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今年やりたい10のこと 2024
今までの自分の性分として
夢とか目標は口に出さない、いわゆる「不言実行」をモットーにしていたのですが、
歳を取って丸くなったのか気の迷いか、
今年の目標を書いてみようと思うようになりました。
流石に10個をパッと思いつかなかったので
・noteでやりたいこと
・note外でやりたいこと
二つ合わせての計10で書いてみたいと思います。
noteの目標1.連載小説を書く
もともと物語を書くという
リベンジトリートメント【毎週SS】
「……でね、頭にのっけた瞬間に『ああやっちゃった』って」
「手が動いてから気づくショックなやつね」
「いや、手に取った一瞬私も違和感を感じたのよ。
なんかシャンプーにしては手触り違うよな~って。
でもいちいち確認する間でもないかってそのまま行ったわけ、そしたら」
「トリートメントだったんですね」
「普通ね、右からでも左からでも、
ボトルって使う順番に並んでるって思うじゃない!
シャンプーからのトリ
海のピ【毎週SSxなんのはなしですか】
「先日、私を見に来た人間たちが
船の上でなにやらにぎやかに話をしていてね。
気になってこっそり聞き耳を立ててみたんだ」
「なんでも人間の子供たちには『自由研究』なるものがあるらしく、
そこで海に来たという親子がいたんだ。
だが所詮あてのない探索には徒労がつきものだ」
「双眼鏡で覗こうが水面に顔をうずめて中を見渡そうが、
一向に目当てのものが見つからずに
とうとう子供が泣き出してしまったんだ。
彦星誘拐【毎週SS】
「では現場の姫川さんを読んでみましょう。姫川さん」
「はい。こちら姫川です」
「そちらの状況を教えてください」
「えー、犯人は牛車に乗って逃走。
時速3kmの猛スピードで近衛兵からの追跡を振り切っています」
「牛車にしては早いですね」
「牛種からして、おそらく年の若い牛とみられますね」
「また、時折物見からお顔が見えます彦星様。
誘拐されてなおこの表情。一切の同様がみられません」
「常に冷静
一方通行風呂【毎週SS】
「一度湯船から上がったら、宿舎に戻らないといけないの」
カピバラがポツリとつぶやいた。
「もう一回入るとだめなの」
「あれを守らないと飼育員さんに怒られるんだ」
温泉に見慣れぬ青に白矢印、
一方通行の標識である。
「僕もそうさ」
透明な湯船の底、大きく描かれた数字を指さす。
「この時間以外は入浴禁止なんだ」
「ふ~ん」
「あと、入る前に湯船の温度確認怠ったら1点減点」
「原点だと何になるの」
「こ
もう卒業したやろがい【なんのはなしですか】
私は小さい頃、とにかく落ちる夢を見た。
ある時はビルから落ち、
またある時は崖から足を踏み外して落ち、
果ては乗ったこともない豪華客船の一番高いところから
東京湾に向かって飛び込んだ。
トムクルーズに負けず劣らずのスタントアクションだ。
やがて大人になるにつれ、そういった「落ちる夢」をみなくなった。
その代わりに、「学校の宿題に追われる夢」を見るようになった。
なぜか学校。
大半は話がコロコロ変
天ぷら不眠【毎週SS】
「今日はどうされました?」
「夜中にベッドに入って目をつむると、どこからともなく、
パチパチパチ……と油で何かを揚げているような音が聞こえるんです」
「その音は寝ている間ずっと続きますか」
「いいえ、気になってベッドから抜け出ると
いつの間にか音は消えています。
もちろん台所で火を付けっぱなしにしたことはありません」
なるほどと相槌は打ちつつ、先生は首を傾げたままでした。
「とりあえず。睡眠導
宇宙人の反省【毎週SS:復習Tシャツ】
「そんなところで何をしている108号」
「217号か。私は今、己の考えを改めているところだ」
「確か君は『青の星』の文化調査を担当していたな」
「そうだ」
「何があった」
108号は視線の先にあるものを指さす。
「これをみたまえ」
「なんだこれは。ただの布切れではないか」
「これは『青の星』の生命体が身に着けているもので
『Tシャツ』というらしい」
「ほぉ。見るからに文明が遅れているな。
我々
友情の総重量【毎週SS】
「タカシ、明日ニホンに帰るんだって」
「うん」
交換留学で過ごした3か月。
ホームステイ先のご家族がみんなとっても優しかった。
現地の言葉を教えてくれた一番上のお兄さん。
学校までの道のりを教えてくれた次女のメイア。
末っ子のカインは学校から帰ると毎日一緒に遊んだっけ。
翌朝、空港の中まで家族総出で見送ってくれた時は、
本当に嬉しかった。
「タカシ、僕たちからプレゼントだ。君との友情の証だよ
てるてる坊主のラブレター【毎週SS】
「まだあるの……」
「ここで最後だから」
ある日の我が家は大掃除の真っ只中。
押し入れの中のものを発掘しては分別する、
この行事のメーンイベントとでも言うべき山場だ。
「これ、お父さんの前の会社で使ってた名刺入れね」
誰からもらったかも思い出せない洋菓子の箱を
母がえいっと勢いよく開けると、
個性豊かな名刺がバラバラと雪崩のようにばらまかれた。
「あちゃー」
「なにやってんの」
母と二人で名刺
奇岩シューズ【毎週SS 裏お題】
「やぁよく来てくれた!」
またしても、私は旧知の友を呼び出した。
「私見を求めるのは構わないが時と場所を選んだらどうかね」
ぶつぶつと文句を言いながらも発掘品を眺めているのは、指折りの歴史学者だ。
今朝方、海岸の一部が周囲の地質の時代と異なることを
不思議に思った研究者が調べると、
十数メートルはあろう薄平たい棒状のようなものが見つかったのだ。
「君ならどう見る?」
「明らかに自然のものとは考
田楽ポリマー【毎週SS × なんのはなしですか】
「ところで、今日の晩飯は何で田楽なの?」
「あなたがずっと食べたいって言ったから」
「そんなこと言ったっけ?」
「やだもう忘れちゃったの」
「ところで、今日の晩飯は何で田楽なんだ?」
「あなた、田楽が好物って言ってるじゃない」
「俺はそんなこと言っとらんぞ」
「じゃあ食べないの?」
「いや、食べるけどさ……」
「なんだ、また田楽か」
「いいじゃないですか、田楽。美味しいでしょ」
「そりゃ旨いけ
文学トリマー【毎週SS】
「君ぃ、一体これはなんだね」
編集長がひと際低音でつぶやく時は、𠮟責の合図である。
此度呼び出されたのは、どうやら校正部らしい。
ピカピカのリクルートスーツからして今年の新人なのだろう。
「確かに『不適切な表現や誤字脱字はカットしてね』とは言ったんだろうけどさ。物理的にカットしてくるとは俺も思わなんだ」
編集長が机にドンと置いたトレーの上には細切れの紙束。
無残にもわが社の重鎮とも呼べる小
二億サイトウ【毎週SS裏お題】
午前9時5分の第一報に、
全世界の金融街は、やがて訪れる未曽有の混沌の渦に足を取られていた。
「テレビつけろ!!」
怒号が部屋中に響き渡る。
ちょっとした世界情勢の変化で市場が目まぐるしく動く
この業界においては今さらというべきか。
大半の社員は、またかという溜息を洩らした。
しかし、今回はそんな生易しい話ではないことを
思い知らされた。
「先ほど国連から発表があったとおり、世界の通貨単位