雁琳の『晦暝手帖』

私、雁琳が徒然なる儘に日々の思いと思索を綴りました大小の論稿やエッセイ等を載せて参ります。

雁琳の『晦暝手帖』

私、雁琳が徒然なる儘に日々の思いと思索を綴りました大小の論稿やエッセイ等を載せて参ります。

    マガジン

    • 『しらなみのかげ』

      こは、日々つらつらと念ひしことのとみに濫れてはすぎゆくに、浦によする沖つ白波の八重をりて、ささなみの下にあまたうたかたの浮かぶがごとく、そのかたちの成りては千々に消ゆるさまを、よろづことのはのうちにひたぶるに拾ひおきて、唯かき記さむとするものなり。つぎつぎ惟ひの流るる心の、ふとたまゆらに清く澄みわたりたる折こそ、生ふることのはの露、おのづからあしたには日影をあつめ、夜には月影をあつめ、かそけきものをもあまねくうつして、やがて花もさきにほひて、いとあはれなれば、うつせみの世の人のみならず、たふとき神すらものに感じておとづるる時なれ。

    • 『晦暝手帖』

      私、雁琳が徒然なるままに日々の思いと思索を綴りました小文雑文を載せて参ります。長めの書評や論考とは異なり、こちらでは気楽に読んで頂けるような、体裁を気にしない短いエッセイを載せて参ります。「晦暝」という語は暗くなること、或いは暗闇を意味します。この暗い世の中で一寸先も見えない闇の中に一条の光明を見つめられますよう、精一杯頑張りますので皆様方におかれましては何卒御購読の程宜しく御願い申し上げます。佐藤一斎曰く、一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うるなかれ。只一燈を頼め…(こちらは単体記事購入用です)

    • 『四顧溟濛評言録』

      私、雁琳が書を読み世事を鑑みる中で私かに惟うことを綴りました、中編から長編の文章を載せて参ります。「溟濛」とは薄暗く先の見えないことを指します。どこを見渡してみてもこの暗い世の中の中に一寸の光明を見付けられますよう、精一杯頑張りますので皆様方におかれましては何卒御購読の程宜しく御願い申し上げます。佐藤一斎曰く、一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うるなかれ。只一燈を頼め…

    最近の記事

    【しらなみのかげ】ウルトラマンという新しき「神話」 #31

    これは、書きさして放置していた稿を徐ろに思い出し、書き上げたものである。     文月になって三日のことである。母方の御墓参りに行って親族と食事をした後、遅ればせながら庵野秀明が手掛け、樋口真嗣が監督となった『シン・ウルトラマン』を観に行った。     『シン・ウルトラマン』。毀誉褒貶相半ばするこの作品であるが、結論から言えば私は或る面においてとても良いと感じた。その余りに軽妙な、時に軽薄にすら思えるタッチの裏腹、人間の原本的な「秩序」の在り方を巡る抗争という「神話」を社会問

    スキ
    18
    有料
    1,000
      • 【しらなみのかげ】「東南アジア」は雲と虎 #30

        今日はシンガポールの著名な映像作家であるホー・ツーニェン氏の講演をウェビナーで聴いた。京都芸術大学大学院と一般社団法人HAPSの主催である「GLOBAL ART TALK 033 ホー・ツーニェン氏「空白の時を位置づける (キュレーションの諸問題)」という講演会である。現地に行きたかったものの、京都芸術大学の関係者しか立ち入れないということで断念せざるを得なかった。     イベント概要には次のように記されていた。     「来る7月2日(土)14:00より、一般社団法人HA

        スキ
        8
        有料
        1,000
        • 【しらなみのかげ】国家の助成を得た理性の公的使用は国家社会の為にも資さねばならない #29

          六月の長い間、何故だか全然文章が書けなかった。     その理由は、上旬から中旬に件の裁判関係のことにかかずらわされており、その余りの疲労で暫くは何も出来なかったことである。ありがたいことに多くの人の助けもあって結果的には良い方向に向かったが、一時は進退窮まったかとも思われた。資料集めから何から非常な疲れを要し、一旦全てが落ち着いてから丸一日寝込む日もあった。東京への旅程において友人に勧めてもらった美味いカレーを食べに行き、帰りの京都駅でさえも回転寿司でのどぐろなりガス海老な

          スキ
          33
          有料
          1,000
          • 【しらなみのかげ】思想としての保守主義とは何か #28

