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デザインの余白 N

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細部に神が宿ると信じる、少し天の邪鬼なデザイナーのブログ「デザインの余白」のnote版です。主にデザインという視点からものを見て、感じたことや思ったことを綴りますが、ときには全く…
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今日も解体される京町家

今日も解体される京町家

僕の事務所は、所謂「京都のまちなか」にある。御所近辺や北の方の「京都人」からすると、ギリギリまちなかと言われる五条なんだけれど。僕は伏見稲荷で生まれ育ったので五条でも十分まちなかで、今でも「町家」がたくさん残ってる。

そんななか、この数年流行っている「インバウンド」とやらで外国からの観光客が激増し、ホテルやゲストハウスというものがあっという間に増えた。僕の事務所がある町内は、五条通から万寿寺通ま

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印刷とコストについてのちょっとした話

印刷とコストについてのちょっとした話

どんなデータでも印刷してくれるネット印刷

最近ではWEBから入稿できる印刷、所謂ネット印刷を利用することが増えた。その理由は、クライアントから「印刷は◯◯◯でお願いします」と言われることがあるのと、実際にお手軽でコストパフォーマンスが高い気がする。昔に比べて紙の種類も増えたし、印刷の質もそれほど悪くないし、対応もきちんとしている。中には気持ち良いくらいの会社もあるくらい。
印刷(紙質や様々な加工

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僕の昭和、平成。令和に変わる前に少しおさらいしておく。 春だから。

僕の昭和、平成。令和に変わる前に少しおさらいしておく。 春だから。

[歌謡曲って感じの昭和]

高校生になるまで家には風呂がなかったので、近所の銭湯に通っていた。まだ昭和の40年代から50年代、当時は風呂のない家も多かった。そしてトイレもくみ取り式で、月曜日になるとバキュームカーがやってきては町内の各家を廻っていて、そのグネグネと動く太いパイプを避けながら、小学校へ集団登校していた。そんな時代。

高校生に入って父親が事故で亡くしたことで、それまで住んでいた家を引

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バウハウス宣言

あらゆる造形活動の最終目標は建築である。

それを装飾することは、造形芸術にとって最も重要な課題であり、造形芸術は偉大なる建築芸術にとって不可分な構成要素であった。今日造形芸術はそれだけで自己充足しているように思われるが、あらゆる工作者たちが入り混じって意識的に相互に共同作業を行うことで、そのような状態から造形芸術を再び救済することが可能となる。建築家、画家そして彫刻家は、多様な建築の形態を、再び

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デザイン的な技術のほとんどは、誰でも訓練でできてしまう。想像力と決断力を磨くことができれば尚よし。そして、経験や知識を自ら求め、好奇心を維持し、自分なりに理解・納得する方法を持ち、それらを伝える技術を身につければ怖いものはない。

よく一心不乱とか脇目も振らず何かをすると言うけれど、デザインの事だけを考えてデザインをしていたら、そんなデザインはきっと詰まらない。デザインじゃないことをたくさん見聞きして、経験してそれらをそのデザイナーの個性というフィルターを通してアウトプットする。それこそがデザインだと思う。

デザイナーとして30年、フリーランスとして約20年。いつも気をつけていること

デザイナーとして30年、フリーランスとして約20年。いつも気をつけていること

デザイナーとして、僕の仕事(デザイン)への対価としてお金を得るようになって30年が経ちます。最初はグラフィックデザイナーとして給料という形で報酬を得ていました。それが約10年。その後、フリーランスとなり、個人事務所を立ち上げ、デザインもしながら営業的なことも事務的なこともすべて自分でするようになって約20年になります。最近は、フリーランスの若いデザイナーや独立開業をした方によく聞かれる事柄がありま

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才能のつくり方

才能のつくり方

例えば、仕事の速さや正確さでも良いし、売上でも良いし、プレゼンの勝率でも良い。何かひとつだけで良いから、ずば抜けたものを身につければ周りが認め、会社も認め、自由を手にすることができる。自分のやり方を認めさせ、仕事の仕方や組織まで変えることができるし、給料の交渉もできる。

そこまで行けば、他社からも引き抜きが来るし、独立もできるだろう。ただそのずば抜けるための努力をせずに、自分の置かれた不利な立場

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答えはひとつではない

デザインについて、たまに正解かどうかを聞かれることがある。特に、いくつか提案した際にどのデザインが正解なのか分からないということを、そのデザインを提案した本人に聞かれる。答えはどれも正しい(と信じる)となる。

「デザインされたもの」は、あらゆる情報、状況、条件を検討し、デザインをしなければならない理由から、そのデザインを成した結果の効果までを熟慮して、様々な可能性のなかから「今ある何らかの問題」

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人生あげおろし

人生あげおろし

伏見稲荷に生まれ育ったせいか、お揚げさんが大好物。

揚げと大根おろし → 揚げおろし → エレベーター
という、焼いたお揚げさんにたっぷりのネギと大根おろしを巻いて出汁(タレ)につけて食べるのが好物です。

ということで、人生上がったり下がったりはそれ程経験してないけれど、とうとう天命を知ると言われる年になってしまった。しかし天命ってなんだろうか。

さて、プロのデザイナーになって30年、独立し

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とよすとつきじ

昨日から「豊洲市場」が開場ということで、ニュースやワイドショーなんかで報じられているのをボケ〜ッと見てて思ったこと。

なんで「新築地市場」とか「第二築地市場」という名前にしなかったんだろうかと。このどっちかだったら、絶対にイメージ変わってっただろうなと。移転する前のこの2年間で味噌付きまくったんだけど、結局元のプランのまま開場したってことは、2年前にオープンしてても問題なかったってこと。ま、その

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もやもやさんぽ

もやもやさんぽ

僕は散歩をするのが楽しみだったりする。アイデアを考えるのに詰まったりしたら、ふらりと出掛ける。また一日ずっと事務所で作業しているときなんかも、夕方になると外の空気が吸いたくなる。そんなときは自転車で少しだけ遠くまで走ってみたりする。

京都の町は碁盤の目に成っているので、どの通りも同じように見えるけど、いつもと違う道を通ると全然違う景色だったり、意外なお店を発見したりと楽しいことが割とあるので、寄

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本が好きなのもあるけど、本を買わないといけないように思い込んでる節があるし、何かの癖か病気かも知れない(笑)

本が好きなのもあるけど、本を買わないといけないように思い込んでる節があるし、何かの癖か病気かも知れない(笑)

もはや事務所の本棚に、書籍を入れるスペースがなくなり、そこかしこに平積みとなってる。先々月、デザイン関連の年鑑など50~60冊を処分したところなのに。

で、また今月も数冊の本を買ってしまった。読まずに積んであるものも、早く消化せねばならないのに……

本はパラパラっと見て、だいたいの内容をうっすらと覚えておくんだけど、何かの時に「なんかあったなぁ」と手繰り寄せて、「おお!これこれ!」となったりし

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24日の花傘巡行が猛暑で中止されたということで、ちょっと遡ってみた。

24日の花傘巡行が猛暑で中止されたということで、ちょっと遡ってみた。

祇園祭の後祭「花傘巡行」が中止になったということで、調べると869年(貞観11年)に始まったとされる「祇園祭」は、今年で1149年も続いています。その馬がい歴史のなかで、祭(巡行)が中止になったのは実は数えるほどしかありません。

◯2003年(大雨で中止) ←これが一番最近
◯1962年(四条通の地下で鉄道延伸工事)
◯1884年(悪天候)
◯1941年(太平洋戦争)
◯1582年(本能寺の変)

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