K.T.F.F.

I'm a psychiatrist in a clinic. This …

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I'm a psychiatrist in a clinic. This note is just my study records. I am studying English to study abroad. 精神科医。IELTS勉強中。 英語とと精神医学に関するつぶやき。

記事一覧

パチンコは日本に不要か?

ひろゆき氏がパチンコ業界はなくなったほうが良い、と主張している記事を読んだ。 おそらく、大勢の日本人がそう思っていることだろう。パチンコ業界のマネーは北に流れて…

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1年前
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ELSA SPEAK ① [n]がどうしても[ŋ]になってしまう方へ

「おんな」と言ってみてください。 この時の「ん」は [n] の舌の位置にあります。(次の「な」につなげるため) なので、例えば、line を発音するときは、/ lάɪn /です…

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1年前
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高IQ者の苦悩について 高い知性はコミュニケーションを阻害するか

「IQ が高い人は孤独を感じている」「IQ が20違うと話が合わない」等よく言われている。果たして、高IQ者(ここでは上位2%以内としておく)はその高い知性ゆえに人と関わ…

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1年前
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依存について 楽園ネズミはモルヒネを忌避する

ラットパークという有名な実験がある。 狭いケージで孤独に育ったネズミと、沢山の仲間がいて広いケージで育ったネズミ。普通の水とモルヒネ入りの水、どちらも飲めるよう…

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1年前
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育児中のイライラの原因とその対処法。精神科受診前に読んでもらいたいこと。

「イライラして子供に当たってしまう」という相談をよく受ける。ほとんどのケースで後悔と自責感に駆られている。「自分は母親に向いていないのか」と思い悩んだりもしてい…

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1年前
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英語学習。流暢性について気が付いたこと

流暢性(fluency)って、結構変動する。例えば、相手の発音が聞き取りにくかったり慣れていない訛りだったりすると流暢性が低下する。理解するのにエネルギーを使ってしまう…

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1年前
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人を頼る能力

自分一人ですべての問題を解決するのは不可能だ。しかし、無謀にも一人で戦おうとするから、心を病むのだ。 我慢強くなる、あるいは一人で解決出来るようになるよりも、適…

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1年前
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思考は解釈でしかない

あなたが今考えていること、事実だと思っていること、誰かへの憎しみでさえも、現時点での世界に対するあなたの解釈だ。思考は、疲れや体調、ホルモン、直前の出来事、ある…

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1年前
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精神医学は科学か?

精神医学についてボロクソに書かれることがある。「精神医学はエセ科学だ」「精神科医は詐欺師だ」と。しかし、そう主張する気持ちもわからなくはない。なぜならば、多くの…

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1年前
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自殺はすべて精神疾患によるか?

沢山の日本人が自殺している。警察庁による報告では、令和3年は21007人が自死したとのことだ。実際の数はもっと多いだろう。とはいえ、年々減少傾向にある。仮に、自殺者が…

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英語学習について

沢山の人が、英語学習は耳から、と思っている。 私自身もそれを信じて勉強してきた。だけど、本当にそれが一番の近道なのかな? 人には、得意・不得意がある。とりわけ、…

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1年前
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性別違和、gender incongruenceについての一精神科医としての私見①

以前、性同一性障害は精神疾患とみなされていた。 ある時期には治療されるべき対象であった(現在においても「同性愛や性同一性障害を治療し、異性愛にすべきである」と考…

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1年前
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パチンコは日本に不要か?

ひろゆき氏がパチンコ業界はなくなったほうが良い、と主張している記事を読んだ。

おそらく、大勢の日本人がそう思っていることだろう。パチンコ業界のマネーは北に流れている。その金は、北の軍事金に充てられる。パチンコによって、依存症が生み出され、さらなる悲劇を生んでいる。パチンコ屋はさっさとなくなったほうが良い。 

しかし、ひろゆき氏は大局が見えていない。

パチンコは必要悪だ。

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ELSA SPEAK ① [n]がどうしても[ŋ]になってしまう方へ

「おんな」と言ってみてください。
この時の「ん」は [n] の舌の位置にあります。(次の「な」につなげるため)

なので、例えば、line を発音するときは、/ lάɪn /ですが、最後にひらがなの「な」を付け加えてみる。そうすると、自然と[n]になります。そんでもって、「な」を言わない。

じゃ、逆はどうか、というと、キングと言ってみてください。
この時の「ん」が[ŋ]の音。(次の「グ」につなげ

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高IQ者の苦悩について 高い知性はコミュニケーションを阻害するか

「IQ が高い人は孤独を感じている」「IQ が20違うと話が合わない」等よく言われている。果たして、高IQ者(ここでは上位2%以内としておく)はその高い知性ゆえに人と関われないのだろうか。

