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コロナの時代の僕ら

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僕の訳したパオロ・ジョルダーノ作『コロナの時代の僕ら』(早川書房)関連情報記事をまとめています。
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記事一覧

パンデミックと、正しい希望の持ち方――パオロ・ジョルダーノ『コロナ時代のぼくら』レビュー①

パンデミックと、正しい希望の持ち方――パオロ・ジョルダーノ『コロナ時代のぼくら』レビュー①

(※この記事は2020/07/17に公開されたものを再編集しています。)

パオロ・ジョルダーノという作家

 今回取り上げるのは、イタリアの小説家パオロ・ジョルダーノ『コロナ時代の僕ら(Nel contagio)』(飯田亮介訳, 早川書房)である。ジョルダーノは素粒子物理学を学んで博士号を取得した経歴を持つ。ウンベルト・エーコが『薔薇の名前』(1981)、パオロ・コニェッティが『帰れない山』(2

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私たちの変化と、私たちが忘れてしまうこと――パオロ・ジョルダーノ『コロナ時代のぼくら』レビュー②

私たちの変化と、私たちが忘れてしまうこと――パオロ・ジョルダーノ『コロナ時代のぼくら』レビュー②

(※この記事は2020/07/21に公開されたものを再編集しています。)

私たちに訪れた変化

 新型コロナウィルスで「接触」の危険性が指摘されたとき、握手をする習慣が失われた。以前なら目が合った人に、微笑みを伝えるために口角を上げていた。マスクの着用が一つの習俗となったとき、私たちは目で微笑みを伝えざるをえなくなった。

 イタリアの小説家パオロ・ジョルダーノのエッセイ集、『コロナ時代の僕ら(

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本屋の店主が集まった読書会の模様を放送します。

テーマ本:「 コロナの時代の僕ら」
選書:親子絵本専門ナヌーク 白熊

今月の参加は、

親子絵本専門ナヌーク 白熊
書肆スーベニア 酒井
Read’nWriti’n  落合
H.A.Bookstore 松井
双子のライオン堂 竹田

<公開収録観覧者募集!>
http://peatix.com/group/2147791

<本屋ラジオ!放送局>

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読書メモ:コロナの時代の僕ら

読書メモ:コロナの時代の僕ら

「コロナの時代の僕ら」を読んだ。

物理学の博士号を持つ小説家であるパオロ・ジョルダーノ氏が、今年の2~3月のイタリアを見つめながら地元紙に寄稿した記事27本+あとがきで構成される本。

1章が寄稿時の1本分として完結していて、テンポよく読める。短いけれど内容は厚いし、気付きが多い。
今まで私が見ていた新型ウイルス関連の情報は、感染症対策の専門家発信のものが圧倒的に多かったけれど、違う分野の専門家

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『コロナの時代の僕ら』書評まとめ 2020/08/11更新

ありがたいことに様々な方々にすばらしい書評・ご紹介動画を作成していただきました。もったいないので思い出せる限りのものをアップしていきます。まだ読んでいらっしゃらない方はとりあえずのご参考に、すでに読まれた方も、いろいろな読み手のみなさんの解釈・感想を手がかりにまた新たな視点が得られることもあるかもしれません。少なくとも僕はエゴサーチで見つけるたび、なるほどーと毎回感心しています。

内容は随時更新

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「コロナの時代の僕ら」パオロ・ジョルダーノ著 飯田亮介訳(早川書房)を読んで

「コロナの時代の僕ら」パオロ・ジョルダーノ著 飯田亮介訳(早川書房)を読んで

洪水のような情報に溺れそうになりながら、掴んだものがこの本だった。

日々、いろいろな人がいろいろなことを言い、そして、私ごときが、何を考えたところで何の役にも立たないと感じていた時に、私の目に触れた本だ。
どんなキャッチコピーがついていたのか、何で目にしたのかも忘れた。とにかく読みたいと思い、お気に入りに追加し、お買い得日に忘れずネットで注文した。予約販売だったので、途中、発売日が少し遅れますと

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【緊急寄稿】コロナが芸術にもたらした未曾有の変異をとらえるために――「ディスタンス・アートの創作論」宮本道人(科学文化作家)

【緊急寄稿】コロナが芸術にもたらした未曾有の変異をとらえるために――「ディスタンス・アートの創作論」宮本道人(科学文化作家)

小説家パオロ・ジョルダーノが非常事態宣言下のイタリアで『コロナの時代の僕ら』を生み出したように、いま様々な表現者・作り手が未曾有の状況とそれぞれに向き合い、新たな作品を発表している。星野源「うちで踊ろう」、ZoomとYouTubeを使った「視聴者全員で演出する演劇」、ジャルジャルのリモート漫才、アイドルグループによるリモートライブ……それら「ディスタンス・アート」は何を描き、どのように鑑賞され、未

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FM COCOLOの番組、CIAO765でDJの野村〝まちゃお〟雅夫さんに『コロナの時代の僕ら』についてインタビューしてもらいました。

FM COCOLOの番組、CIAO765でDJの野村〝まちゃお〟雅夫さんに『コロナの時代の僕ら』についてインタビューしてもらいました。

ええっといきなり情報量の多いタイトルですが、そもそも野村さんという方が情報量の多い個性的な方なので、最低でもこういうタイトルになってしまうのです。DJでもあり、翻訳書もあるイタリア語の文芸翻訳者でもあり、イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」代表でもあり、、、しかもイタリア生まれのイケメンなのです。きっとまだまだ隠し球のあるマルチな方だろう——お会いしたことはありませんが、そう

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【本】パオロ・ジョルダーノ「コロナの時代の僕ら」感想・レビュー・解説

【本】パオロ・ジョルダーノ「コロナの時代の僕ら」感想・レビュー・解説

2020年3月8日、僕はコロナ騒動に関する文章をネットで書いた。誰かに頼まれたわけではなく、自分の考えを整理するための備忘録だ。

今、それを読み返してみると、間違ったことを書いているとは思わないが、じゃあ同じ内容の文章を今書くか、と聞かれたら、まあ書かないだろう。

「今」とはいつか。僕はこの文章を、2020年4月10日に書いている。たった一ヶ月で、世界はまったく変わってしまった。

本書の発売

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「感染症への理解が深まる」「まさに今読むべき本」「気持ちが鎮まる」「必読です」『コロナの時代の僕ら』刊行の反響

「感染症への理解が深まる」「まさに今読むべき本」「気持ちが鎮まる」「必読です」『コロナの時代の僕ら』刊行の反響

「家にいよう」
「躊躇したぶんだけ、その代価を犠牲者数で支払う」
「この大きな苦しみが、無意味に過ぎ去ることを許してはいけない」

2020年2月末から3月中旬のイタリア。新型コロナウイルスによる感染者、死者は増加を続け、医療体制は日に日に逼迫(ひっぱく)し、外出は禁じられ、人々の繋がりは絶たれていく。

突然訪れた非常事態を生き延び、この後にやってくる「コロナの時代」を歩んでいかなくてはならない

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『コロナの時代の僕ら』著者あとがき&訳者あとがき 公開継続のお知らせ

『コロナの時代の僕ら』著者あとがき&訳者あとがき 公開継続のお知らせ

2020/04/26日追記。おかげさまで発売もはじまり、好評をいただいています。全文公開はおわりましたが、次のページで著者あとがきと訳者あとがきはお楽しみいただけます。特に著者あとがきは必読です。本文よりもいい、という読者様さえいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。

著者あとがき

訳者あとがき

2020/04/12日追記。みなさま、ありがとうございました。全文無料公開はご好評の内に終了

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