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【感想&考察】アニメ葬送のフリーレン2周目、第18話~第26話

前回に引き続き、原作未読のアニメ『葬送のフリーレン』の視聴2周目の個人的にエモいと思ったところを綴るやつの5本目です。ネタバレがあるので未視聴の方はブラウザバックを推奨します。それでは、行きましょう。


3.2周目で抽出したエモいところ

3-16.第18話~第21話=信頼から生まれる連携とケンカ

( 'ω' ).。oO( フリーレンの誕生日(?)祝い、ろうそくの数エグいね……

一級魔法使い試験第1次試験でパーティを組んだカンネとラヴィーネですが、ケンカばかりしているのに連携が取れていることをフリーレンは不思議に思います。カンネにそのことを訊ねてみると、見かけ上はケンカにしか見えないけれども、この状態が2人にとっての自然体であることが分かります。ケンカは仲直りまで含めて、相手のことをよく知っていて信頼していないとできないものですからね。どうでもいいと思っている相手ではこんな風にはなりません。

2人はもうケンカとすら認識しなくなっているのかもしれませんけれど、それくらい何度も何度も繰り返して形作られた阿吽の呼吸のような連携もあるのだと、フリーレンは過去の勇者パーティの時とを重ねて理解するわけですね。第1次試験終盤では、2人に勝機を見出させる雨水を結界を破る魔法で呼び込むところが圧巻でした。アウラ戦の時といい今回といい、フリーレンは解除系の魔法を得意としているようです。

永年にわたる魔法収集の一人旅において "その魔法がどんな原理で動いているのか?" 本質的な部分まで追い求めているうちに、いつしかゼーリエを喜ばせるほどの解析や応用研究ができるレベルに到達していたのでしょう。フリーレンは「魔法はイメージの世界だ。水を操る魔法使いに雨の中で勝てるイメージができる?少なくとも私はできない」と言っていましたが、今までに同じか似た条件で負けてしまった経験が活きたような含みが感じられます。ともあれ、カンネとラヴィーネにはタイムリーな援護でしたね。

( 'ω' ).。oO( デンケンの杖、フリーレンのとほぼ一緒の形憧れやねんな……

3-17.第22話=ほんの少しだけ誰かの人生を変える何か

フリーレンとシュタルクが夕方に起床したことにブチ切れたフェルンの機嫌を取るために、過去に勇者パーティと訪問したお店での食事と相成りました。回想では、既に何回か来店しているのか、偏食家のようにお気に入りの味を爆盛りで注文しているフリーレンの姿がありました。料理人レッカーを交えた会話では、フリーレンが料理人の自尊心によってお気に入りの味が変えられてしまうのにうんざりしていることを伝えると、ヒンメルは「その時はもっと美味しい味を探しにけばいい」と提案します。

煽られる形となったレッカーは「私を超える味などこの世にありませんよ」と返しますが「(そう豪語する)なら、しっかり未来まで(これ以上ない味をフリーレンに)届けるんだ」と、ヒンメルから "もっと美味しい味" を後世に残すように要求されます。レッカーは今も厨房に立ち続けているのか、料理人を引退したのか、亡くなってしまったのかは描写が無いので分かりません。ですが、フリーレンの「味変わってるじゃん。でも、もっと美味しい味を探す手間は省けた。あの時よりもずっと美味しい」っていうリアクションから、レッカーは良い意味での味変を料理人の矜恃きょうじで以って応えたことがしみじみと伝わってきます。

もし、この時ヒンメルがレッカーを煽っていなかったら、いくら美味しくても時代に合わせて味を変えていかなかったとしたら、舌の肥えた客や新味を求める客を獲得できなくてこのお店は残っていなかったかもしれません。これは第22話の別シーンでのヒンメルのセリフですが "ほんの少しだけ誰かの人生を変えてあげればいい" がほのかにリフレインしているように感じられました。

3-18.第2話・第21話・第23話=探し物の真理

勇者パーティのダンジョン攻略において、ヒンメルは一つの階層をすべて踏破してから進んでいくことを優先していました。魔物を討伐する本来の目的から外れた回り道をする意味が分からないフリーレンには「別れ道の先にあるのは珍しい魔導書かもしれないしな」と、フリーレンがダンジョンを楽しむためのモチベーションを示します。これに通じる心理は第21話の回想にもありました。フリーレンがゼーリエに「魔法は探し求めている時が一番楽しいんだよ」と言っていたように、千年も前から過程を楽しむことを知っていたんですよね。

( 'ω' ).。oO( ゼンゼさん、自分が担当者なのをえぇことに間近で
フリーレン見たい欲が爆発してません?それとフリーレン複製体と
エンカしたらやべぇってのが分かってるからくっついてるんすよね?

