田中 良@走る火山学者

研究者として、大学教員として、ランナーとして、 エッセイを書きます

田中 良@走る火山学者

研究者として、大学教員として、ランナーとして、 エッセイを書きます

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記事一覧

卒酒エントリー

これまで大変お世話になりました 思えば初めてあなたに出会った時から、あなたにすっかり魅了されていました 楽しい思い出、やらかした思い出、たくさんの思い出をあなたと…

札幌マラソン-満足感とちょっと後悔-

2024.10.06 札幌マラソンに出場し、真駒内公園から大通り公園を往復して、ハーフを駆け抜けてきた 秋晴れの快晴、ちょっと暑かったが、気持ちいい天気だった コースの特徴…

十勝岳にて(上)

2024年6月中旬、十勝岳火口域の観測点を撤収した この観測点は私がまだ大学院生だった2014年に、延べ1週間、およそ10人がかりで設置した思い出の観測点だった 十勝岳は北…

函館を走る

2024年6月30日、函館マラソン、ハーフの部に出走した。自己ベストも更新し、最高のレースだった 函館は私の所縁の地である。祖父母の家が五稜郭公園の近くにあり、ほとん…

走る火山学者の朝

起きたらまずトイレに行き、その後体重計に乗る。体重と体脂肪率から、前日の運動、食事の答え合わせをする。思っていた通りの変動をしていれば嬉しいし、違っていれば原因…

つい自己啓発になるエッセイ

エッセイを書き始めて、水曜日・土曜日に更新しようと4本書いてきた。最初の3本を書いて気づいたけれど、つい、人生の教訓めいたことをエピソードから見出そうとしてしまう…

火山との出会い

--------- 2010年6月、僕は北大理学部、地球惑星科学科の3年生だ。 今日は計測実習という講義で、有珠山にきた。担当のOさん(先生と呼ばれるのを嫌がる)は変わった先生で…

他人のふんどし

5月末、地球惑星科学の研究者が一同に会する日本地球惑星科学連合大会(JpGU)が今年も開かれた 全日程参加するとほぼ1週間、幕張に滞在することになり、それなりに体力を…

人生のKPI

2024年5月19日、第50回ANA洞爺湖マラソンを走ってきた 1周36kmの洞爺湖を1周とちょっと走るフルマラソン。タイムは3時間9分ちょうどで自己ベストを更新した。フルマラソン…

やらなきゃいけないこと

『やらなきゃいけないこと』には2種類あると思う 『やらなきゃいけない、やらなきゃいけないこと』と『やらなくてもいい、やらなきゃいけないこと』 『やらなきゃいけない…

エッセイを書く

寺田寅彦に憧れがある 中谷宇吉郎にも憧れがある JALの機内誌で連載されている浅田次郎のエッセイが、機内での楽しみの一つ これまでのnoteは、誰かに読んで欲しくて、誰…

研究室生活の乗り切り方ー卒論の書き方ー

今年もあっという間に年の瀬が近づいている。年の瀬といえば、卒論・修論の季節だ。 大学3年生・4年生で研究室に配属される大学生が、研究室生活を乗り切るために、現役大…

研究室生活を乗り切るためにー発表スライドの作り方ー

大学3年生・4年生で研究室に配属される大学生が、研究室生活を乗り切るために、現役大学教員が一つの方針を提案するこのシリーズ。第3弾は発表スライドの作り方である。 …

研究室生活を乗り切るためにー論文の探し方・読み方ー

大学3年生・4年生で研究室に配属される大学生が,研究室生活を乗り切るために,現役大学教員が一つの方針を提案するこのシリーズ.第2弾は論文の探し方・読み方である. …

研究室生活を乗り切るためにー指導教員の選び方ー

今年も卒論の仮提出が終わった.教員になってから2回目の卒論指導で,卒論指導した学生は述べ5人になった.まだまだひよっこ教員ではあるが,指導する内容というのは大抵誰…

博士課程進学を迷っているあなたへ|2017年に博士(理学)を取得した話

大学教員としては,なるべく多くの学生に博士課程に進んで博士号を取得し,研究者になって欲しい. けれども,博士を取っても就職先がないとか,研究者のポストは任期付き…