            よく言われる話がある。 それは、保守主義には固有の理想や理念がない、ということである。     例えば、その対極である共産主義には、私有財産を廃止し、生産手段を社会化することで「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」社会を実現するという、これ以上無い程の明確な理想がある。それよりは広義に用いられる概念である社会主義も又、私有財産の廃止乃至は制限により多かれ少なかれ生産手段の社会的共有を実現するという理念に立脚している。それらと少し異なる思想であるアナキズムにも、国家や宗教の

            スキ
            18
            有料
            1,000
            • 【しらなみのかげ】「東南アジア」は雲と虎 #30

              スキ
              8
              有料
              1,000
              • 【しらなみのかげ】国家の助成を得た理性の公的使用は国家社会の為にも資さねばならない #29

                スキ
                33
                有料
                1,000
                • 【しらなみのかげ】思想としての保守主義とは何か #28

                  スキ
                  18
                  有料
                  1,000

                マガジン

                マガジンをすべて見る
                • 『しらなみのかげ』

                  • 32本

                  こは、日々つらつらと念ひしことのとみに濫れてはすぎゆくに、浦によする沖つ白波の八重をりて、ささなみの下にあまたうたかたの浮かぶがごとく、そのかたちの成りては千々に消ゆるさまを、よろづことのはのうちにひたぶるに拾ひおきて、唯かき記さむとするものなり。つぎつぎ惟ひの流るる心の、ふとたまゆらに清く澄みわたりたる折こそ、生ふることのはの露、おのづからあしたには日影をあつめ、夜には月影をあつめ、かそけきものをもあまねくうつして、やがて花もさきにほひて、いとあはれなれば、うつせみの世の人のみならず、たふとき神すらものに感じておとづるる時なれ。

                • 『晦暝手帖』

                  • 27本

                  私、雁琳が徒然なるままに日々の思いと思索を綴りました小文雑文を載せて参ります。長めの書評や論考とは異なり、こちらでは気楽に読んで頂けるような、体裁を気にしない短いエッセイを載せて参ります。「晦暝」という語は暗くなること、或いは暗闇を意味します。この暗い世の中で一寸先も見えない闇の中に一条の光明を見つめられますよう、精一杯頑張りますので皆様方におかれましては何卒御購読の程宜しく御願い申し上げます。佐藤一斎曰く、一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うるなかれ。只一燈を頼め…(こちらは単体記事購入用です)

                • 『四顧溟濛評言録』

                  • 20本

                  私、雁琳が書を読み世事を鑑みる中で私かに惟うことを綴りました、中編から長編の文章を載せて参ります。「溟濛」とは薄暗く先の見えないことを指します。どこを見渡してみてもこの暗い世の中の中に一寸の光明を見付けられますよう、精一杯頑張りますので皆様方におかれましては何卒御購読の程宜しく御願い申し上げます。佐藤一斎曰く、一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うるなかれ。只一燈を頼め…

                • 『しらなみのかげ』

                  • 32本

                  こは、日々つらつらと念ひしことのとみに濫れてはすぎゆくに、浦によする沖つ白波の八重をりて、ささなみの下にあまたうたかたの浮かぶがごとく、そのかたちの成りては千々に消ゆるさまを、よろづことのはのうちにひたぶるに拾ひおきて、唯かき記さむとするものなり。つぎつぎ惟ひの流るる心の、ふとたまゆらに清く澄みわたりたる折こそ、生ふることのはの露、おのづからあしたには日影をあつめ、夜には月影をあつめ、かそけきものをもあまねくうつして、やがて花もさきにほひて、いとあはれなれば、うつせみの世の人のみならず、たふとき神すらものに感じておとづるる時なれ。

                • 『晦暝手帖』

                  • 27本

                  私、雁琳が徒然なるままに日々の思いと思索を綴りました小文雑文を載せて参ります。長めの書評や論考とは異なり、こちらでは気楽に読んで頂けるような、体裁を気にしない短いエッセイを載せて参ります。「晦暝」という語は暗くなること、或いは暗闇を意味します。この暗い世の中で一寸先も見えない闇の中に一条の光明を見つめられますよう、精一杯頑張りますので皆様方におかれましては何卒御購読の程宜しく御願い申し上げます。佐藤一斎曰く、一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うるなかれ。只一燈を頼め…(こちらは単体記事購入用です)