言ってみれば、潜ろうとしているダンジョンで魔導書が見つかるかどうかなんてフリーレンにとってはどっちでもいいんですよ。もちろんあってくれた方が嬉しいに決まっていますけれど、それは単に結果なんですね。そうではなくて、探している時間過程自体がわくわくできて何より楽しいんですよ。つまり、"このダンジョンには珍しい魔導書があるはずだ" っていう可能性が、ガラクタまで含めたダンジョン内のものすべてを輝かせて見せているわけです。だから、99%ミミックだと分かっていても、残り1%の可能性がある限り目の前にある宝箱を開けずにはいられないのです。これが1周目の感想で綴った第2話の蒼月草探しと同じ(絵本『星の王子さま』も描写している)探し物の真理です。

その探し物蒼月草・魔導書があるかないかに関わりなく、探し求めている人の心次第で探索フィールドターク地方の森林・ダンジョンの見え方をまるっきり変えてしまうんですよ。蒼月草も魔導書も求めていないフェルンがフリーレンを冷めた目で見ている理由もそれなんです。でも、いずれフェルンはフリーレンが楽しそうにしている姿に感化されて、自分が追い求める何かを見つけて楽しむことができるようになると思いますよ。

( 'ω' ).。oO( 第23話でシャルフが花畑を出す魔法を戦いに使ってるし
これならくだらない魔法じゃないよってゼーリエに伝わるかなぁ……

3-19.第24話~第26話=師弟の連携

第2次試験の終盤、フリーレン複製体攻略にかかる前の作戦を立てている時のこと。フェルンはフリーレンに向けてギリギリ対処できる距離から不意討ちのゾルトラークをぶっ放します。すると、魔法を使う瞬間にほんの一瞬だけ魔力探知が途切れるフリーレンの弱点が明らかとなります。戦っている相手を見失うこのミスは、実戦において致命傷になり兼ねません。

千年前の回想でゼーリエが予言していた "人間の魔法使いに殺されるような鍛錬の怠り" をここで露呈してしまった形です。フェルンはこの隙を突破口と考えて「もしかしたら、私はフリーレン様を殺せるかもしれません」と宣言したのでしょう。当のフリーレンは痛い所をつかれたというよりかは、弟子フェルンの挑戦を "面白いね、やれるものならやってみなよ" って感じで嬉しそうにしていたのが良いですよね。

ところが、シミュレーション通り攻守ともに意識がある複製体ではフェルンのゾルトラークは通りません。そこで「フリーレンはフェルンのことをナメている」心理を利用する方へ切り替えます。開戦直前、複製体がフェルンを一瞥して以降は眼中になかったのがそれを物語っていました。複製体は、"フェルンは大した使い手ではない" とみくびったのです。これこそが勝機で、フリーレンへの攻撃に意識を集中させることができれば、その魔法を使う瞬間はフェルンに対して完全に無警戒になります。

( 'ω' ).。oO( 野球で例えたら魔力探知の隙ってピッチャー複製体バッターフリーレンとの勝負に集中しすぎてランナーフェルンの盗塁が無警戒になっちゃう感じかな?

この読み通り、フリーレンが囮になる形で複製体の攻めっ気を誘ったその刹那、フェルンのゾルトラークが複製体の左手を見事に吹き飛ばしました。複製体の意識はここで初めてフリーレンからフェルンへと移ります。咄嗟に反撃しようとしたところ、間髪入れずのゾルトラークが残った右手も吹き飛ばします。フリーレンがまだ近くにいるにも関わらず、歯牙にもかけない相手からの不意討ちで慌てふためく様子が見て取れますよね。もう同じ手は食わないぞ、とゾルトラークの連射を防御魔法でなんとか交わしきった直後、お返しと言わんばかりに切り札の魔法でフェルンを遠方の壁にめり込むほど吹っ飛ばしました。

耳飾りがゆらゆらと揺れて複製体の睥睨へいげいがアップになった瞬間、ゾクっとしますよね。フェルンにとって、自分が厄介な敵だと認めてもらえたことを意味するこの攻撃は魔法使いとしてめちゃくちゃ嬉しかったでしょう。自分が傷んだことを気にもとめず「すごいです、フリーレン様。これが魔法の高みなんですね」と、初めて見た師匠の魔力を全く感じない魔法に感動しきりです。おそらく、フェルンは自身から発する魔力を隠すことはできても、攻撃魔法の魔力を相手に見えないようにはできない技術レベルにあるのでしょうね。それから「でも…… らしくないです。隙だらけです」と、(どうしてナメている私なんかの攻撃を食らって、そんなすごい魔法を使わないといけないほどに追い詰められているんですか?と)師匠に相応しくないカッコ悪い姿に苦笑いしていたのがとても印象的でありました。

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第18話以降はほぼ魔法使い試験編なのでエモいところは少な目で、アクションの魅力が多めですね。見れば分かる面白さって言うんでしょうか、そちらの方を望んでいる視聴者も満足させなきゃいけないからまぁしょうがないよねって感じはします。残りの第28話までの感想はまたこれとは別のnoteにアップロードすることにしますね。

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