卒酒エントリー

卒酒エントリー

これまで大変お世話になりました
思えば初めてあなたに出会った時から、あなたにすっかり魅了されていました
楽しい思い出、やらかした思い出、たくさんの思い出をあなたと一緒につくりました
今の私のポジションを作るのに一役も二役もかってくれたことは間違いありません
でも、もうあなたから卒業します
あなたなしでの健康な生活を謳歌したいのです
本当にこれまでありがとう

というわけで、アルコールからの卒業エン

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札幌マラソン-満足感とちょっと後悔-

札幌マラソン-満足感とちょっと後悔-

2024.10.06 札幌マラソンに出場し、真駒内公園から大通り公園を往復して、ハーフを駆け抜けてきた

秋晴れの快晴、ちょっと暑かったが、気持ちいい天気だった
コースの特徴は、前半下り坂、後半上り坂…さらに今日の風は後半向かい風…前半抑えて、後半しっかり坂を登るのがセオリー
セオリーはわかってたはずなのに…下り坂で心拍数が上がらないことに調子に乗って、5 kmのレースペースくらいで突っ込んでしま

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十勝岳にて(上)

十勝岳にて(上)

2024年6月中旬、十勝岳火口域の観測点を撤収した
この観測点は私がまだ大学院生だった2014年に、延べ1週間、およそ10人がかりで設置した思い出の観測点だった

十勝岳は北海道中央に位置する活火山で、1988-89年の噴火を最後に噴火はしていないものの、現在も火口からはもうもうと噴気をあげている。2006年ごろから火口下数100mの深さに圧力が溜まっているような地面の膨らみ(目で見てもわからない

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函館を走る

函館を走る

2024年6月30日、函館マラソン、ハーフの部に出走した。自己ベストも更新し、最高のレースだった

函館は私の所縁の地である。祖父母の家が五稜郭公園の近くにあり、ほとんど記憶はないが私自身も2歳から4歳まで住んでいた。ハーフマラソン前日は、祖父母の家に泊まらせてもらった。もっとも、既に家主はいないのだけれど。

祖父は数年前に、祖母は去年、他界した。2人とも90過ぎまで元気だったので、大往生と言っ

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走る火山学者の朝

走る火山学者の朝

起きたらまずトイレに行き、その後体重計に乗る。体重と体脂肪率から、前日の運動、食事の答え合わせをする。思っていた通りの変動をしていれば嬉しいし、違っていれば原因を考える。我が家の体重計は、なぜか1回目は体重を軽く、体脂肪率を低く計測し、ぬか喜びさせてくるので、最低でも4回は乗って、1回目のデータを捨て、残り3回で平均を取る。ばらつきを考慮するのは計測の基本である。

そのあとは走る準備をして、朝ラ

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つい自己啓発になるエッセイ

つい自己啓発になるエッセイ

エッセイを書き始めて、水曜日・土曜日に更新しようと4本書いてきた。最初の3本を書いて気づいたけれど、つい、人生の教訓めいたことをエピソードから見出そうとしてしまう

あまりにも説教くさいので、4本目は火山研究者になったきっかけと言ってもいい、火山との出会いを、できるだけ説教くさくならないように書いた

そういえば、以前ある先生と飲んだ時に好きな本の話になって、伊坂幸太郎、池井戸潤、幸田露伴が好き、

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火山との出会い

火山との出会い

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2010年6月、僕は北大理学部、地球惑星科学科の3年生だ。
今日は計測実習という講義で、有珠山にきた。担当のOさん(先生と呼ばれるのを嫌がる)は変わった先生で、実習前の事前授業では飲食自由だし、本実習の前の下見の日にアメフト部の試合があると言ったら、「勝ってこい」と言われただけで、何も咎められなかった。

下見に来なかったので、初めての有珠山。銀沼火口と呼ばれる、過去の噴火でで

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他人のふんどし

他人のふんどし

5月末、地球惑星科学の研究者が一同に会する日本地球惑星科学連合大会(JpGU)が今年も開かれた

全日程参加するとほぼ1週間、幕張に滞在することになり、それなりに体力を消耗するため、去年は一部の日程だけ現地参加した。ただ、色々な方から「ちょっと立ち話どうですか?」とメールをいただくことが多く、「いません…」と断るのが寂しかったので今年は全日程現地参加することにした

実際、学会では発表を聞くことも

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人生のKPI

人生のKPI

2024年5月19日、第50回ANA洞爺湖マラソンを走ってきた
1周36kmの洞爺湖を1周とちょっと走るフルマラソン。タイムは3時間9分ちょうどで自己ベストを更新した。フルマラソンは3時間も走っているので、つい、色々なことを考えてしまう

