オリエ、加藤剛 なんというラインナップだったのか!? 2023年9月15日 公開

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