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【読書感想文】松本人志「遺書」

こんばんは!
僕がエッセイを出すとしてタイトルを付けるなら遺言にしたい。小栗義樹です!

さぁ本日は、好きな本や読んだ本に対して好き放題書くこの企画。読書感想文を投稿させて頂きます。感想文を通して、題材となった本に興味を持ってくれたら嬉しいなという気持ちのもと行う試みです。

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松本人志「遺書」

週刊朝日に連載されてい天才お笑い芸人松本人志のエッセイをまとめた本で、累計発行部数250万部という驚異的な記録を打ち立てた名実ともに最強の本です。

発行自体は1994年で、今からちょうど30年前に出版された本ですが、いまだに根強い人気があるのでしょう、古本屋でも100円コーナーではなかなか見かけることが出来ません。価格も500~600円と定価と比較してもそんなに値段が下がっていないので、そもそも古本としてあんまり流通されていないのではないかなと思います。(もちろん、ECサイトなんかだともっと安く仕入れることが出来るのかもしれませんが)

僕は高校3年生の時に初めて読みました。その後、引っ越しを繰り返す過程の中で紛失してしまい、しばらく読んでなかったのですが、先日古本屋さんに行ったときにたまたま見かけて、思わず再購入してしまいました。

ちなみに、松本人志さんを最初に認識したのは「リンカーン」という番組です。リンカーンには色々な芸人が出ていますが、唯一ずっと面白いことを言っている人が松本人志さんで、こんなに外さない人がこの世にいるんだと衝撃を受けました。当時は編集によってテレビ番組が作られている事を知らなかったので、本当に毎秒面白い事を言っているんだと本気で思っていました。

不思議だったのは、学校で松本人志の話題があんまり上がっていなかったことです。僕からするとあんなにずっと面白いことを言っているのに、なんで学校で話題にならないんだろう?と思っていました。(もしかしたら、僕に友達が少なかったから、そんな話題が聞こえてこなかっただけなのかもしれませんが笑)

僕の友人の間ではもっぱら天才として崇められていました。島田紳助と松本人志は面白い。この2人よりも面白い芸人は、今のところ見たことがない。そんな話をした記憶があります。

僕からするとそれくらい影響を受けた人で、そんな僕が遺書やビジュアルバムに辿り着くのは、今考えれば当たり前だったのかもしれません。テレビでバラエティーをしている松本人志よりも、遺書やビジュアルバム、寸止め海峡などで発信されている松本イズムのほうが圧倒的に興味がありました。お笑いって笑い声を起こすだけではなくて、「あ、なるほど」と思わせる、つまり、興味・関心を誘発させることもお笑いの一部なんだなぁと思い知らされました。

ダウンタウンDXやリンカーンでバラエティー的なお笑いを、ビジュアルバムや遺書で興味・関心を、ごっつええ感じやガキの使いやあらへんでではその中間を。ダウンタウンや松本人志には、成長過程で様々な笑いを魅せてもらいました。他にもいろいろあって、語るときりがありません。

なかなか本の話に辿り着きませんが、映画についても触れておきたいです。松本人志さんは、映画を4本撮影しています。大日本人、しんぼる、さや侍、R100の4本です。当時、松本人志が映画を撮影するということで、かなり話題になりましたが、結果としてはお世辞にも高い評価を得られませんでした。そう言い切ってしまっていいでしょう。

そんな松本さんの映画ですが、僕は結構好きだったりします。僕の中ではかなり評価が高いです。それこそ、ガキの使いやあらへんでとかごっつええ感じにも通ずる。笑いと興味・関心が絶妙に織り交ぜられた分厚さがあるなと思います。ちなみに一番好きな作品はしんぼるです。作品として評価する場合、さや侍は苦手です。理由は長くてくどいから。

そんな少々の差はあれど、全体的な感想としては好きだなって思っています。突拍子も脈絡もない繋がりからくる面白さを今でも必死に模索していて、その上でちょっとずつ高みに昇っている感じもたまりませんでした。

やっと題材である遺書の感想について語りますが、不適切にもほどがあるという今年放送されたドラマをご存じでしょうか?

遺書は今読むとあんな感じです。とにかくスカッとします。僕には予言書のようでもあり、その予言に対して痛快にNOを突き付けている感じがします。

無駄な規制が多い現代、それによって抑圧された気分になっている人も多いのではないかと僕は思うのですが、遺書はそんなフラストレーションを存分に発散してくれる一冊なのではないでしょうか?

本ってめちゃくちゃ良いメディアだなと思います。映像メディアやSNSって、結局監視されている状態がずっと付きまとうじゃないですか?

本は誰がなんといおうと1対1の対話メディアで、古本はすでに話題が去っていますから、誰にも干渉されずに済みます。今みたいな時代に、遺書のような過去のぶっちゃけ本を読むのは、ある種とても安全な場所で気兼ねなく思いを巡らせることが出来ます。監視される事に疲れた方からすると、昔の本をぶっちゃけ本は最後の安全圏なのかもしれないなと、遺書を読んでいて思いました。

時代的にもギリギリ価値観が歪まないという点も良かったです。平成初期の本ですから、僕もその価値観の中で生きています。古典と呼ばれる小説なんかと比較すると、それはそれで面白いなと思いますが、価値観が違い過ぎて理解に時間がかかるときがあったりします。それはそれで味だと思うのですが、たまに自分が生きた時代の価値観が反映されている本を読むと、やっぱり理解度に大きな差が出てくるんだぁとも思うわけです。

遺書は明らかにコンテンツではなく芸とか作品と呼べる本だと思います。クリエイターの意味が今と全く違っていて、遺書を読むとその違いが明確になります。そういう視点から読んでみても、大変興味深い一冊であり、まさに今読むべき本だと言えるかなと、そんな風に思います。

この辺の話は、いずれ機会があればまたさせてください。とにかく、あらゆる角度から楽しめる一冊であることは間違いありません。

なかなか古本屋では見かけませんが、もしも興味があれば探してみてほしいし、見かけたら購入して読んでみてほしいなと思います。

というわけで、本日はこの辺で失礼いたします。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
また明日の記事でお会いしましょう!

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