遺失物管理所 about books no.5
地下鉄に傘を置き忘れたかもしれない。
会社を出る時になって気づいた。
自宅を出る時はどうだっただろう?
持って出なかったのかもしれない…。
正直なところ、忘れたかどうかも怪しかった。
コンパクトな黒い傘で、100グラムほどの軽さ、雨晴兼用、数年前にコンビニで限定販売されたものだ。
雨の日はさほど役立たないけれど、晴れた日は必要った。
もしまだ店頭に同じもがあれば、また買うかもしれない。
私にとって軽さは貴重だった。
翌朝、地下鉄の改札で尋ねてみると、私の乗り降りする駅に『お