私自身、IQ132ある。これは、心理士を目指す学生の練習台として、研修医の時にWAIS-Ⅲをやってもらったスコアである。当時はWAISを把握してなかったので、知識によって修飾されていない数値と考えてよいだろう

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依存について 楽園ネズミはモルヒネを忌避する

ラットパークという有名な実験がある。

狭いケージで孤独に育ったネズミと、沢山の仲間がいて広いケージで育ったネズミ。普通の水とモルヒネ入りの水、どちらも飲めるようにしておく。狭いケージで孤独に育ったネズミは、どんなに苦くともモルヒネ入の水を好んで飲むようになった。一方、仲間に囲まれて育ったネズミは、例えどんなに砂糖を入れたとしても、モルヒネ入の水を避けるようになった。さらに、人為的にモルヒネ依存に

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育児中のイライラの原因とその対処法。精神科受診前に読んでもらいたいこと。

「イライラして子供に当たってしまう」という相談をよく受ける。ほとんどのケースで後悔と自責感に駆られている。「自分は母親に向いていないのか」と思い悩んだりもしている(なお、男性の方からこのような相談を受けることは殆どない)。

経験上、イライラの原因は三分の一が「生理周期による気分変動」、三分の一が「余裕のなさ」、三分の一が「その他の精神疾患による」といった具合だ。多くのケースで重なっている。

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英語学習。流暢性について気が付いたこと

流暢性(fluency)って、結構変動する。例えば、相手の発音が聞き取りにくかったり慣れていない訛りだったりすると流暢性が低下する。理解するのにエネルギーを使ってしまうからだと思う。もちろん、疲れていても低下するし、緊張していても低下する。慣れていないトピックについても途端に低下する。global warmingについて突然聞かれたら、途端にWindows 95くらいになっちゃう。「離婚するか、離

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人を頼る能力

自分一人ですべての問題を解決するのは不可能だ。しかし、無謀にも一人で戦おうとするから、心を病むのだ。
我慢強くなる、あるいは一人で解決出来るようになるよりも、適切な相手に適切に助けを求めるようになる方が、よっぽど楽に生きていける。

すぐには身につかないだろうが、訓練次第でどうとでもなる。始めは「兎に角、困っているんだ」ということを伝えるだけで良い。
私の外来では些細なコミュニケーションを患者と一

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思考は解釈でしかない

あなたが今考えていること、事実だと思っていること、誰かへの憎しみでさえも、現時点での世界に対するあなたの解釈だ。思考は、疲れや体調、ホルモン、直前の出来事、あるいは、天気や気圧によって簡単に影響を受けてしまうものである。当たり前のことだが、大勢の人はそう思ってはいないらしい。沢山の人が思考と事実を同一と見做している。

いくつか例を挙げてみよう。

あなたはどん底にいて、世界は悲しみに溢れている、

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精神医学は科学か?

精神医学についてボロクソに書かれることがある。「精神医学はエセ科学だ」「精神科医は詐欺師だ」と。しかし、そう主張する気持ちもわからなくはない。なぜならば、多くのケースで寛解維持を目的とし、薬を飲み続けなければならず、そして終診にならない。多くの患者が薬剤抵抗性で、良くなった実感がない。副作用も多い。病識ないまま入院させられ時に隔離・拘束が行われる。一方で製薬会社はボロ儲けだ。

まず始めに言ってお

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自殺はすべて精神疾患によるか?

沢山の日本人が自殺している。警察庁による報告では、令和3年は21007人が自死したとのことだ。実際の数はもっと多いだろう。とはいえ、年々減少傾向にある。仮に、自殺者が直前に精神科の診察を受けたとして、全員がなんらかの精神疾患があると診断できるだろうか。

一昔前にはsmiling depressionという用語があった。一見バリバリと仕事をこなしエネルギッシュに見えていてもある日突然死を選ぶ。企図

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英語学習について

沢山の人が、英語学習は耳から、と思っている。
私自身もそれを信じて勉強してきた。だけど、本当にそれが一番の近道なのかな?

人には、得意・不得意がある。とりわけ、脳内での情報処理において、視覚優位なタイプと聴覚優位なタイプがいることが分かっている。例えば、私なんかは、WAIS-Ⅲでは、ダントツにワーキングメモリが低い。耳から入ってきた情報は全然頭に残らない。一方で、視覚的な情報はいつまでも残ってい

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性別違和、gender incongruenceについての一精神科医としての私見①

以前、性同一性障害は精神疾患とみなされていた。
ある時期には治療されるべき対象であった(現在においても「同性愛や性同一性障害を治療し、異性愛にすべきである」と考える人達も少ないながらいる、らしい)。近年、性のあり方や自分の性自認の多様性が尊重されるようになり、少しずつstigmaも解消されつつある。アメリカ精神医学学会が発行するDSM-5(Diagnostic and Statistical Ma

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