                • 『四顧溟濛評言録』

                  • 20本

                  私、雁琳が書を読み世事を鑑みる中で私かに惟うことを綴りました、中編から長編の文章を載せて参ります。「溟濛」とは薄暗く先の見えないことを指します。どこを見渡してみてもこの暗い世の中の中に一寸の光明を見付けられますよう、精一杯頑張りますので皆様方におかれましては何卒御購読の程宜しく御願い申し上げます。佐藤一斎曰く、一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うるなかれ。只一燈を頼め…

                記事

                記事をすべて見る
                  • 【しらなみのかげ】誕生日あたりのことども #27

                    毎日更新を始めると言いつつ、三日も更新をサボってしまった。 というのも、三日はかなりイレギュラーな日程を送っていたのである。     六月四日、僕は三十二歳の誕生日を迎え、ビストロとバーに行って親しい友人達に祝って頂いたのだが、その日は何と昼下がりから夕方に二、三時間しか寝ていなかった。というのも、その前日の夜からずっとTwitterのスペースにて、十五、六時間位、次々とやってくる人達と徹夜で喋り続けていたのである。我ながら殆ど気が狂っているとしか言い様が無い。喋り続けている

                    スキ
                    15
                    有料
                    1,000
                    • 【しらなみのかげ】日本近代の正統としてのキリスト教 #26

                      河上徹太郎の『日本のアウトサイダー』(中公文庫、1978)を読んだ。何でこの書をもっと前に読まなかったのか、と後悔させられた。蓋し、魂を震わせてくれた本物の名著である。この書の周囲を巡って、再び様々なことを考える機会があるだろう。そう思わせられた。     併し今や、河上徹太郎という名前を識っている人も少なくなってしまったのではないか。今では読まれたり参照されたりすることも少なくなってしまったが、河上徹太郎と言えば、旧制中学時代から友人であった小林秀雄と並んで日本に於ける近代

                      スキ
                      18
                      有料
                      1,000
                      • 【しらなみのかげ】皆もすなる日記といふものも、私もしてみむとてするなり #25

                        今日は六月の一日である。更新するのは日付が変わって二日になるが、その様な厳密な時刻に関係無く、私は眠りに就いて起きた時に初めて日付が変わるという認識で生きている。大凡は、朝になり太陽が完全に上ってしまう時刻位まではその日の内であると見ている。抑も零時よりも前に寝ることなど千に一つ程で、後は勉強に勤しんだり一人酒を飲んだり酒場で歓談していたりするのだから、こうした認識の方が生活に合っている。だから、今はまだ六月一日である。     「毎日書く」と宣言していたこの「しらなみのかげ

                        スキ
                        8
                        有料
                        1,000
                        • 【しらなみのかげ】鋼鉄の嵐の起こる前で−世界の「19世紀化」について #24

                          全ては蛮行により塗り替えられた−この日より、世界秩序の全てが変わった。   2月24日、ロシアは突如、ウクライナに侵攻した。 ロシアが、ウクライナ東部にある親露派分離独立派のドネツク人民共和国ならびにルガンスク人民共和国の独立を21日に「承認」してから間も無い出来事であった。   両共和国共に、2014年にロシアがクリミアを一方的に併合した折に、ドンバス地方の武装勢力が一方的に独立を宣言したものである。東部の紛争は2015年のミンスク合意により、武力による正面衝突は

                          スキ
                          21
                          有料
                          1,000
                          • 【しらなみのかげ】 頭でっかちな「世間知らず」達の暴走 #23

                            いつの日からか、私はジャパニーズ・ヒップホップが大好きになった。特に、ギャングスター・ラップが大好きになった。   元々音楽好きで、あらゆるジャンルを摘み食いしながら聴いてきたつもりだが、このジャンルが取り分け好きになっていった時期があった。   昼は大学で授業を受けたり研究に勤しんだりし、週の内二、三日は夜の街で働いて日銭を稼ぐ生活を長く続けていた最後の頃だったと思う。大学の籍が無くなって奨学金を借りられなくなった三、四年前から、前者が見る見る内に出来なくなり、後者

                            スキ
                            74
                            有料
                            1,000
                            • 【しらなみのかげ】 北京2022年五輪開会式を観て #22

                              (これは二日前の2月4日に書き掛けたものに加筆・推敲を加えたものです。)   今日は立春であり、冬季北京オリンピックの開会式の日である。 実の所、開会式より二日前から幾つかの競技は予選が始まっている。男子フィギュアスケートの宇野昌磨選手が団体予選で自己ベストを更新したという速報を目にしたのは、つい昼頃のことであり、その時既に五輪が始まっていることに気付かされた。   昨年の東京オリンピック・パラリンピックは、インターネットでNHKが無料で多くの競技を配信してくれたこ

