命乞いする蜘蛛【毎週SS】
ある雨の日のことである。
一人の飛脚が荷物を担ぎ山道を駆けていった。
叩きつけるような雨とぬかるみにうんざりしつつも、水たまりの無いところをひょいひょいと飛び越えていった。
そんな時、足元ばかりで眼前を見落としていた飛脚は
目の前に現れた一人の女とぶつかってしまった。
そして運悪く、担いでいた荷物を谷底へ落としてしまったのである。
「てめぇなにしやがんでぃ」
飛脚は女が何度も謝っているのも聞かず、ありったけの鬱憤を喚き散らしていた。
あまりにも気が収まらない飛脚はいっそ殺し