フルマラソンをその日のコンディション(自分の調子、天候、コース状況)の中で最速で走るためにどうすれば良いか…今シーズン4本目のフルマラソンだった僕がたどり着いた

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やらなきゃいけないこと

やらなきゃいけないこと

『やらなきゃいけないこと』には2種類あると思う
『やらなきゃいけない、やらなきゃいけないこと』と『やらなくてもいい、やらなきゃいけないこと』

『やらなきゃいけない、やらなきゃいけないこと』は、誰かとの約束だったり、〆切が設定された仕事だったり、やらないと誰かに迷惑がかかるもの。例えば、書類仕事だったり、学生指導だったり。

『やらなくてもいい、やらなきゃいけないこと』は、やらなきゃいけないんだけ

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エッセイを書く

エッセイを書く

寺田寅彦に憧れがある
中谷宇吉郎にも憧れがある
JALの機内誌で連載されている浅田次郎のエッセイが、機内での楽しみの一つ

これまでのnoteは、誰かに読んで欲しくて、誰かの役に立つことを書こうとしていた
そして、おそらく飽きてしまって、ほとんど開かないまま2,3年が経ってしまった

その間に、コロナ禍があけ、任期なしの助教になり、指導した学生の数も10を超えた
ランニングを始め、フルマラソンを4

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研究室生活の乗り切り方ー卒論の書き方ー

研究室生活の乗り切り方ー卒論の書き方ー

今年もあっという間に年の瀬が近づいている。年の瀬といえば、卒論・修論の季節だ。

大学3年生・4年生で研究室に配属される大学生が、研究室生活を乗り切るために、現役大学教員が一つの方針を提案するこのシリーズ。第4弾は卒論の書き方である。

今回は、日本語の書き方、というのは置いておいて、卒論の大きな流れの作り方について書きたい。いくら上手な日本語、わかりやすい日本語が書けても、そもそも内容が卒論に見

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研究室生活を乗り切るためにー発表スライドの作り方ー

研究室生活を乗り切るためにー発表スライドの作り方ー

大学3年生・4年生で研究室に配属される大学生が、研究室生活を乗り切るために、現役大学教員が一つの方針を提案するこのシリーズ。第3弾は発表スライドの作り方である。

研究室に配属されると、スライド(パワーポイントやkey note)を使って発表を行う機会が山のようにある。そして、どんなに研究で手を頑張って動かしていても、論文を読み込んで内容を理解していても、発表スライドがある程度きちんと作られていな

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研究室生活を乗り切るためにー論文の探し方・読み方ー

研究室生活を乗り切るためにー論文の探し方・読み方ー

大学3年生・4年生で研究室に配属される大学生が,研究室生活を乗り切るために,現役大学教員が一つの方針を提案するこのシリーズ.第2弾は論文の探し方・読み方である.

弊学・弊学科では,研究室における重要な取得単位の一つに,論文購読がある.最新の論文(英文)を読み,ゼミメンバーに紹介するというもので,研究室に配属された学生が最初にすることであり,最初に苦労することでもある.他の大学でどのように実施され

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研究室生活を乗り切るためにー指導教員の選び方ー

研究室生活を乗り切るためにー指導教員の選び方ー

今年も卒論の仮提出が終わった.教員になってから2回目の卒論指導で,卒論指導した学生は述べ5人になった.まだまだひよっこ教員ではあるが,指導する内容というのは大抵誰しもに共通しているように思う.
自分への備忘録も含めて,これから4年生になる人,つまり,研究室に配属され,指導教員を決め,研究をし,卒論を書く,という人に僕なりの生き抜き方を伝授したい.

もちろん,環境は人それぞれで,書いているのは理系

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博士課程進学を迷っているあなたへ|2017年に博士(理学)を取得した話

博士課程進学を迷っているあなたへ|2017年に博士(理学)を取得した話

大学教員としては,なるべく多くの学生に博士課程に進んで博士号を取得し,研究者になって欲しい.

けれども,博士を取っても就職先がないとか,研究者のポストは任期付きばかりだとか,そもそも博士号を取れるかどうか不安だ,ということで,博士課程に進むには相当な勇気と思い切りがいる.

だから,なんとか博士号を取得して大学教員をやっている僕,つまりなんとかなった人の経験談によって,その不安を少しでも軽減し,

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