マガジンのカバー画像

『しらなみのかげ』

37
こは、日々つらつらと念ひしことのとみに濫れてはすぎゆくに、浦によする沖つ白波の八重をりて、ささなみの下にあまたうたかたの浮かぶがごとく、そのかたちの成りては千々に消ゆるさまを、よ…
運営しているクリエイター

2022年1月の記事一覧

【しらなみのかげ】 今、〈解釈権の独占〉へとひた走るのは誰か  #19

【しらなみのかげ】 今、〈解釈権の独占〉へとひた走るのは誰か #19

昨日(正確には30日付の深夜未明)に上げた「「オープンレター」講解」は、15000字に及ぶ長文であるにも拘らず、お蔭様で多くの人に読んで頂けた。御読み頂きました方々には改めまして厚く御礼申し上げます。





物議を醸し続けている「オープンレター:女性差別的文化を脱するために」に対して逐文解釈的に内在的読解を施すという試みは恐らく初めてだろう。この試みにおいて、呉座勇一氏の名前を連呼し、呉座

もっとみる
「オープンレター」講解 【しらなみのかげ特別号】

「オープンレター」講解 【しらなみのかげ特別号】

・はじめに

……「女性差別的文化を脱するために」と言われたら、凡そ反対する者など居ないだろうし、反対する理由を見付けることなど出来ないだろう−「差別に反対」しているのだから、その「内実」を具に見ることなど、必要無いのではないか−そうした真摯な思いが、この現代文明先進世界を生きる知識階層、すなわち「研究・教育・言論・教育にかかわるすべての人」の中の一部にあったに相違無い……





2021

もっとみる
【しらなみのかげ】 下品なことを言う自由について #18

【しらなみのかげ】 下品なことを言う自由について #18

皆さんはシャルリ・エブド事件を覚えているだろうか。



フランス、そして世界を震撼させた、あの大事件である。



2015年1月7日午前、フランスのパリ11区にある週間風刺新聞『シャルリ・エブド』本社を、覆面をして武装したアルジェリア系フランス人のサイード・クアシとシェリフ・クアシの兄弟が「アッラーフ・アクバル」「預言者の復讐だ」などと叫びながら襲撃し、編集長、風刺漫画家、コラムニスト、警

もっとみる
【しらなみのかげ】  単にそのようである世界をまずは認めること #17

【しらなみのかげ】 単にそのようである世界をまずは認めること #17

(二日前、1月13日に書いたテクストです。夜は仕事をし、その後は降り積もる雪の中、行きつけのバーに挨拶に行ったら朝まで飲んでしまい、昨日少しづつ改稿や校正をしていたら、出すのが本日になってしまいました。)



私は最近、人生を生きていくに当たって、「単にそのようである世界をまずは認めること」が何よりも重要ではないかと考えている。



嘗て、福田恆存はその有名な『私の幸福論』の最初の章「美醜

もっとみる
【しらなみのかげ】 現実の有りの儘を言い当てる言葉を索めて #16

【しらなみのかげ】 現実の有りの儘を言い当てる言葉を索めて #16

(昨日分のエントリーとして書いていた文章を投稿せずそのままにして眠りに落ちてしまったので、大分書き足して本日投稿致します。)





雪の華は儚い。

重い鈍色の空から、ふわりふわりとまさに花びらの様に舞い散る雪は、風に乗って地面に着くとすぐに消えて、足許の露となる。綿雪の白く輝く柔らかな繊維が、私の外套に付いては解ける様にして徐に融けていく。その時は、吹き付ける寒風が少しばかりか和らいで、

もっとみる
【しらなみのかげ】 「幸運を祈る」のではなく「縁起を担ぐ」 #15

【しらなみのかげ】 「幸運を祈る」のではなく「縁起を担ぐ」 #15

今日は昨日のエントリーで書いた通り、お昼に十日戎の残りえびすに行ってきた。

先ずは折角京都に戻ってきたので祇園四条の天下一品にてチャーシューメンと明太ご飯を頼んで腹ごしらえした後、そぼ降る雨の中、四条通に大きく掲げられた十日えびすの門をくぐって縄手通へと下ると、出店が並んでいる。近隣の店舗も皆、めいめいに色々なものを売っている。その中を歩くだけで心躍るものがある日本のハレの日である。



もっとみる
【しらなみのかげ】 文系の学問はカルトか #14

【しらなみのかげ】 文系の学問はカルトか #14

今日は1月10日、十日えびす大祭の日である。

京都には勿論、日本三大えびすの京都ゑびす神社がある。

周知の通り十日えびすは、家運隆盛と商売繁盛を願って縁起物を求める日である。私の親が商売をやっている関連で、博多の十日恵比寿神社には何度も家族で十日えびすに訪れた。熊手やお宮の形をした貯金箱等の縁起物を、籤で引き当てる形だった様に記憶している。