                              スキ
                              14
                              有料
                              1,000
                              • 【しらなみのかげ】 節分−円環的な時を分節すること #21

                                (この記事は2月3日に執筆したものですが、仕事の都合で一昨日出せず、昨日から今日に掛けて推敲・加筆したものです) 今日は節分である。   私の住む京都では、吉田神社、壬生寺、そして八坂神社などで節分祭が行われる。今年は新型コロナウイルスのオミクロン株が大流行を見せている為に、今年は多くの寺社では節分祭を相当に制限して行っているようである。追儺の祭が、まさに疫病によって阻まれるというのは不幸な話である。   例年は大体、節分の当日夜、吉田神社の節分祭に行き、火炉祭を見

                                スキ
                                15
                                有料
                                1,000
                                • 【しらなみのかげ】 戦いにあっても、いつも心にオアシスを #20

                                      此の所、我が身に降り掛かってきた「戦い」のことしか考えられなくなっている。   「戦い」に如何に勝つのかを考えている時のみ、アドレナリンが次々と脳内で放出されていることが分かる。私は勿論、戦争になど行ったことがないが、戦闘状態に於ける一種の興奮状態の如きものはやはりあるのだろうと今の我が状態を省みるに思わされる。それ以外の時はどうかと言えば、恰も軽度の鬱症状の様な状態になってしまう。普段は非常に気が多い性分なのであるが、他の事に余り興味が持てない。   昨

                                  スキ
                                  24
                                  有料
                                  1,000
                                  • 【しらなみのかげ】 今、〈解釈権の独占〉へとひた走るのは誰か #19

                                    昨日(正確には30日付の深夜未明)に上げた「「オープンレター」講解」は、15000字に及ぶ長文であるにも拘らず、お蔭様で多くの人に読んで頂けた。御読み頂きました方々には改めまして厚く御礼申し上げます。     物議を醸し続けている「オープンレター:女性差別的文化を脱するために」に対して逐文解釈的に内在的読解を施すという試みは恐らく初めてだろう。この試みにおいて、呉座勇一氏の名前を連呼し、呉座氏の懲戒停職と准教授テニュア内定取り消しに影響を与えたと思われるあの文章は、「社

                                    スキ
                                    64
                                    有料
                                    1,000
                                    • 「オープンレター」講解 【しらなみのかげ特別号】

                                      ・はじめに ……「女性差別的文化を脱するために」と言われたら、凡そ反対する者など居ないだろうし、反対する理由を見付けることなど出来ないだろう−「差別に反対」しているのだから、その「内実」を具に見ることなど、必要無いのではないか−そうした真摯な思いが、この現代文明先進世界を生きる知識階層、すなわち「研究・教育・言論・教育にかかわるすべての人」の中の一部にあったに相違無い……     2021年4月4日、「オープンレター:女性差別的文化を脱するために」(https://s

                                      スキ
                                      240
                                      有料
                                      1,000
                                      • 【しらなみのかげ】 下品なことを言う自由について #18

                                        皆さんはシャルリ・エブド事件を覚えているだろうか。   フランス、そして世界を震撼させた、あの大事件である。   2015年1月7日午前、フランスのパリ11区にある週間風刺新聞『シャルリ・エブド』本社を、覆面をして武装したアルジェリア系フランス人のサイード・クアシとシェリフ・クアシの兄弟が「アッラーフ・アクバル」「預言者の復讐だ」などと叫びながら襲撃し、編集長、風刺漫画家、コラムニスト、警察官ら12人を殺害し、車で逃走した。9日には、共犯者のマリ系フランス人アメディ・

                                        スキ
                                        62
                                        有料
                                        1,000
                                        • 【しらなみのかげ】 単にそのようである世界をまずは認めること #17

                                          (二日前、1月13日に書いたテクストです。夜は仕事をし、その後は降り積もる雪の中、行きつけのバーに挨拶に行ったら朝まで飲んでしまい、昨日少しづつ改稿や校正をしていたら、出すのが本日になってしまいました。)   私は最近、人生を生きていくに当たって、「単にそのようである世界をまずは認めること」が何よりも重要ではないかと考えている。   嘗て、福田恆存はその有名な『私の幸福論』の最初の章「美醜について」に於いて、「醜く生まれたものが美人同様の扱いを世間に望んではいけない」

                                          スキ
                                          37
                                          有料
                                          1,000