商売という程のことを出来ていない私がえべっさ

もっとみる
【しらなみのかげ】 本の整理は来歴の整理 #13

【しらなみのかげ】 本の整理は来歴の整理 #13

1月9日の更新である。漸く更新が日にちに深夜数時間遅れで追い付いたことに聊かの安堵すら覚える。



今日は、昨日のエントリーで自ら宣言したことに遵い、少しだけだが部屋の片付けを進めた。今回着手したのは、文庫本の整理である。本を「売らない・捨てない・譲らない」人間である私は、それはもう大量の本を保有している。そして明らかなことだが、この本が散らかることが家の秩序を乱している。文庫本用の収納ケース

もっとみる
【しらなみのかげ】 「書くこと」とは「文字を書く」ことである #12

【しらなみのかげ】 「書くこと」とは「文字を書く」ことである #12

8日の分を今投稿するのは日付変わって10日になった今、おかしいのかも知れないが、昨晩も又、仕事仲間であり友人でもある人々と相談がてら身の上話や他愛も無い雑談に電話で花を咲かせてしまい、書き掛けで止まっていたままだった。遅れて投稿する。





京都に帰って来た。

所用があったので新幹線を新神戸で降りて、神戸を経由して、長い道のりを掛けて家に帰って来た次第である。

京都の私の家は、古い木造

もっとみる
【しらなみのかげ】 神を救い出す南仏の宗教哲学者 #11

【しらなみのかげ】 神を救い出す南仏の宗教哲学者 #11

昨日の分を今日のお昼に出すことにする。

昨日はお昼ずっと、哲学の勉強に費やし、夜は飲みながら別の作業をやっていた。その後YouTubeで今日仕事に必要な映像を幾つか次々と観て、作業が終わりに差し掛かったのでそのままジャルジャルや中川家のチャンネルなどをテレビに映して観ていたら、そのまま書くのを忘れて又もやホットカーペットの上で就寝してしまった。

どうでも良いことだが、昨晩は地元福岡を中心に展開

もっとみる
【しらなみのかげ】 「秘密の「密」」について #10

【しらなみのかげ】 「秘密の「密」」について #10

相変わらず日付が変わっての更新であるが、この文章が1月6日分のエントリーである。
今日は、政治学者の佐藤信さんによる「密と政治」(『UP』49巻11号, p.14-21, 2020年11月号)を読んだ。

Twitterで同じく政治学者の河野有理さんがこの論文についてツイートしているのを見て、先日出した以下の記事と関わりがあると思い、興味を抱いたのである。

【しらなみのかげ】 「アフターコロナ」

もっとみる
【しらなみのかげ】 「文字通り」の神 #9

【しらなみのかげ】 「文字通り」の神 #9

昨晩は、酒を飲みながらインターネットで様々な論文や記事を読んで、いざ執筆に取り掛かろうとして又してもそのままホットカーペットの上で寝てしまった。京都の家はエアコンの真下にある寝床以外の場所は基本的にあまり暖かくならないし、書籍で埋め尽くされていて狭苦しい故、机に着いている時はそのまま寝てしまうことはないのだが、実家は暖かいのでそのまま寝てしまう。昨夜の様に暖かい中でふと寝てしまうと、もうすぐ戻る京

もっとみる
【しらなみのかげ】 「梨泰院クラス」短評 #8

【しらなみのかげ】 「梨泰院クラス」短評 #8

(この文章はネタバレを含みます。御了承下さい)



この年始に今更ながら「梨泰院クラス」を一気見した。

同名のウェブコミック原作を基とした本作は、2020年1月から韓国のケーブルテレビ局であるJTBC局で放送され、その後Netflixにて世界に配信されたことで世界的大ヒットを記録した。昨年の年始は「愛の不時着」を観て、今年の年始は本作を観るという形で、恰度コロナ禍に於いて特に話題となった韓流

もっとみる
【しらなみのかげ】 「アフターコロナ」は「エシカル」な「ソーシャル・ディスタンス」とは別の仕方で #7

【しらなみのかげ】 「アフターコロナ」は「エシカル」な「ソーシャル・ディスタンス」とは別の仕方で #7

(この文章は以下に説明する理由により1月3日分として投稿致します)



昨晩は「梨泰院クラス」を最終回迄見た後、書き始めたのだが書いている内にそのまま寝てしまった。ホットカーペットの上でブランケットを身体にかけて書いていたが、余りの温かさに眠りに落ちてしまった。今は、その途中まで書いた原稿を少々推敲している次第である。

「梨泰院クラス」は最後迄期待を裏切ることの無い盛り上がりを見せる作品だっ

もっとみる